3話「墓場にいない死体に御機嫌よう(3)」

死体が背に円体を出した能力を使ったのを見て、武器を持ち直す。

(あぁ……能力は【円天体】か…………。)

(天体…………だから綺羅星の人…………。)

(元綺羅星所属だったのかな。死体は。)

(…………………………あれ、死体殺すと魔女が来る…………?)

(まぁいっか!!どうでもいいや!能力の相性的な事情でこっち負けないし。)

「来ないのですか。」

「考え事してたんだよね。天体出したから綺羅星所属だったのかな、って。」

「まぁ、そうでしたね。」

「やっぱりそうなんだ。…………で、聞いておくんだけどさ……。」

「君を殺すと魔女が来るよね?」

「……まぁ、来ますね。」

「やっぱりそうなんだ…………まぁいいや。殺そう。」

「即断即決にも程がありませんか。」

「まぁ、まぁね。考え直したく無いからね。」

私が1歩下がる。

そうしてピンヒールがカツンと鳴ったのを合図に互いに攻撃をし始めた。






機械銃の銃口を下にしてゴンゴンと地面に叩きつける。

「……ッらァ!!」

そしてそれを死体めがけて振り上げた。

…………が、避けられる。

「……銃なら撃てばいいじゃないですか。」

「1発、2発と撃てるような頑丈な素材で出来てなくてねぇ。」

「撃てなくて……ごめんねぇ?」

「はぁ…………。」

(この能力と属性、他の人の能力と属性との相性が良すぎておかしな事が起こらない限りは勝てるんだよねぇ。)

(…………なんか今回も勝手に終わりそうな感じがするし。)

(ま、早めに終わってもいいか。)

私は銃口を空に向けて構える。

「遠く…………遠く…………」

銃口の先に額縁が現れ、私の肉体を枝が囲う。

「近く…………近く…………」

死体は私の攻撃を止める為に円体からビームを撃つ。

「あぁ…………生命が移ろうこの世に……」

銃身にまで枝が伸び、銃口以外を覆っていく。

「………………………………熟れる樹より、知識を得る。」




「〈円体醜死体〉」

円体から昏い色のビームが模索目掛けて放たれる。

「〈知恵の書庫〉」

無が死体の肉体を引き裂いた。










ピンヒールをカツンカツンと鳴らしながら、ふやけて崩れそうな道を歩く。

「〜〜〜〜〜〜♪」

(やっぱり弱かったなぁ…………。)

(いや?私が強いのか。)

(まぁ…………死体が知識に勝る訳ないし。別に弱くてもどうでもいいんだけど。)

(…………帰ったら誕生日の頭を撫でよう。それから人形師にメンテナンスしてもらって……人形をメンテナンスして…………。)

(う〜ん…………)

(結構やる事が多いなぁ…………。)

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