24話……だよ。

「はーい、いらっしゃいませー。おひとり様ですかー?……って、彩葉じゃん!やっほー!」


 ひええぇぇええ!?!!?


「え、えっ!? な、なんで……早江照代さんがここに!?」


「そりゃあ、ここで働いてるからに決まってるでしょ〜。今日もバリバリお仕事頑張ってるんだー。てか、彩葉は昨日も来てくれたじゃーん」


「……あ、そ、そうだったよね……う、うっかりしてたよ」


 知らないよ!だって、昨日は春香ちゃんだったんだもん!!


「あは、、ふへへ、、、」


「……?」


 苦笑いをしながら、ゆっくりと後退する。


 こ、これ以上は無理……!

 早江照代さんには悪いけど――ちょっと撤退しよう……!


 そう決めた瞬間、背中に「トンッ」と何かに当たる。


 あれー? しかしまわりこまれてしまった!とかかな?って違う違う


「あ、ご、ごめんなさ――」


「四季さん、このファミレスは早江さんが……って、遅かったか……」


「あ、やっほー、湊〜!」

 早江照代さんが、にこにこと手を振ってる


 天野くん、知ってたならもっと早くに言ってよ……。


 って、聞く前に走り出したのは――私だったっけ?


「あらら〜、湊〜。昨日に続いて今日もですか〜?」


「はは……そういうのじゃないって。ほら、早く席に案内してよ」


「はいはーい、特別席に案内してあげるね〜!」


「あ、あ、あのっ……!?」


 とんとん拍子で進んでいく話に、私の心は全然ついていけず強制スクロールみたいに、どんどん動いていく


 〜〜〜


「はーい、お待たせしましたー。ポテト2つでーす。ドリンクバーは……って、もうわかるよねー」


「じゃあ、そんなわけでごゆっくりどーぞー」


 え?あ……私、知らない……。


 どうしよう、お店でウロウロしてる姿って、他の人から見たら絶対変に思われないかな?


 困った顔でキョロキョロしていると――


「四季さん、あっちにドリンクバーがあるから一緒に取りに行こう。あと、好きそうなドリンクもあったよ」


 あっ……天野くん!そっか……事情を知ってくれてるんだっけ。


 秋音ちゃんはこれを見越してくれてたのね!ありがとう……!


 〜〜〜


「――でね! 私的にはここのストーリーとあのストーリーは繋がってるの!ほら、クエストの募集文も、それっぽい伏線が書かれてたでしょ!」


「確かに。そう考えるとそうかも」


「でしょ!? この辺の考察は色んな人がしててどれも面白いの!」


「やっほー、暇だから来たよー!」


「あ、……やっほー」

「やっほー、早江さん」


「なんの話してたーの?」

 ニコニコしながら、私の隣にサッと座る。


「仕事は大丈夫なの?早江さん?」


「大丈夫ー、大丈夫ー。暇だしねー」


 何処からか「忙しいよー」っと声が聞こえた気がする。


「それでー?2人とも何の話してたーの?」


「あ、その……天野くんとゲームの話をしてたの」


「そうなんだ!私もゲームよくするよ!」


 そう言って差し出されたスマホの画面には――ツムツ○とポ○モンG○のアイコンが並んでいた。


「みてみてー!この前新記録出したのと、知らないポケ○ンも捕まえたんだー!」


「あ、スマホアプリとかじゃなくて……。家庭用ゲームとか、パソコンゲームの方で……」


「家庭用?パソコンゲーム?それってスマホでどうやってできるの?」


 きょとんとした顔で首をかしげる早江照代さん。


「一応できるけど、あれドラ○エとかF○とか聞いたことない?」


「うーん……。聞いたことあるような?無いような?」


 少しの沈黙が流れる……。

 空気が一瞬、固まった。


「あーっと……まぁ、でも僕もその二つはたまにやるよ」


「一応、私もやってる」


「え? ほんと!?じゃあね!じゃあね!このお店にあるジム戦やろうよ!」


「ずっとここを青が取ってるんだよね〜」


「うん、いいよ」


「私、さっきジムに置いたけど……」


「「……。」」


 沈黙。

 ふたりの視線が、じわりと交差す


「えっと……。湊は赤色だよね?」


「……黄色」


「「「……。」」」


 この後も三人で話は続いていった。


 照代さんって思ったより怖い人じゃないのかも……しっかり話聞いてくれるし、今度ゲーム貸してあげようかな


 あと、私はクーポンを持ってなくて、お金も足りなかったから、天野くんに少し多めに払ってもらった。


 春香ちゃんが使ったのかな?


 ……はぁ。


◇◇◇


【四季春香/夏海/秋音/冬乃(1)】


彩葉:6:30

 体育祭辺りから1日変わらない日が多くなった気がするけど、気のせいかしら?


彩葉:22:56

 寝る前に変わっちゃった!今は夢の中なの?リアルなの?


彩葉:7:00

 夢の中からおやすみなさい〜。


彩葉:7:01

 代わりに夜はよく変わるからバランス取れてるね!


彩葉:20:14

 明日はテストだけど春香ちゃん勉強した? 私と夏海ちゃんは自信ないから出たくないなぁ、、


彩葉:20:14

 ってあれ? 夏海ちゃん最近見てないけど何かあったの?


彩葉:20:16

 何でもないわよ。アンタはそのままでいなさい


彩葉:20:19

 あっちからしたら2週間経ってるけど、アタシからしたらさっきの出来事よ


彩葉:20:23

 怒りはけどもういいわよ


彩葉:20:24

 アンカーで1位取ったし、テストが終われば部活の大会に文化祭でしょ?あいつのことなんか忘れてあげるわ!


彩葉:8:04

 えいえいおー!

 ところで今起きたけどテストの日に遅刻する夢を見ちゃった〜。アラームもおねむなのかな?


彩葉:8:19

 正夢よ!秋音ちゃん!どうして、何も準備してないの!?


彩葉:9:04

 とっても叱られたわ。先生は私たちの事情を知ってるから許してくれたの保健室で受けることになったから覚えておいて。ほんとに気をつけてね


彩葉:12:41

 やったわ!テストが終わって丁度変わったわよ!ありがとね!春香!自由時間は体動かしちゃおっと!


彩葉:7:24

 無理無理無理!早く変わって!


彩葉:9:41

 夏海ちゃんの答え半分ぐらい間違ってたから直しておいたわ。全問うめたことは偉いわ


彩葉:12:43

 やったー!気がついたらテストの問題が全て埋まってて終了してた!残りは自由時間!湊くんとこ行こっと!


彩葉:8:27

 ありゃりゃ?私がやりそうな雰囲気?


彩葉:9:41

 また、途中で変わったけど、、当然だけど秋音ちゃんって答えは真面目に書いてるのね。もしかして今までよく分からない文書いてたのって、、?


彩葉:12:52

 やった!早く帰ってゲーム!ゲーム!10時間以上できる!


彩葉:8:29

 お願いします、、変わって下さい、、もう、徹夜とかしませんから、、!


彩葉:9:41

 冬乃ちゃん、、寝るならせめて全部埋めてからにしてね。起きてびっくりしたわよ。あと、答えもズレてたわ


————


「テストは無事終わったけど、なんかわたしだけいっぱい働いた気がするわ、、」




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