ラルク・ロストーナの人生記
@kotuke_sub
第1話 呪われた拳
呪歴0年、突然人類に与えられた力である呪力…それは、この世界で最も重要な人類に与えられた神秘の力。呪力や呪術の強さが、社会的強さに直結する世の中である。そして、この物語の主人公、ラルク・ロストーナは、呪力が発現するといわれる9歳の年。父であるドマレナクに呪力と直接的攻撃を封じられてしまう。そんな中、彼がどうやって生涯を全うしたのか。それを、この物語に記す。
〜8年前〜
闇に包まれるダークゾーン(呪力で作られた空間)の中で、2人の親子が戦いを繰り広げていた。
「…父さん…なんで僕の呪力を封じようとするの…?」
ラルクはそう問う。
「お前が呪力を持つのは危険なんだ。ラルク。わかってくれ。」
ドマレナクは真剣に言う。
だが、それでも呪力を失うと言うことは、社会的地位が0に等しい存在になるということ。納得できるはずがない。
「……お前がどう言おうと…呪力は封じさせてもらう…」
そう言ってドマレナクは呪力によって形成される大きな手でラルクの体を封じた。
「ぐっ!!」
それでもラルクの筋力は劣らなかったようで、手を開かせて脱出し、素早く横に走っていった。ドマレナクの様子を探りつつ、捉えられないようにするためである。
「まさか…この世界3大呪術師のNo. 1、ドマレナクの呪術を筋力でねじ伏せるとは…その筋力も、呪力も脅威になりかねない。封じさせてもらうぞ…」
そう。ドマレナクは現在、世界一の呪術師の称号を得ている。
そんなドマレナクがラルクの動きを完全に封じ、ラルクの方向へ手をかざし、呪力を注ぐ。"呪術、人間への直接攻撃を無効にする"呪力を。
〜現在〜
それから8年。ラルクは17歳である。そして、この世界の17歳と言えば、入学の年だ。ただ、この世界の学校は3校しか無く、その3つのどれもがかなりのエリート校。学校に入らずに生涯を終える者も多くいるのだ。そして、ラルクも"独自の技術"を磨くのに力を注ぎたかったため、その道を行こうとしていた。
そして、今は"独自の技術"を磨いている最中だ。
「…ほっ!!」
ばしゅぅぅぅ!
ドォォン!
ラルクが放ったもの。それは空気圧による砲撃。つまりは空気砲だ。そしてその矛先は巨木のど真ん中。もちろん、8年間の研磨によって研ぎ澄まされた威力と命中率は、とてつもないものだった。現に、巨木が2つに割れ、上側が倒れたのだ。
「ふぅ…なかなか強くなった…!"エア・インパクト"…!"呪術強度"は…致死術くらいかな?」
呪術強度。それは、呪術の強さを示すものであり、通常、呪術に使用する呪力によってその位も変わるのだが、ラルクのエアインパクトの場合、呪術ではないので、単純な威力だけをみて判断するのだ。
呪術強度には、8つの位があり、弱いものから、永常術、常術、対人術、致死術、地壊術、世壊術、神術、永神術がある。ただ、永神術の場合は、消費する呪力が100万〜∞なので、100万以上が永神術とも言える。
「でも、まだまだ!父さんには絶対に敵わない!」
呪術をかけられた場合、2つの種類に分けられる。それが呪力で維持されるか、かけた者の生命の働きによって維持されるかだ。そして、ラルクにかけられた呪術は生命によって維持されるもの。つまり、ドマレナクを倒す、または解除してもらうしか対処法がないのだ。
さらにエアラインの特訓をしようとしたラルクだが、そのもとに、ワープホールから出てきた1枚の手紙と共に招待状が落ちてきた。手紙の内容は、
「ラルク・ロストーナ殿
貴殿の実績、もとい行動から感銘を受け、匿名ではございますが、ある人物からゴルナスト国立学校への推薦がございました。実際に我がゴルナスト国立学校へご見学いただけるよう、招待状をお送りします。そして、我が校への入学試験へのご参加をお願いいたします。
ゴルナスト国立学校 教頭 ネイマ・クランツェ」
その内容を読んで、ラルクは驚いた。
「…え?ゴルナスト?ゴルナストって…世界一のエリート校…!?なんで僕みたいな呪術も使えないやつが…?」
そう。ゴルナスト国立学校は世界一のエリート校であり、ましてや推薦を受けるなんてことなど、未だかつてほとんどなかったからだ。
そして何より、ラルクは呪術が使えない。なのにどうやってゴルナスト国立学校で過ごせば良いと言うのか。ただ、ラルクは昔から学ぶのが好きだった。本を読み、その本から得た知識を活かしたいと考えていた。その点から考えると、ゴルナスト国立学校はそれに一番適している。器具も、人材も、なんなら寮だって手に入るからだ。
「…よし。」
そしてラルクは、ゴルナスト国立学校へ向かうのだった。
ラルク・ロストーナの人生記 @kotuke_sub
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