第2話 換金能力
「純銀の相場は1キルあたり約60000ベル。アルギュロスくんの両腕は何と60キルもあったから、360万ベルってとこですね」
耳慣れない単位ばかりでよく分からないが、本当に換金されたようだ。
「360万ベルってどのくらいの価値があるんだ?」
「国や地域にもよりますが、王都では一年間生活していけるくらいのお金ですね」
「なるほど。そうか。ではこれを元手に俺は王都へ打って出る!」
アルダヴァーンは早速決意表明をする。
「いやいや、急ぎすぎでしょマスター。王都に打って出るならそれなりの計画を練ってからじゃないと」
エレシュキガルが窘める。
「計画? そんなのは行ってから考えればいいだろ。お前たち三柱もいることだしな」
「そして、それに私も加えて四柱ですね!」
メルキオールは得意げに宣言する。初対面のくせにもう仲間気取りか。
「いいだろう。メルキオール。お前と契約を結ぼう。お前の権能は役に立ちそうだ」
「いいですね! その決断の速さ! ただし条件があります」
「何だ?」
寿命とか要求されたら困るな。ちなみに、ダミアーと契約した時の条件は、「決して人を殺さないこと」だった。そういう当たり前のことなら助かるんだけどな。
「一時間毎に十万ベル、私に支払ってください」
「十万ベルか……」
十万ベルがどのくらい高額なのかはピンと来ないが、まぁ払えない額ではない……か?
「法外な値段だねぇ」
エレシュキガルが呟く。ということはひょっとして、かなりキツイ条件なのではないか?
「いやいや、よく考えてみてください。私は今やったみたいに何でも換金できます。私を養っていくだけのお金を稼ぐことなんて簡単ですよ?」
簡単……なのか?
「いやいやマスター、メルキオールはかなりのイロモノだからね。気をつけないととんでもないことになるよ?」
イロモノか。だがそれがいい。リスクを冒してる感じが何とも刺激的で心地よい。
「じゃあできるだけ気を付けるから、契約してもいいだろ?」
「あまりおススメはしないけどね」
「よし、決まりだな」
エレシュキガルの忠告を華麗に無視し、アルダヴァーンはメルキオールとの契約を決めた。
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