耀う奇跡を希う
みかちよ
プロローグ
「最近よく夢を夢を見る。居場所を見つけられない、あの頃の夢を」
まいんはまた、ミストホワイトの夢の中で目を開ける。小3の私が俯いているのを見つめ続ける。
「模試の結果見たわよ。ゆう凄いじゃない!いつも頑張ってるわね」
「そんな、僕なんてまだまだだよ。」
母親はまいんを褒めない。
優秀なのは、兄だから。
「バレー部のエース?かっこいいじゃない!勿論引き受けるのよね。もっと頑張って、立派なリーダーになるのよ。」
「任せといてよ。」
スポーツ万能なのは姉だから。
「ゆあは本当に良い子ねー。今日先生が面談で、 「いつも何か手伝えるか自分から聞いてくる気配りが出来て思いやりのある子です。 」って言ってたわ。」
「だってぼくは誰かの役に立ちたいんだもん。そして、助けた人が笑顔でありがとうって言ってくれるのが一番嬉しい。」
『いい子』なのは、弟だから。なのに、
「……まいは幸せな人生を送れそうだな。」
兄さんに悪意がないのはわかってる。でも嫌味にしか聞こえない。
「なんで兄さんにそんなことがわかるの」
ほら、わたしもそう呟いてる。
「………役に立たない人間なんて、ね。」
姉さん、役に立たない人間なのは私が1番わかってる。わざわざそんなこと言わなくていいよ。
「じゃあ、どうしろと言うのよ。」
どうも出来ないよ。だから今の私がある。
「子供達皆の良いところを伸ばしてあげなくちゃ。」
そう言ったって。
「わたしは期待されてないんでしょ?こんな、生きる価値の無い何の取り柄も無い『わるい子』のことなんて、何も見ていないでしょう?」
…『いい子』に。『いい子』になりたい。
耀う奇跡を希う みかちよ @shehamami
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