天使でしょうか。いや、誰でも。

壁から生えた飴

向こう側を垣間見る人

「げほっ、けほっ……」


 世界はいつもこうやって壊れていく。

知ってる。

全部わかる。

虹色のグルグルの向こう、曼荼羅の向こうで見えた。

 世界が壊れてるのも、自分が壊れてるのも見えた。


「ねぇ、大丈夫?」


 茶髪の髪の毛をなびかせ、左から女の子が顔を出す。

すっ、と彼女の髪が自分に当たるくらいの距離まで顔を近づけてくる。


「ローラ?」

「吸って、吐いて、ゆっくり。ゆっくり。それだけでいいよ」


 目を閉じる。

曼荼羅がうるさい。目を閉じたのに、うるさい。うるさいうるさい!!!

 視界が動き続ける。見たくもないのに、映像を見せ続けさせられる気分だ。

不快であり、落ち着かない。


「ろーら! お願い、どうにかしてよ!」

「……ごめんね」


 彼女がそういうのを聞いた瞬間、頭が重くなった。

吐き気がこみ上げる。


「あぁ……」

「イレース」

「はいはーい」


 もう一人の女の子がゆっくり歩いてきて、私の目をふさいだ。

彼女はまるで子供をあやすような声で言った。


「おやすみなさい」


 ぐるぐるする視界が切れかかる。

やっと脳みそが静かになってきた。


おやすみ。

その言葉を自分に言って、私は眠りについた。

 私は眠りに入る一瞬、天使を垣間見た。

気がする。



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天使でしょうか。いや、誰でも。 壁から生えた飴 @Asuka_556

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