10首連作用短歌

ベルトから上が頭部でベルトではなくて首輪のサラリーマンら

誰のものでもないことが価値であることを知らずに硬貨は輝る

僕だけが分かったような気がしてる通勤電車の二重人格

ヨーグルトシェイク(いちご)の色彩を夢としたので寝なくてもいい

カナブンの死が放置され車内にはスーツら死んでも生きてもいない

丸いガスタンクが空に照らされてなりたい色になる2分間

この世なら広いが一番人間を起こしているのは駅員さんだ

改札を出て各々に衝突をしない水族館のイワシら

拭ったのスマホ画面の水滴を泣いているようだったからかも

見上げれば都会のビルは神様に向けた一点透視図法で

足音が白い廊下で長くなるブーバとキキよ逃げろこっちだ