第15話:「混沌より現れし者、西園寺の拳」

【市街地・夕方】



 ドォォォォンッ!!!


 空が赤く染まる時間帯。突如、地面が爆発。アスファルトがめくれ上がり、ビルの壁面が崩落する。


 瓦礫の煙の中から、禍々しい気配が迫る――!


 ???「……ククク……」


 黒い鎧。背に巨大な刃のような翼。両肩に角。


 まるでRPGの裏ボスが、そのまま現実に飛び出してきたかのような存在。


 怪人「我こそは……混沌より生まれし災厄の王、“ケルベリオス”……!


 この世界に、終焉をもたらす者なり!!」


 カナタ「え、えぇぇぇぇぇぇ!?


 なんか予算3話分ぐらい使って出てきたんだけどこの人ッ!!」


 ミュン「ヤバいミュンヤバいミュンヤバいミュン!!!


 今回のはマジで“いつものノリ”じゃ済まないミュン!!」



【戦闘開始】



 光が走る。魔法のエフェクトがキラキラ舞い散る。


 カナタ「変身――っ!《マジカル・イグナイト!》!」


 光に包まれ、カナタは魔法少女へと姿を変える。


 胸に手を当てて、強く叫ぶ。


 カナタ「ボクは負けない……!


 この街も、みんなも、守るって決めたんだからあああぁぁあああッ!!」


(星型エネルギービーム発射!キラキラ!)


 ケルベリオス「フン」


(ズズゥン――!)


 直撃……のはずが、ケルベリオスの鎧にすら傷一つない。


 まるでゴミを見るような目で、カナタを睨む。


 カナタ「う、嘘……!? かすりもしない……!?」


 ケルベリオス「この程度……“光”の力とは笑わせる」


(反撃――ッ!)


 振り下ろされた腕から、黒炎が炸裂。爆風が市街地を吹き飛ばす。


 カナタ「がはっ……!?」


(吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるカナタ)


 ミュン「カナターーーッ!! いやホントにヤバいやつミュン!!!」


【その時、重低音と共に現れる影】


 ズゥゥゥン……


 ???「……よう。ギリ間に合ったな」


 夕日の逆光の中、ゆっくりと歩いてくる黒い影。


 足音と共に、空気が変わる。


 美香「……また来た……」


 カナタ「……西園寺、くん……!」


 ケルベリオス「……貴様は、だれだ!――」


 西園寺「名乗るほどのもんじゃねえが、最近は知られちまってるんでな。


 “西園寺零”――覚えとけ」


(鋭い眼光、手をポケットに入れたまま)


 ミュン「出たミュン……作画班が本気出す男、西園寺零ミュン……!」


【一撃、そして静寂】


 ケルベリオス「……貴様ごときに、我が――」


 西園寺「うるせぇ」


(ド ガ ァ ァ ァ ン ッ!!!!)


 風が吹き荒れる。


 一歩も動かなかったはずの西園寺が、目の前に――


 次の瞬間、ケルベリオスの上半身が音もなく崩れ落ちる。


 ケルベリオス「バカ……な……ッ……」


(跡形もなく、霧のように消える)


(静寂)



【戦いの終わり】



 カナタ「……な、なにが……起こったの……?」


 美香「……うん、いつものね」


 ミュン「いやいやいや!! 今日のはホントに別アニメミュン!!!


 なんなら“バトルヒーロー零 -REBIRTH-”の特別編ミュン!!」



【ラスト】



 西園寺(無傷、夕日を背に)「……そろそろ出番、減らしてくんねぇかな。


 バランス壊してんの、自覚あるし」


 カナタ「…………惚れ直しちゃったかも……」


 ミュン「ダメだミュン!恋愛パートに入ったらますます別作品ミュン!!!」

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