花柄の皿

鱗田目見

第1話

たった今瞼にふれた刃の先を握り直して黒目に戻す


どちらかの通知センター 明け方は暗闇となるあなたの背中


できるだけ綺麗に話す出棺のクラクションから逃げてきたこと


この街ですれちがうのを待っている悪魔とあなたの子供は悪魔


叫んでたはずの寝汗だ 起きがけに微笑む口は誰に向けたの


生まれつき傷んだ桃を切り分けてひとつこころに飼うような人


故郷の話の後は血しぶきを押さえる腕がいつも足りない


本棚の砂漠図鑑が消えていてあなたが還るべき場所の風


ベランダのスペアミントに水をやる日課 網戸をきちんと閉める


おはようといつも通りに花柄の皿を並べてどこにも行かない

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花柄の皿 鱗田目見 @MMU0707

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