葬儀
@aoi_tanka
葬儀
駆けつけば箱に冷たき君ありてドライアイスに添われて眠る
その縄は君の迷いか決意かと首に残りし赤き筋見つ
舌垂れて口に戻らぬまま眠るその首筋の縄の名残に
沈黙を永遠とせし父の横子らの声のみ弾みゐるなり
あそびたいと言へば母は泣きくづるつめたき父の傍らにゐて
いのち絶つ理由を誰も知らぬまま棺の口は閉ざされにけり
炉の奥へ君のかたちを見送りて色なき世界の始まりに立つ
ただ生きてくれよと願ふ果てにきて息子の骨の重さを拾ふ
砕かれて箒に寄する熱き骨君のかけらを静かに納む
元素へと君が還りしその日より雲を見上ぐる癖つきにけり
葬儀 @aoi_tanka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます