第4羽
【人間】
カチッ
シャーペンを机の上に置くと、カーテンの隙間から夕日が差し込んでいるのに気づいた。
「もう家を出る時間か。」
僕は腕時計を身につけ、百パーセントに充電しておいたスマホをポケットに入れてキッチンへ向かった。
「もうすぐ待ち合わせの時間だから行くね。」
「遅くまでいちゃダメよ。」
「はーい」
僕はドアを開けると、ママに手を振りみんなと待ち合わせの約束をしている近くのコンビニへ向かって歩き始めた。しばらく歩いていくと、コンビニの前で
「おまたせ!」
「やっと来たかフレッド。ま、遅れては無いけど。」
「さっさと行きましょう。あまり時間がないわよ。」
クラスメイトの
僕は一番後ろを歩いていた。何やら大介たち四人がこそこそ話しているのが見える。僕は歩くのが遅いので、四人とは少し距離が空いてしまっていた。
その瞬間
「今だ!」
大介が叫んだ瞬間、四人が全速力で走り始めた。
ダダダダッ
「いけー!もっと距離を離せー!」
「ふふっ。本当に大丈夫なのー?」
みんなが遠ざかっていく。僕をおいて先に走っていく作戦だったみたいだ。
「待ってよ!先行かないでよ!」
僕の声が届くより先に彼らの姿は消えていた。僕は立ち止まった。体力の限界がきていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
くそ、まただ。またこんなことになった。みんなは僕をからかっている。僕が弱いから。自分では何にもできないで、みんなにばっかしがみつくから。それはみんなにとってダサくて、面白いことなんだ。もう自分で歩いていくしかない。公園までの道は多分覚えていると思う。
僕は自分の記憶をなんとか頼りにしながらやっと公園に
「なんで急に走ったの?ひどいよ。」
「ごめんって。お前がちゃんと道がわかるのか確かめたくってな。」
「何その理由。」
「そんなにピキピキしないでよ。もう少しで流星群が見れるのよ?切り替えましょ。」
「…」
僕は端に座った。正直言うともう帰りたかった。大介たちのいたずらは前からあったけど、豊美が転校してきてからは彼女に面白がってもらいたいと必死なのか以前より頻度が増した。
時計を覗くともうすぐ八時になろうとしていた。僕は一瞬でいいから全部忘れて、これから降り注ぐであろう流星群をずっと見ていたかった。願い事は子どもっぽいかもしれないけど、そんなことはどうだっていい。
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