第4話
004
「どうして何もしてくれないんですか!?娘が死んだんですよ!?遺書に書かれていた5名の生徒を今すぐに調べてください!!」
「ですから月岡さん。5名に対して調査は行いました。その結果、月岡さんがいじめられたという事実はないと判断しました」
「そんなことありえない!!じゃあ娘のあの遺書はなんだったっていうの!?」
「わかりません。おそらく月岡さんは勉強のストレスから幻覚を見ていたか、もしくは被害妄想を抱いていた可能性があります」
「そんなはずはありません!!!娘を精神病扱いしないで!!!娘は正常でした!!!遺書に書かれていた5名にいじめられて自殺したんです!!娘は殺されたんです!!」
「お気持ちはわかりますよ月岡さん。ですが、こちらとしても綿密な調査を行い、同じクラスのすべての生徒にアンケート調査を行いました。その結果、月岡さんがいじめを受けている現場を見た生徒は一人もいなかったのです。我々としてはいじめはなかったと判断せざるをえません。いじめの証拠がどこにもないのですから」
「話になりません!!」
がちゃんと乱暴に電話を切った。
「うぅ…うぅうう…」
「酷いなぁ…人1人の命が失われたというのに…」
悔しさに啜り泣く月岡こずえの背中をまさしが撫でる。
月岡志乃が自殺をしてから1週間。
両親はてっきり警察により、捜査が行われると思っていたが、一向に進展はなかった。
警察に電話をすると、どうやらまずは学校側に調査を依頼していじめがあったかどうか、調べてもらっている段階らしい。
こずえが遺書に書かれていた6名の生徒を調べてほしいと学校側に電話を入れたのだが、学校側の動きはどうも鈍いようだった。
両親は、志乃は遺書に書かれていた6名の生徒によっていじめられ、自殺を選んだと確信していた。
娘が嘘をかいて赤の他人に罪を着せるような性格ではないことを誰よりも理解していた。
だが学校側はそもそもいじめの事実はなかったと言って、綿密な調査を拒否した。
両親は憤り、毎日電話をかけたが、学校側の対応は人1人の命が失われた重大さをまるで感じさせない、杜撰なものだった。
いじめの事実は今の所確認できていない。
同じクラスの生徒にアンケートを取ったが、いじめを見たという生徒は1人もいない。
遺書に名前の書かれた6人はとても真面目な生徒で周囲から慕われており、とてもいじめをするとは思えない。
以上のことから、これ以上の調査は必要ないというのが学校の判断となる。
学校側の説明は、このことをひたすら繰り返すだけだった。
「それではそのアンケートを見せてください!!生徒たちにアンケートを取ったのですよね!?本当にいじめの現場を目撃した生徒は1人もいないのですか!?」
「申し訳ないんですが、アンケートは生徒の個人情報となりますのでお見せすることはできません」
「そんなことがありますか!?娘が死んだんですよ!?いじめられて殺されたんです!あなたたちの対応が遅れたからじゃないんですか!?」
「娘さんの死に心が傷んでおられるのは理解しています。ですが、いじめはなかったのです。これが我々の出した結論です」
S高校の対応は、どこまでも杜撰で、両親を馬鹿にしたものだった。
学校側がいじめがあったと判断しなければ、警察が介入することもできないという。
こずえもまさしもすっかり絶望し、どうしていいか分からずに泣き寝入りをするしかなかった。
そして月岡志乃が死んでから十日後。
月岡家に一本の電話が入った。
「もしもし…そちら月岡さんの自宅でしょうか…?」
「はい…そうですが…」
「Z葬儀社の佐藤というのですが……その、今日はご報告したいことがありまして…」
「…なんでしょう?娘の葬儀のことなら」
「いえ、そのことではないのです…誠に申し上げにくいにですが…」
「…?」
「娘さんのご遺体が盗まれました」
「…………はい?」
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