2話「きらきらがおちた!」
私は影となっているところからゆっくりと手を伸ばし、相手の口元を塞ぐ。
「ん゙…………?!」
そして少しずつ後ろに下がる…………と、抵抗され続けていたせいか私の両手が離れてしまった。
「突然何……。」
その人物はこちらを向いてそう言った。
「…………小さいね君。何歳?」
「これでも18は超えてるけど。お前を連れて行かないといけないから雑談はしたくない。」
「……そっか。一応聞いておくけど、なんで?どこに?」
「多分オークションか闇市。細かい部分は不明。…………これでいい?」
「いいよ。」
その人物は、両手を前に出して手を叩く。
パチ、パチ、パチ、パチ
『Happy birthday to you』
(まぁ、能力くらいは使ってくるか。)
パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ
『Happy birthday to you』
「させない!」
『きらきら星』
パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ
『Happy birthday dear [
「その手首、先ごと落としてやる!」
目の前の人物は私の両剣をリズム良く避ける。
次のフレーズを歌われれば私は死ぬ。それだけはわかる。だってコイツの能力はそういう能力だから。
コイツの能力は【
お気楽そうに見えるコイツが依頼の内容とされている理由は1つ。昔生きていた『
今回依頼を出した組織の目的は“人身売買をしたい”だったけど、別の組織なら“情報が欲しい”という目的で依頼が出ていたかもしれない。
あと、容姿がかなり整えられている。毛先に彩りのある黄緑の髪に細身の肉体。とても美しく見える者もいるのかもしれない。
だから今、この人物にはそれなりの価値がある。だからできるだけ傷なく生け捕りで済ませたい。
なのに能力を使われてしまった。どうにかして止めないと手首から先が無い状態で差し出す事になる。
因みに私の名前は先程彼が呼んでしまった通り輝星。そして能力は【きらきら星】。その内容は……武器を振るう際に精度が上がる、というもの。
まぁ、避けられているせいで無いようなものになってしまっているけど。
『Happy birthday to you.』
そのフレーズが聞こえた途端、私の視界が傾いた。
頭が外側から圧をかけられ、脳髄がぐちょぐちょと音を鳴らし始める。
「倒れちゃったけど大丈夫……?」
「…………。」
「大丈夫………………?」
「お医者さん呼んでいい?」
耳から液体が流れ出ている感覚がした後、私の頭が変形して潰れてしまったのだ。
「可哀想に……急いでお医者さん呼んでくる………………。」
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