不在通知

あおみ現場

不在通知

8月に 窓を開ければ 泣き声が 今年も聞こえる なぜ年取らぬ


母は言う 不在を教える手紙だと いつの間に私 いなくなったの


膝抱え 潜ってころす 息と熱 机の裏にも 私がいるかも


風遠く カンカンカンと 音運ぶ 迫る気配は 車輪の軋み


日が沈む 直前だった 影は消え 私は溶けて 声だけだった


「半分こ」 いつもそう言い 2にわける 大きな方を あの子へ渡す


思ってた あたりまえに 年を取り ベッドの隅に 消えていくのだと


いるいない ひらいてむすんで 在不在 ベッドメリーは 全部見ていた


空ひらけ 閉じたひらいた 街閉じて 線路も閉じた もう帰れない  


ぐるぐると 巻き戻る渦の うだる日に 不在通知が 今年も届いた



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