5話

屋上の風は気持ちよかった。そのまま、風と一緒に消えてしまいたいほどには。いつか、きっとこんな風と共に僕は死ぬのだろうと思えるほど。少し肌寒くなって来た。秋には、似合わない温かさが愛おしいほどに。

なんて、エッセイみたいなことを妄想していたら、

「じゃあ、話してもらおうか。やっぱり考え方を知るって大切じゃん?よし、怖くなーい、怖くなーい。オレたちはどんな事があっても離れなーい」

「ふふ、離れなーい、離れなーい!」

ハルトが言って、ソラがそれに続く。普段通りの光景に笑いが止まらないぐらいには普段通りだ。

「はいはい、わかったから。じゃ」


そして、僕は話し始めた。僕からしたらこの世界も、漫画やアニメ、小説の世界とさほど変わりがあるようには感じない事。

僕たちは登場人物で、作者カミサマが僕たちの行動の一個一個を決めている事。

そして、大抵の人はそんな事考えるわけがない事。

だって、そんな事考える余裕も無ければ、考える脳もない。

何故なら、そういう風にえがかれてるから。

なら、何故僕がそういう風に考えるのか。

それは、気まぐれの作者カミサマがそういう要素を入れたから。

世界を疑う、作者カミサマによって書かれていると、そういう風に思う人物がいれば面白いと思ったのだろうと。

結局僕らは、作者カミサマの決めた運命に踊らされるのだから。

なら、無気力に気ままに生きていればいい。

作者カミサマがどうにかするから。

出来なくなった時、その時が僕の終焉なのだから。

気が楽だろ、作者カミサマに操られたままの人生を送るだけってのは。

まあ、面白味は無いかもしれないがな。



話し終えた僕を見るなり、目を見開いて、驚いてる2人。そして、ワッと笑い始めた。

"アハハ、アッハハ...イィーオモシロいアハ、アハハ"

「へぇ、何がオモシロいのかな?確かに可笑しな、オモシロい話だとは思うよ、でもさ、そんなに笑う事では無いよね?」

そう言っても2人は止まらない。うるさい...

「だって、だってさ、ねぇソラ?」

「うんうん、ほんとにね可笑しくてねぇハルト?」

「アハ、ほんとにそうだ」

2人の爆笑の嵐は止まらないみたいだ。そして、2人が口を開けた。

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