『緋のそくら』/短歌賞10首連作部門応募作品

青燈ユウマ

緋のそくら

ガラス1枚あなたの瞳にため息一つ

良からぬ夜を照らしてネオン


身をやつし肥えた気持ちを携えて

握る心臓 高鳴る聖夜


毒のあかさしたるものはさもありなん

暗い水溜り口笛の先


手繋いで どこまで堕ちよう業の底

ヒトの泪の乾く間もなし


それで善い。背を押す言葉は親の黒

身を這う茨 まごう分岐路



地の獄へようこそ愚者のしまいの場

割れる骨片 破れた写真


赤世界 果てに見開く凄惨を

背けさせぬはセピアの良心


跪き鎖に爪立て叫ぶ痛覚

血みどろ彼岸の彼奴あやつが憎い


歪などこもかしこも馬鹿提灯

絶命の響き抜かせぬ刃


事終えてあるは地獄か花園か

曼珠沙華かき分け靴に鼻歌

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『緋のそくら』/短歌賞10首連作部門応募作品 青燈ユウマ @yuma42world

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画