「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」
@waterinx
「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」
複数人を平気で愛す君のいない毎日が定規みたいにかたい
君はいつ死ぬの房から捥いだとき剥いたとき噛んだとき呑んだとき
光にも滴る粒があるんだろう 君は日傘をふりつつ畳む
返したら僕らをつなぐ何もかもがなくなる本のスピンの赤さ
唇のやわさより目の深さより花束のような頬の匂いが
広告の南国リゾートトラベルもふるさと納税も君としたい
迷うから真夜中と呼ぶの あのときのあれがなかった第四象限
「1」は武器 容易く刺せる武器 僕と君が立ち聞きした夜の責任
危なくない鋏だった。でも危なくない渡し方で私たち渡してた
ウーファーが響く胃腸に彼が持つ剣の刃が、柄が、その割合が
やっとの思いで陸地に上がったアリエルがあまりの暑さに後悔してる
さまざまな手続きを踏んで変えられる下の名前や上の名前が
神様が見ているみたいに最後まで敬語でせがんでいたキスのこと
日常の鋭利を無視し遅光虫にひき、やわらかくつかう、ぜんぶ
溶けていく氷の羨し カランカランと一生思い続けるんだろう
銀だこの並びにでっかい星があり肩の部分に腰掛けて食む
あかんぼのようなおねんねたかくてもたべたくなったらももだってかう
僕の前ではあなたはいくら降っていようが安心した顔で傘をたたむ
あなたとのあわいにも青空はあってそれがなくなる瞬間もある
心臓のどっち心室がどっち房が痛いの想うのに想われないとき
好きな人の未来の話に僕は出てこない夕暮れサファイアの部分
されるのはなにごともいつもこそばゆく桃剥かれれば指露を思う
あなたとしか懐かしがれない思い出がときどき苦しい羽音をたてる
僕のものはずっとなかった 今もなおない ままいく いくよ ざぶん
花びらの無色の部分に溺れてて君がこの世なら生きられるのに
あなたの目をおぼえるまでの幾百年その営みが月光になる
細い指であなたが私をほどいてくもう二度と絡まない気がする
逆さまの花に僕らの珈琲は珈琲味の舌は存えて
さびしかった落暉も宇宙から消えて ついに最後まで好きでした
死んじゃいたい いちごが嘘みたいに甘い 殺したい人なんてひとりもいない
喉元に 来世は君の目の前で 突きつけられた 金魚になるね
言葉はまだ注射になりえる履歴書に書くフリックできない発音で
色は色 匂いは匂い 言葉だけ言葉だけが次元を貫いて
「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」 @waterinx
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