虎と獏

@yukihanabun6776

虎と獏

漠とした空虚感いつも巣くひをりこの空虚感をこそ食べつくせバク

息吸ひて沈む水底ひとひらの鰈になりてすべるプールを

「山月記」そこにあるゆゑ捨てられず高二の教科書一冊今も

若者の「感謝の気持ちを忘れずに」この違和感と抵抗感は

毒々しきクリームソーダ・かき氷 優等生な平成・令和

山鳩が幾度も幾度も啼くからに虎になりそこねた誰かかも

水底を二十五メートル泳いでゐたその間ずっと独りであった

あつあつのシチューを北海道で食べる家族が夏の終はりを告ぐる

若者が年功序列を望むって? 牙を抜かれた虎にはなるな

難しいことなどないさ努力すれば道はひらけるただそれだけだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

虎と獏 @yukihanabun6776

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画