第6話 俺、ついに強敵とデュエルしちゃうんですか!?

D組の退学がかかった団体戦も、いよいよ大詰め。大将戦が始まろうとしている。

対戦相手であるC組側の大将、一ノ瀬アヤカは、既に準備万端という面持おももちだ。

見たところ、緊張の色など全くない。原作でも彼女は、どんな状況でもデュエルを楽しむタイプだった。そして楽しみながら、主人公であるツバサに勝利したのだった。


D組の命運を託された大将は、俺こと犬飼リョーマ。正確には、犬飼リョーマに転生してしまった俺。もう飽きるほど言ってきたような気もするが。

負ければクラスまとめて退学で、原作が完全に壊れてしまうこの状況。だが、俺の方にも緊張など無い。原作を壊してしまう恐怖よりも、原作で主人公すら破った強敵と戦える高揚感の方が勝っていた。

胸の奥が熱くたぎる。恐怖や緊張なんてとうに吹き飛んだ。きっと、目の前の強敵を超えてこそ、俺がこの世界に転生した意味がある。逃げ場なんてない。そんなもの意味が無い。今はただ――勝つしかない! 勝ちたい!


観客席から注がれる視線も、張り詰めた空気も、今は何一つ気にならなかった。

俺と、彼女だけの空間。まるで世界が切り取られたような錯覚さえ覚える。


「C組の色んな人と戦ったみたいだけど、ボクと戦うのは初めてだね、犬飼君」

一ノ瀬アヤカは微笑みながら、軽く首を傾げてこちらを見据える。その瞳に揺らぎはなく、まるで長年の知り合いと雑談でもするかのような気安さだ。


「ああ。だが、名前くらいはよく知ってる」

「――C組の最強。一ノ瀬アヤカ」

俺は口角を上げる。声が自然と熱を帯びていく。


「大げさだなあ」アヤカは肩をすくめる。「ボクはただ、デュエルが好きなだけだよ」

その声音はあくまで穏やか。けれど、その裏に潜む研ぎ澄まされた鋭さを、俺は感じ取っていた。彼女は、強い。


「デュエルが好き、か。だったら安心しろ。俺もだ」

俺は一歩、前へ踏み出す。

「――だから、全力で叩き潰す」


「ふふ、いいね。そうじゃなきゃ楽しくない」

アヤカの瞳がわずかに光を帯びた。普段の明るさの奥に、冷徹な戦略家の顔が垣間見える。


互いの視線が絡み合い、火花が散るような緊張感が走る。観客席のざわめきが遠くへ霞んでいった。


『――それでは、大将戦を開始します! 両者、所定の位置へ!』


アナウンスの声が響き渡る。

俺とアヤカは同時にデュエルガジェットを構え、デッキをセットする。その瞬間、胸の鼓動が爆発しそうなほど高鳴った。

この戦いの中で、俺は「原作の犬飼リョーマ」を演じる余裕などないだろう。そんな事をしながら戦って勝てるほど、一ノ瀬アヤカは甘い相手ではない。

だから、この世界に転生して初めて、俺は俺として、戦う。


「「デュエル!」」


轟音のような掛け声が、会場の空気を震わせた。


「ボクの先攻だね。ドロー」


アヤカの声色は柔らかい。だが、その手つきは冷静そのもので、迷いを一切感じさせなかった。


「スペルカードを3枚セットして、ターン終了」

「さ、君のターンだよ」


場に並んだのは3枚のスペルカード。それだけだ。小型のモンスターすら、アヤカの場には存在しない。


「……随分おとなしい初手だな」

俺は声をかける。


「焦らない焦らない。何事も準備が大切だよ」


アヤカの発言は実に的を射ている。まさに今のような派手さの無いスタートから、最後には主人公すら凌駕して見せた彼女の戦術を、俺は知っている。だから、油断など、無い。


「俺のターンだ。ドロー!」

「俺は《戦姫前衛 コガネ》を召喚!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫前衛 コガネ》

攻撃力:1900 レベル:4 アルカナ:正義

効果なし

◇◆◇◆◇◆◇◆


「《戦姫前衛 コガネ》で攻撃!」

恐らく、アヤカ相手に即断で攻撃できる機会はそう多くないだろう。故に、今召喚できる最も攻撃力の高いモンスターで攻める。


ドォン!と、ARビジョンによる攻撃演出がなされる。


「痛いなあ、もう。 …攻撃に迷いが無いね」

(一ノ瀬アヤカ LP:4000 → 2100)


割と大きめなダメージを喰らったはずのアヤカだったが、焦りの色は全く無い。


「カウンタースペル発動、《酸滲出》。ボクはデッキからモンスターを特殊召喚するよ」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《酸滲出》(カウンタースペルカード)

①自分がダメージを受けた場合に発動できる。受けたダメージの半分以下の攻撃力を持つ「スライム」モンスター1体を、デッキまたは手札から特殊召喚する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「出番だよ!《リーチ・スライム》!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《リーチ・スライム》

攻撃力:800 レベル:5 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。レベル4以下の相手モンスター1体のコントロールを得る。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「早速、厄介なモンスターのご登場だな」

言いながらも、俺に動揺は無い。最初にアヤカが無抵抗な盤面を晒した時から、この程度は想定済みだからだ。


「スペルカードを2枚セットして、ターンエンドだ」

とは言え、油断は禁物だ。アヤカほどのデュエリストが相手では、1手のミスが致命傷になるだろう。


「じゃあ、僕のターンだね。ドロー」

「早速、《リーチ・スライム》の効果を発動! 《リーチ・スライム》を墓地へ送って、君の《戦姫前衛 コガネ》を貰うよ!」


「させるか! 伏せていたカウンタースペル発動!《戦姫継承 バトンタッチ》!俺は②の効果を発動し、デッキから《戦姫後衛 サクヤ》を特殊召喚!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫後衛 サクヤ》

攻撃力:1500 レベル:3 アルカナ:正義

①このカードが戦闘により破壊され、墓地へ送られた場合に発動できる。自分の墓地から「戦姫前衛」モンスター1体を特殊召喚する。


《戦姫継承 バトンタッチ》(カウンタースペルカード)

自分フィールドの「戦姫」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。以下の①~②の効果から1つだけ選んで発動できる。

①墓地へ送ったモンスター以下のレベルを持つ「戦姫」モンスター1体を手札から特殊召喚する。

②墓地へ送ったモンスター未満のレベルを持つ「戦姫」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「俺のフィールドから《戦姫前衛 コガネ》がいなくなった事により、対象不在で《リーチ・スライム》の効果は不発だ!」


俺のモンスターを奪う事に失敗し、アヤカのモンスターは何も出来ぬまま、虚しく墓地へ送られる。


「…へぇ。結構先の展開まで読んでるんだね」

「仮にボクが、今君の場にいる《戦姫後衛 サクヤ》を戦闘破壊した場合、墓地から《戦姫前衛 コガネ》が戻って来る」

「《リーチ・スライム》のようなカードでサクヤのコントロールを奪おうにも、奪ったサクヤを次のターンで君が戦闘破壊したら、やはり墓地からコガネが戻って来る。そうなれば君の場にはコガネを含めた2体のモンスターが並ぶ。ボクにとってはかなりマズい状況だね」

「どうやって君の場のサクヤを処理するか。難しい問題だね」

言いながらも、アヤカは余裕の表情を見せている。発言とは裏腹に、このレベルの盤面であれば、「難しい」などとは思っていないのだろう。


「じゃあ、君の場のサクヤの処理は、君のコガネにやってもらおうかな」

「ボクは《ムーチ・スライム》を召喚するよ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ムーチ・スライム》

攻撃力:400 レベル:4 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。レベル4以下の相手の墓地のモンスター1体のコントロールを得る。

②自分の墓地に2体以上の「ムーチ・スライム」が存在する場合、「ムーチ・スライム」の①の効果は無効になる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「《ムーチ・スライム》は君の墓地のモンスターを奪う! 《ムーチ・スライム》を墓地へ送って、君の墓地の《戦姫前衛 コガネ》を貰うよ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫前衛 コガネ》(リョーマ墓地 → アヤカ場)

攻撃力:1900 レベル:4 アルカナ:正義

効果なし

◇◆◇◆◇◆◇◆


「そのまま《戦姫前衛 コガネ》で君の場の《戦姫後衛 サクヤ》を攻撃! 貫け!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫前衛 コガネ》

攻撃力:1900

      V.S.

《戦姫後衛 サクヤ》

攻撃力:1500

◇◆◇◆◇◆◇◆


ズドン!というARビジョンによる演出が、今度は俺に対してダメージを与える。


「くそっ…ダメージ量こそ多くないが……」

(犬飼リョーマ LP:4000 → 3600)


「本来なら、ここで君の《戦姫後衛 サクヤ》の効果が発動していた所だけど……」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫後衛 サクヤ》

攻撃力:1500 レベル:3 アルカナ:正義

①このカードが戦闘により破壊され、墓地へ送られた場合に発動できる。自分の墓地から「戦姫前衛」モンスター1体を特殊召喚する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「お前が俺の墓地から《戦姫前衛 コガネ》を奪った以上、対象不在でサクヤの効果は不発だ」


「フフフ、そういう事」

「最初にコガネを奪われそうになった段階で、コガネをエスケープさせてサクヤを召喚したのは悪くない戦術だったけど、詰めが甘かったね」


相も変わらず、アヤカは余裕を崩さない。


「ボクはこれでターン終了だよ。さあ、君のターンだ」


「言われずとも! 俺のターン! ドローッ!」


コガネとサクヤによる戦線維持の目論見は崩れたが、まだ何も終わっちゃいない。勝負はまだまだここからだ。


「……」

俺はしばし熟考する。

今の俺の手札なら、相手の場に存在する『奪われた』《戦姫前衛 コガネ》を戦闘破壊する事は可能だ。だが、一ノ瀬アヤカというデュエリストは、こちらのモンスターを奪って戦わせることで、『相手の防御を崩す』事と『自分の攻撃態勢を整える』事を両立するデュエリストだ。

無論、それは言葉で言う程簡単な事では無い。最初にアヤカが使って見せた《リーチ・スライム》などがいい例だ。あのモンスターは本来別のモンスターを生贄に捧げて召喚する必要がある、『レベル5』のモンスターでありながら、効果でコントロールを奪えるのは相手の『レベル4以下』のモンスターに限られる。この例に違わず、どのモンスターも、コントロールの奪取という強力な効果の代償に、どこか使いづらさが目立つ。アヤカが使う『スライム』というのは、そういうテーマなのだ。

しかし彼女は、持ち前の構築力とプレイングスキルで、その『使いづらさ』を全く苦にしていない。強いアヤカ相手に、『目の前のモンスターを倒す事だけを考える』などという甘いプレイングはご法度だ。あっと言う間に盤面を再起不能レベルで崩されてしまうだろう。


「だが……」

俺は手札のカードを一瞥した後、もう一度盤面を見渡す。

――アヤカは、俺が『コガネ』を戦闘破壊することを読んでいる…というより、むしろそれを誘っていると考えるべきか。


「…さて、どう出るか」

俺は息を整える。ここで安易にコガネの破壊に走れば、間違いなく逆襲される。だが、破壊せずに残せば、俺の防御は削られ続ける。結局のところ、どちらを選んでもリスクは避けられない。


重要なのは、アヤカにとって、どちらの展開が『より都合がいいか』だ。


俺の脳裏に、彼女の原作アニメでのデュエルが鮮やかに蘇る。初手から一貫していた布石、そして「相手の意図を逆手に取る」あのいやらしい間合いの取り方。

…そうだ。アヤカはいつだって、相手に『選択を迫り』、どちらを選んでも自分の得になるよう仕向けていた。


「ならば、選択肢ごとぶち壊すまでだ」

俺の口角が自然と釣り上がる。相手の読み筋ごと粉砕し、意表を突く。『アルカナ&モンスターズ』歴10年以上の腕の見せ所だ。


「…行くぞ、一ノ瀬。今度は俺の番だ!」

手札を1枚引き抜く。ここから繋げる一手で、アヤカが仕掛けた“選択の罠”を崩し去る。


「俺は! 手札から《戦姫戦線》を発動!手札の「戦姫」モンスター1体を墓地に捨て、カードを2枚ドローする!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫戦線》(スペルカード)

①手札の「戦姫」モンスター1体を墓地に捨てて発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「うんうん。困った盤面になったらデッキを信じてドローする。デュエリストの基本だよね」


余裕綽々で話しかけてくるアヤカだが、俺は怯まない。


「俺は《戦姫狂戦士 アカネ》を召喚!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫狂戦士 アカネ》

攻撃力:2000 レベル:4 アルカナ:正義

①このカードの攻撃宣言時に発動する。このカードの攻撃力は500ダウンする。この効果はこのカードが召喚されたターンには発動しない。

◇◆◇◆◇◆◇◆


余裕を見せていたアヤカの表情が少しだけ曇ったのが分かる。取りあえず、目論見の一つは外してやった。

アヤカが攻撃力1900の《戦姫前衛 コガネ》を俺から奪った以上、俺が盤面を覆すためには、更に高い攻撃力を持つモンスターを場に出さなければならない。そして、俺がコガネを倒すために場に出したその『更に高い攻撃力を持つモンスター』を、アヤカは再び奪い取るつもりだったのだろう。

だが、今俺が召喚した《戦姫狂戦士 アカネ》であれば、現段階での攻撃力は2000でも、自身の持つデメリット効果で、アヤカのターンで攻撃力は1500までダウンしてしまう。1500という攻撃力は、わざわざ奪うに値するか、ちょっと考えてしまう値のはずだ。


「《戦姫狂戦士 アカネ》で《戦姫前衛 コガネ》を攻撃!」


「させないよ! ボクは伏せていたカウンタースペルを発動!《粘質の瘴水》!」

「このカードは、ボクの墓地の「スライム」モンスターの効果をコピーして発動できるカードだよ。コピー先は勿論、ボクの墓地の《リーチ・スライム》さ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《粘質の瘴水》(カウンタースペルカード)

元々の持ち主が相手であるモンスター同士が戦闘を行う際に発動できる。

①自分の墓地の、効果が一つしかない「スライム」モンスター1体を選択する。このカードの効果は、選択したモンスターの効果と同じになる。


《リーチ・スライム》

攻撃力:800 レベル:5 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。レベル4以下の相手モンスター1体のコントロールを得る。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「恐らく君は、奪われた《戦姫前衛 コガネ》を破壊した後、攻撃力が下がってしまう《戦姫狂戦士 アカネ》をボクが奪うか迷う…、そんな風に考えていたんじゃないかな」

「確かに、場から《戦姫前衛 コガネ》が消えた後なら、わざわざ貴重なリソースを割いてまで、弱体化する《戦姫狂戦士 アカネ》を奪うかは迷うところだね」

「でも、前提が違うよ。そもそも君は今の盤面を覆せない。奪われた《戦姫前衛 コガネ》を戦闘破壊なんてできないのさ」

「なまじ、今までボクが『モンスターを奪う』という行為を全てボクのターンで行っていたから、思考から外れちゃってたんじゃないかな? 『自分自身のターンでモンスターが奪われる』っていう可能性をさ」

「君の場にはモンスターがいなくなって、ボクの場には君から奪った2体のモンスターが並ぶ。こう考えれば、これから奪う《戦姫狂戦士 アカネ》の攻撃力が弱体化する事なんて、大した問題にならないんじゃないかな?」

「さあ、解説は終わりだよ! 《リーチ・スライム》の効果をコピーした《粘質の瘴水》の効果で、君の《戦姫狂戦士 アカネ》を……」


「ご高説はありがたいが、そういうのは目論見が達成された後にやらないと、恥をかくだけになると思うぜ?」


「…どういう事かな?」


俺を罠にかけた、と確信していたアヤカの表情が、にわかに変化した。


「俺は墓地から《戦姫護衛 サキ》の効果を発動!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫護衛 サキ》

攻撃力:1000 レベル:3 アルカナ:正義

自分フィールドのレベル4以下の「戦姫」モンスター1体が相手の効果の対象になった時に発動できる。

①墓地のこのカードをデッキに戻し、レベル4以下の「戦姫」モンスター1体を対象としたその効果を無効にする。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「《戦姫護衛 サキ》は自身を墓地からデッキに戻すことで、俺の「戦姫」1体を相手の効果から守るカード!」

「《戦姫護衛 サキ》の効果で、俺の場の《戦姫狂戦士 アカネ》はお前の《粘質の瘴水》の効果から守られる!」


「ッ…! そんなカードいつの間に墓地に……」

「いや、さっきの《戦姫戦線》による手札交換……。あれは手札交換が目的じゃなくて、手札にあった《戦姫護衛 サキ》を墓地へ送るためのものだったのか!」


「その通りだ。だが今更気付いても遅い!《戦姫狂戦士 アカネ》の攻撃は継続!奪われた《戦姫前衛 コガネ》を攻撃だ! 打ち砕け!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫狂戦士 アカネ》

攻撃力:2000

      V.S.

《戦姫前衛 コガネ》

攻撃力:1900

◇◆◇◆◇◆◇◆


ズドンという効果音と共に、ARビジョンによるダメージエフェクトがアヤカを襲う。


「…流石に、ここまでC組相手に全戦全勝しているデュエリストだね」

(一ノ瀬アヤカ LP:2100 → 2000)


ダメージを受けながらも、まだまだ余裕の表情のアヤカ。


「ずいぶん余裕があるようだが、俺の攻撃はまだ終わっていないぞ!」

「俺は手札からカウンタースペル発動!《馳せ参じよ 一騎当戦姫》!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《馳せ参じよ 一騎当戦姫》(カウンタースペルカード)

「戦姫」モンスターが戦闘により破壊され、自分の墓地へ送られた場合に発動できる。

①自分フィールドの「戦姫」モンスター1体を墓地へ送る。

②戦闘によって墓地へ送られた「戦姫」モンスター1体と、①の効果で墓地へ送られたモンスターの合計レベルと等しいレベルを持つ「一騎当戦姫」モンスター1体を、デッキまたは手札から特殊召喚する。

③このカードの効果は1ターンに1度しか発動できない。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「このカードは、「戦姫」モンスターの戦闘破壊をトリガーとし、場に残った俺の「戦姫」モンスターを、「一騎当戦姫」へと進化させるカード!」


「ボクが奪った《戦姫前衛 コガネ》の戦闘破壊をトリガーに……!」

ここでようやく初めて、アヤカから余裕の表情が消える。ここだ。ここが攻め時だ。


「俺は、俺の場の《戦姫狂戦士 アカネ》を墓地へ送り、デッキから「一騎当戦姫」モンスターを特殊召喚する!」


この状況で場に出すカードなど、1枚しか存在しない。原作でかませ犬だった犬飼リョーマが強い思い入れを抱いていたカード。そして、原作のかませ犬に転生してしまった、今の俺の切り札のカード。


「仲間の声を力に変えて、戦場を駆け抜けろ!一騎当千の力をその身に宿し、敵も逆境も討ち払え!我が切り札―― 《一騎当戦姫 ヒビキ》!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 ヒビキ》

攻撃力:2600 レベル:8 アルカナ:正義

①手札を任意の枚数墓地へ捨てて発動できる。捨てたカードの内、「戦姫」と名の付くカードの数×500ポイント攻撃力が上昇する。この効果はターン終了時まで継続する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


ARによる荘厳なエフェクトと共に現れる、原作のリョーマの、そして俺の切り札。


「これは……マズイね……」

アヤカの表情には余裕が無い。このタイミングで高レベルのモンスターが突如出現するのは、完全に予想外だったのだろう。


「まだ俺は攻撃宣言が可能だ! 《一騎当戦姫 ヒビキ》!一ノ瀬にダイレクトアタックだ! 決めろ! メイデンズ・ストライク!!」


一ノ瀬のライフポイントは2000。対して《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃力は2600だ。D組の観客席からは「決まった!」だとか「よっしゃあ!これで勝ちだ!」などと言う声、C組の観客席からも悲嘆の声が聞こえるが、この勝負はそんなに甘くない。


「ボクはカウンタースペル、《緊急障壁》を発動! ボクのライフを半分払い、《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃を無効にする!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《緊急障壁》(カウンタースペルカード)

自分のライフポイント以上の攻撃力を持つ相手モンスターのダイレクトアタック宣言時に発動できる。

①相手モンスターの攻撃を無効にし、自分のライフポイントを半分にする。

②「緊急障壁」の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。

◇◆◇◆◇◆◇◆


ARビジョンによる盾のエフェクトに防がれ、《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃は霧散する。


観客席からは「惜しい!」だとか「助かった!」だとか、様々な声が次々と上がる。興奮して身を乗り出す者もいれば、胸を押さえて座り込む者もいて、会場全体が大きなうねりのように揺れていた。


「正直、びっくりしたよ」

「君のターンにモンスターを奪うっていう、ボクの奇襲を捌いただけじゃなく、返す刀で大型モンスターを展開する」

「危なかったよ。本当に危うくボク、やられちゃうところだった」

(一ノ瀬アヤカ LP:2000 → 1000)


実際、予想外だったのは確かだろう。俺の《一騎当戦姫 ヒビキ》の召喚に対し、アヤカは本気で驚いた表情をしていた。

だが、全体としてはまだまだ許容範囲内。それを示すように、アヤカの表情には余裕が戻りつつある。


だが、この状況が許容範囲内なのは俺も同じだ。俺とて、今の《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃で試合が決まると思っていたわけでは無い。俺の狙いは、アヤカの場に伏せてあった最後のカウンタースペルを使わせることだった。

最初にアヤカが場に伏せたカードは3枚。その内2枚は、相手の行動を阻害しつつも、「スライム」モンスターの展開や効果発動を補助するカードだった。だが、たった今使った《緊急障壁》だけは違う。「スライム」とは関係ない、純然たる防御札。いわばアヤカにとっての、緊急時用の非常手段。

それを使わせたことで、ようやくアヤカの場を丸裸に出来たのだ。この段に至ってようやく、本当の意味で俺の攻撃はアヤカに通り始める。


「俺はスペルカードを1枚セットして、ターンエンドだ」


ここからが本当の勝負だ。アヤカが盤面を立て直し、俺を雁字搦めにして動けなくするのが先か、俺がアヤカにとどめを刺すのが先か。

俺がそう感じるのと同様に、アヤカも似たような分析をしているようだった。


「ボクのターンだね。 ドロー!」

「ボクは《スライム・トレード》を発動!手札のスライムを捨てて、デッキからカードを2枚ドロー!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《スライム・トレード》(スペルカード)

①手札の「スライム」モンスター1体を墓地に捨てて発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「そして、ボクは続けてスペルカード《文明の代償》を発動!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《文明の代償》(スペルカード)

①デッキから「スライム」モンスター1体を墓地へ送る。相手フィールドにレベル7以上のモンスターが存在する場合、墓地へ送らず自分フィールドに特殊召喚することも出来る。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「このカードはボクのデッキからスライムを墓地へ送るカードだけど、君の場にレベル7以上のモンスター……、例えば《一騎当戦姫 ヒビキ》なんかがいたら、墓地へ送らずそのままスライムを特殊召喚できるカード!」

「見せてあげるよ。ボクの切り札を」


にわかに、アヤカの表情が変わる。冷静だった瞳が鋭く光り、口元には微かな笑みが浮かぶ。まるで盤面の全てを支配する自信に満ちたその顔は、対戦相手の俺だけでなく、観客席の空気までピンと張り詰めさせる。俺の胸に、戦慄とも期待ともつかない感覚が走った。

来る。あのモンスターが。


「現れよ! ……ボクの切り札、《ベノム・パラサイト・スライム》!!」

「運命を絡め取り、相手の力をその手に――さあ、支配せよ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ベノム・パラサイト・スライム》

攻撃力:1500 レベル:7 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。相手モンスター1体のコントロールを得る。

②このカードが墓地に存在し、相手がスペルカード・カウンタースペルカードを発動した際に発動できる。この効果の発動に対し、相手は自身の手札を1枚捨てることができる。捨てた場合、このカードをデッキに戻す。捨てなかった場合、相手が発動したスペルカード・カウンタースペルカードの効果を無効にし、その後、このカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


一ノ瀬アヤカの明るく親しみやすい雰囲気とは全く似ても似つかない、巨大で不気味な粘液の塊が姿を現す。ARビジョンと分かっていても、その不気味さはこちらを戦慄させる。


「《ベノム・パラサイト・スライム》は他の多くのスライム同様、自身を墓地へ送って相手モンスターを奪うことが出来る」

「ただし! 奪う相手モンスターに何の制限も無い! どんな攻撃力のモンスターも、どんなレベルのモンスターも奪うことが出来る!」

「行け!《ベノム・パラサイト・スライム》! 犬飼君の場の《一騎当戦姫 ヒビキ》に寄生しろ! パラサイト・ドミネーション!」


俺が大型モンスターである《一騎当戦姫 ヒビキ》を場に残した段階で、この展開は想定済みだ。


「読んでいたさ! 俺は伏せていた《戦姫継承 バトンタッチ》を発動する!」

「この効果により、《一騎当戦姫 ヒビキ》が場から離れるため《ベノム・パラサイト・スライム》の効果は不発!だが、ヒビキの魂は後続の戦姫に継承される!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫継承 バトンタッチ》(カウンタースペルカード)

自分フィールドの「戦姫」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。以下の①~②の効果から1つだけ選んで発動できる。

①墓地へ送ったモンスター以下のレベルを持つ「戦姫」モンスター1体を手札から特殊召喚する。

②墓地へ送ったモンスター未満のレベルを持つ「戦姫」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「君がカウンタースペルを発動した事をトリガーに、ボクは《ベノム・パラサイト・スライム》のもう一つの効果を発動!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ベノム・パラサイト・スライム》(効果一部抜粋)

②このカードが墓地に存在し、相手がスペルカード・カウンタースペルカードを発動した際に発動できる。この効果の発動に対し、相手は自身の手札を1枚捨てることができる。捨てた場合、このカードをデッキに戻す。捨てなかった場合、相手が発動したスペルカード・カウンタースペルカードの効果を無効にし、その後、このカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「君が手札を捨てなければ、《戦姫継承 バトンタッチ》の効果は無効になり、後続の「戦姫」モンスターを召喚する事は出来ないよ」

「でも、君の手札は1枚だけ。貴重な手札を捨てられるかな? まあもっとも、《戦姫継承 バトンタッチ》は『カードの発動時に』《一騎当戦姫 ヒビキ》を墓地へ送っているから、いずれにせよ《ベノム・パラサイト・スライム》の最初の効果の方は既に対象不在」

「君がここで手札を捨てなくても、君のモンスターが奪われることは無いよ」

「さあ、ゆっくり考えなよ」


「考えるまでも無い。俺は手札を1枚捨て、《戦姫継承 バトンタッチ》の効果を有効にする!」

「《戦姫継承 バトンタッチ》の効果により、俺はデッキから新たな戦姫を特殊召喚する!」


「響く思いを胸に抱き、そのすべてを力に変えて、《一騎当戦姫 カナデ》、ここに参る!全ての敵に立ち向かえ!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 カナデ》

攻撃力:2400 レベル:7 アルカナ:正義

①自分フィールド、または自分の墓地に「一騎当戦姫 ヒビキ」が存在する場合に発動できる。手札を任意の枚数墓地へ捨て、捨てたカードの内、「戦姫」と名の付くカードの数まで、このカードは追加で攻撃宣言できる。

②このカードは自身と同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘では破壊されない。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「へえ、迷い無く手札を捨てたね。貴重な最後の手札だったのに、捨てちゃってよかったの?」


「答えは簡単だ。あのカードは決して『最後の手札』などではない!」

「俺は墓地の《戦姫伝令 アズサ》の効果を発動! デッキからカードを1枚ドローし、それが「戦姫」カードだった場合、手札に加える!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫伝令 アズサ》

攻撃力:100 レベル:3 アルカナ:正義

①このカードが手札から墓地へ送られた場合、プレイヤーはデッキからカードを1枚ドローする。そのカードが「戦姫」カードだった場合、手札に加え、違った場合、ドローしたカードをデッキの一番下に戻す。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「もっとも、このドローは運任せだがな」

「行くぞ! ドロー!」


俺がカードをドローして数瞬、しばしの沈黙が流れる。


「俺がドローしたカードは…、《戦姫の意地》。 「戦姫」カードをドローしたため、このカードを手札に加える!」


俺のドローに対し、アヤカは不敵な笑みを浮かべる。


「運がいい…っていうだけじゃないね。運の要素も勿論あるだろうけど、恐らく君はデッキを構築する段階で、そのほとんどを「戦姫」カードにしていたんだ」

「故に、今のドローで「戦姫」カードを引く確率はかなり高かったはずだ。お見事お見事」

「君は手札を失う事も無く見事に戦線の維持に成功し、対してボクの《ベノム・パラサイト・スライム》はデッキに戻ってしまった」


一ノ瀬アヤカの言う通り、盤面は俺に圧倒的優位のはずだ。しかし、彼女には依然として余裕がある。


「でも、これは読めてたかな? ボクは手札から、2枚目の《文明の代償》を発動!」

「再びデッキより現れろ!《ベノム・パラサイト・スライム》!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《文明の代償》(スペルカード)

①デッキから「スライム」モンスター1体を墓地へ送る。相手フィールドにレベル7以上のモンスターが存在する場合、墓地へ送らず自分フィールドに特殊召喚することも出来る。


《ベノム・パラサイト・スライム》

攻撃力:1500 レベル:7 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。相手モンスター1体のコントロールを得る。

②このカードが墓地に存在し、相手がスペルカード・カウンタースペルカードを発動した際に発動できる。この効果の発動に対し、相手は自身の手札を1枚捨てることができる。捨てた場合、このカードをデッキに戻す。捨てなかった場合、相手が発動したスペルカード・カウンタースペルカードの効果を無効にし、その後、このカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


再び現れるアヤカの切り札に、俺は思わず「しまった!」と叫ぶ。

俺に「スライム」モンスターの効果をかわす手段がある事、そして、俺がリスクを冒してでも戦線維持を選ぶことを、アヤカは読んでいたのだ。


「最初の《ベノム・パラサイト・スライム》の効果は、『妨害される事』を前提としたブラフか…!」


「そういう事。君の先を読んだデュエルは見事だと思うよ」

「でも時にデュエルと言うのは、先の先まで読まないと勝てないよ」


悔しいが、全くアヤカの言う通りだ。先を読んで《戦姫継承 バトンタッチ》によりヒビキをエスケープさせ、《一騎当戦姫 カナデ》で戦線を維持したつもりが、まさに今、先の先を読んでいたアヤカの《ベノム・パラサイト・スライム》により、俺の《一騎当戦姫 カナデ》は奪われようとしている。


「それじゃ、君のモンスターを貰うよ! 寄生しろ!《ベノム・パラサイト・スライム》! パラサイト・ドミネーション!!」


アヤカの場の《ベノム・パラサイト・スライム》は効果により墓地へ送られるが、代わりに俺の場の《一騎当戦姫 カナデ》は、アヤカの場へと奪われてしまう。

全くもって割に合わないトレードだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 カナデ》(リョーマ場 → アヤカ場)

攻撃力:2400 レベル:7 アルカナ:正義

◇◆◇◆◇◆◇◆


「ボクは、ボクのモンスターになった《一騎当戦姫 カナデ》で攻撃!砕け!カナデ!」


「ぐぅっ…あぁぁぁ!」

(犬飼リョーマ LP:3600 → 1200)


ARビジョンによる風圧とは言え、流石に2400のダメージは堪える。

ここまで、ライフポイントの数値だけは圧倒的に優勢だったが、俺のライフは1200、一ノ瀬アヤカのライフは1000。ほぼ差は無くなった。


盤面はいよいよ俺の不利だが、『不利ではあるが、犬飼リョーマはまだ終わらない』。俺自身はそう思っている。


…そして、観客席で見守るC組・D組双方の生徒も、同じことを感じていた。

リョーマは知る由も無いが、観客席の反応がそれを証明していた。まさに、さざめきにも似た声が絶え間なく上がる。

「うわ、すごい……!」

「ここまで読み合いが続くなんて!」

「互いに一歩も譲ってねえ……」


その中で、ツバサは目を大きく見開き、息を呑む。

「…レベルが違う。一ノ瀬さんも、犬飼ものヤツも。あんな読み合い、俺、初めて見たぜ……」


カオリも身を乗り出すようにして、リョーマとアヤカの織り成す盤面を見つめる。

「本当……ですね。一ノ瀬さんの戦略の幅もすごいですけど、犬飼君もまだ決して負けていません。どちらが勝つか、本当に分からない……」


どの攻防も、一瞬の判断ミスが命取りになりかねないデュエル。しかし、二人が繰り出す一手一手に一切の迷いが無い事は、誰の目にも明らかだった。


「俺……正直、犬飼がどう戦ってるのか、全然分からない……。でも、見ていて手に汗握る……」

ツバサの言葉に、カオリは小さくうなずく。


「はい……。まるで、目の前でプロのデュエリストのデュエルを見てるみたい……」


観客席のざわめきと共に、デュエルはますます熱を帯びていく。


「…本当に楽しいデュエルだったよ。でも、そろそろ終わりの時間だよ」

1枚のカードを手にしながら、アヤカはリョーマに告げる。『このカードが勝負を決める』。アヤカにはその確信があるようだ。


「ボクは《ギャラルホルン・スライム》を召喚する!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ギャラルホルン・スライム》

攻撃力:100 レベル:1 アルカナ:運命

このカードは、自分のライフポイントが1000以下の場合のみ召喚・特殊召喚できる。また、このカードは召喚した3ターン後(自分のターンで数える)に破壊される。

①このカードは攻撃宣言できず、相手の攻撃対象にならない。自分フィールドのモンスターが「ギャラルホルン・スライム」のみの場合、相手の攻撃はプレイヤーへの直接攻撃になる。

②自分フィールドに「スライム」モンスターが存在し、更に「スライム」モンスター以外のモンスターが存在する場合、相手は「スライム」モンスターを攻撃対象に選択できない。

③自分のライフポイントが相手のライフポイントより少ない場合、墓地からデッキに戻る「スライム」モンスターは、デッキに戻らずフィールドに特殊召喚される。

④自分のライフポイントが相手のライフポイントより少なく、自分フィールドに「スライム」モンスターのみが存在する場合、自分フィールドの「スライム」モンスターの攻撃力は、元々の攻撃力の2倍になる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「効果の長いモンスターだけど、特に大事なのは③の効果かな。ボクのライフは君を下回っているから、次にボクが墓地の《ベノム・パラサイト・スライム》の効果を発動したら、《ベノム・パラサイト・スライム》はボクのフィールドに戻って来る」

「犬飼君なら、この意味が分かるよね?」

「墓地の《ベノム・パラサイト・スライム》で相手のスペルカードを妨害し、フィールドに戻った《ベノム・パラサイト・スライム》は相手のモンスターに寄生し、奪う。そして再び《ベノム・パラサイト・スライム》は墓地へ行くから、更にスペルカードの妨害が可能になる……」

「《ベノム・パラサイト・スライム》による妨害の永久機関の完成だね」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ベノム・パラサイト・スライム》

攻撃力:1500 レベル:7 アルカナ:運命

①自分フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。相手モンスター1体のコントロールを得る。

②このカードが墓地に存在し、相手がスペルカード・カウンタースペルカードを発動した際に発動できる。この効果の発動に対し、相手は自身の手札を1枚捨てることができる。捨てた場合、このカードをデッキに戻す。捨てなかった場合、相手が発動したスペルカード・カウンタースペルカードの効果を無効にし、その後、このカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。


《ギャラルホルン・スライム》(効果一部抜粋)

③自分のライフポイントが相手のライフポイントより少ない場合、墓地からデッキに戻る「スライム」モンスターは、デッキに戻らずフィールドに特殊召喚される。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「全く、厄介なモンスターを召喚してくれたもんだぜ」

言いながら、俺は考える。『一応、《ギャラルホルン・スライム》は3ターン後に自壊する効果がある』。『しかし、《ベノム・パラサイト・スライム》による妨害の永久機関を前に、ここから3ターン凌ぐのは不可能だ』。


「実質、次が俺のラストターンだな」


「そうだね。ライフが0になるかはともかくとして、次のターンで全てをひっくり返さないと、君に勝機は無いと思うな」

「ボクは、これでターンエンドだよ」


俺のターンが回って来て、俺は山札のカードに手をかける。

今の手札だけで、この状況の突破は不可能だ。 このドローに、全てを託すしかない。


「俺のターン! ドローッ!!」


ドローしたカードを一瞥し、俺は「よし!」と声を上げる。


「俺は、《強欲の仮面》を発動!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《強欲の仮面》(スペルカード)

①自分はデッキからカードを2枚ドローする。

②自分の墓地に「強欲の仮面」が存在する場合、このカードの①の効果は無効になる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


アヤカの表情が僅かに曇る。恐らく、悩んでいるのだ。

アヤカの墓地に存在する《ベノム・パラサイト・スライム》の効果で、《強欲の仮面》を無効にすることは可能だ。しかしそうした場合、《ベノム・パラサイト・スライム》はフィールドに特殊召喚され、『2枚目以降の俺のスペルカードを妨害できない』状態になるのだ。

言うまでも無く、《強欲の仮面》は強力なカードだ。しかしアヤカは1ターンに1度しかスペルカードを妨害できない以上、『最も妨害すべき場面は本当にここなのか』と悩んでいるのだ。


「ボクは墓地の《ベノム・パラサイト・スライム》の効果を…」


アヤカの選択を待つ。手に握った冷や汗を、悟られないように。


「墓地の《ベノム・パラサイト・スライム》の効果を使用する。まあ常識的に考えて、《強欲の仮面》で逆転の効果を持った『モンスターカード』を引かれちゃったら、《ベノム・パラサイト・スライム》じゃどうしようも無くなるからね」

「まあ、君が手札を捨てれば《強欲の仮面》の効果は通っちゃうから、結局同じことなんだけどさ。さ、早く手札を捨てなよ」


まずは1つ、賭けに勝った。


「いいや、俺は手札を捨てない。《ベノム・パラサイト・スライム》の効果で、《強欲の仮面》は無効になる」


俺の選択に観客席はどよめく。驚愕はアヤカも同様であった。


「き、君は馬鹿なの!? どう考えてもここは手札を捨てて、《強欲の仮面》を通す場面で……」


しかし言いながら、アヤカは気づいたようだった。この場面、素直に手札を捨てて《強欲の仮面》の効果を通せば、俺の手札は1枚増えるが…、俺には、それを放棄してでも通したい策があると言う事に。


墓地からデッキに戻るはずだった《ベノム・パラサイト・スライム》がフィールドに特殊召喚される。これでアヤカの場には《ベノム・パラサイト・スライム》、《ギャラルホルン・スライム》、そして、俺から奪った《一騎当戦姫 カナデ》の3体が存在する。


「この時を待っていた! 俺は伏せていたスペルカードを発動!《戦姫の苦肉 ラスト・リゾート》!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫の苦肉 ラスト・リゾート》(スペルカード)

このカードは、相手フィールドに3体以上のモンスターが存在する場合のみ発動できる。

①デッキからレベル6以下の「戦姫」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、ターン終了時に破壊される。

②このターン終了時、①の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふ、伏せていたのはスペルカード!? カウンタースペルじゃない……ブラフだったの!?」

アヤカが驚嘆の声を上げる。


「ああ、そうさ! だからこの状況も、計算して生まれた状況じゃない。こう言っちゃなんだが、最後の最後で運と成り行きに任せる羽目になっちまったよ」

アヤカの驚嘆に、俺は正直な感想で答える。彼女相手に、戦略と計算だけでは戦えなかった。最後の最後、運に頼ることになった。そんな彼女に、敬意を表したのだ。


「俺は《戦姫の苦肉 ラスト・リゾート》の効果により、デッキから《戦姫宿将 サイ》を特殊召喚!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫宿将 サイ》

攻撃力:2800 レベル:6 アルカナ:正義

①このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、このカードは破壊される。

②自分の墓地に「戦姫宿将 サイ」が存在する場合、このカードの攻撃力は半分になる。

③このカードが墓地に存在する時、自分の墓地の「一騎当戦姫」カード1枚をデッキに戻し発動できる。デッキから「戦姫」カード1枚を手札に加える。この効果は相手ターンでも発動できる。「戦姫宿将 サイ」の③の効果は、デュエル中に1度だけ発動できる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「《戦姫宿将 サイ》の攻撃力は2800。そして俺はこのターン終了時、その数値分のダメージを受ける」


「まさに苦肉の策ってわけだね」

「いいよ、見せてよ。君の最後の策を!」


「言われずともやってやるさ! 俺は《戦姫宿将 サイ》で攻撃! お前の場の《ギャラルホルン・スライム》の効果で、攻撃対象は自動的に《一騎当戦姫 カナデ》に決定される!」

「奪われた仲間の誇りを取り戻せ! 行け! サイ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫宿将 サイ》

攻撃力:2800

      V.S.

《一騎当戦姫 カナデ》

攻撃力:2400

◇◆◇◆◇◆◇◆


ARビジョンによる戦闘の演出と共に、破壊音と風圧がアヤカを襲う。


《戦姫宿将 サイ》による《一騎当戦姫 カナデ》の撃破演出。そして、《戦姫宿将 サイ》のデメリット効果による自壊演出。

アヤカにダメージを与えたが、《戦姫宿将 サイ》が自壊したことで、俺のフィールドはガラ空きになる。


「っ……、だけど、それだけじゃボクは倒せないよ!」

(一ノ瀬アヤカ LP:1000 → 600)

「そして、ボクのフィールドのモンスターが「スライム」モンスターのみになったため、《ギャラルホルン・スライム》の④の効果が適用される!」

「ボクの場の全ての「スライム」モンスターの攻撃力は倍になる!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ギャラルホルン・スライム》(効果一部抜粋)

攻撃力:100 → 200

④自分のライフポイントが相手のライフポイントより少なく、自分フィールドに「スライム」モンスターのみが存在する場合、自分フィールドの「スライム」モンスターの攻撃力は、元々の攻撃力の2倍になる。


《ベノム・パラサイト・スライム》(効果省略)

攻撃力:1500 → 3000

◇◆◇◆◇◆◇◆


攻撃力と共に、ARビジョンでも巨大な出で立ちになるアヤカのスライム達。

だが、俺は怯まない。


「俺は! 手札の《戦姫の意地》の効果を発動!墓地から「戦姫」モンスター1体を蘇生する!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫の意地》(カウンタースペルカード)

①自分の墓地から「戦姫」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃可能な場合、必ず攻撃しなければならず、ターン終了時に破壊される。

②自分の墓地に《戦姫の意地》が存在する場合、このカードの①の効果は無効になる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「帰ってこい! 俺の切り札!!」

「《一騎当戦姫 ヒビキ》!!!」


ARビジョンによる荘厳なエフェクト共に、降臨する切り札、《一騎当戦姫 ヒビキ》。その佇まいは、アヤカのスライム達を威圧しているかのようだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 ヒビキ》

攻撃力:2600 レベル:8 アルカナ:正義

①手札を任意の枚数墓地へ捨てて発動できる。捨てたカードの内、「戦姫」と名の付くカードの数×500ポイント攻撃力が上昇する。この効果はターン終了時まで継続する。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「攻撃力2600…、残念だったね。それじゃあ攻撃力3000になった、ボクの《ベノム・パラサイト・スライム》には届かないよ」

「そして、《ギャラルホルン・スライム》の効果により、君は《ベノム・パラサイト・スライム》以外を攻撃できない」

「このままターン終了すれば、君は自分が発動した、《戦姫の苦肉 ラスト・リゾート》の効果で2800ダメージを受けて、ボクのターンを待たずに敗北」

「万事休す、じゃないかな?」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ギャラルホルン・スライム》(効果一部抜粋)

①このカードは攻撃宣言できず、相手の攻撃対象にならない。


《戦姫の苦肉 ラスト・リゾート》(効果一部抜粋)

②このターン終了時、①の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「いいや、何も終わっちゃいないさ! 俺にはまだ最後の手が残されている!」

「俺は、墓地の《戦姫宿将 サイ》の効果を発動! 俺の墓地の《一騎当戦姫 カナデ》をデッキに戻し、《戦姫必殺 クリムゾン・エッジ》を手札に加える!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫宿将 サイ》(効果一部抜粋)

③このカードが墓地に存在する時、自分の墓地の「一騎当戦姫」カード1枚をデッキに戻し発動できる。デッキから「戦姫」カード1枚を手札に加える。この効果は相手ターンでも発動できる。「戦姫宿将 サイ」の③の効果は、デュエル中に1度だけ発動できる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「そして俺は、そのまま《戦姫必殺 クリムゾン・エッジ》を発動!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《戦姫必殺 クリムゾン・エッジ》(カウンタースペルカード)

①自分のライフポイントを半分払って発動できる。自分フィールドの「戦姫」モンスター1体の攻撃力を、相手フィールドの最も攻撃力の低いモンスター1体の攻撃力分だけアップする。このカードの発動と効果は無効化されない。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「コストとしてライフを半分払う必要があるが…」

(犬飼リョーマ LP:1200 → 600)


「お前のフィールドの最も攻撃力の低いモンスター、《ギャラルホルン・スライム》の攻撃力分だけ、《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃力をアップする!」


――リョーマのこの行動に対して、観客席は一斉にざわめき立った。

「は? なんで今、あんな事するの?」

「《一騎当戦姫 ヒビキ》の2600に《ギャラルホルン・スライム》の200を足したって、せいぜい2800。一ノ瀬の《ベノム・パラサイト・スライム》の3000には届かないだろ!」

「……無駄だろ。まさか、あれで押し切れるとでも思ってんのか?」

「犬飼君、自棄になっちゃったのかな?」


D組のどよめきは困惑から失望、そして不安に変わっていく。

誰もが勝負の趨勢を読み誤ったわけではない。彼ら彼女らの言う事は、部分的にだが正しい。


ツバサも、腕を組んだまま困惑の目を向けていた。

(……わからねえ。犬飼のヤツ、あんな単純な計算を間違えたわけは無い。なら、何を狙ってる?)


隣でカオリも小さく息を呑んだ。

「犬飼君……意図が分かりません。 普通に考えれば、アップしてなお、攻撃力が足りません……」

ツバサにせよ、カオリにせよ、アヤカに対する畏れと、リョーマのデュエルの腕への信頼の狭間で揺れる緊張が色濃く滲んでいた。


観客席全体が困惑と緊張に包まれる中、盤上に立つリョーマだけは迷いのない眼差しをしていた。

まるで――何か決定的な逆転の糸口を既に掴んでいるかのように。


そして、困惑とは全く別の感情を抱く者がもう一人いた。

他ならぬ、一ノ瀬アヤカその人であった。

盤上でリョーマに相対する彼女も、この状況の真意が分かっていた。


「…まいったなあ。まさかこんな方法で突破されるなんて」

アヤカがそう言うと、それに反応したように、観客席から、先ほどとは違ったざわめきが起こる。

いわく、「《一騎当戦姫 ヒビキ》の攻撃力がおかしい」と。


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 ヒビキ》

攻撃力:2600 → 2700

◇◆◇◆◇◆◇◆


観客席の反応が、「何故」から、徐々に「そういう事だったのか!」に変わり始める。


それに追従するように、リョーマが言葉を発する。

「俺が《戦姫必殺 クリムゾン・エッジ》を発動した結果、俺のライフポイントは半分になった」

「結果、俺のライフポイントとお前のライフポイントは共に600で並んだ」

「お前の《ギャラルホルン・スライム》の攻撃力を倍にする効果は、『相手よりライフポイントが下回っている』時にしか発動しない!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《ギャラルホルン・スライム》(効果一部抜粋)

④自分のライフポイントが相手のライフポイントより少なく、自分フィールドに「スライム」モンスターのみが存在する場合、自分フィールドの「スライム」モンスターの攻撃力は、元々の攻撃力の2倍になる。

◇◆◇◆◇◆◇◆


「よって!今この時においては!お前の《ベノム・パラサイト・スライム》の攻撃力も元に戻る!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

犬飼リョーマ & 一ノ瀬アヤカ:LP 600


《一騎当戦姫 ヒビキ》

攻撃力:2600 → 2700

(《ギャラルホルン・スライム》の攻撃力分が足されている)


《ベノム・パラサイト・スライム》

攻撃力:3000 → 1500


《ギャラルホルン・スライム》

攻撃力:200 → 100

◇◆◇◆◇◆◇◆


観客席に、歓声とも悲鳴ともつかないどよめきが走る。

「な、なんだとッ!?」

「嘘でしょ……あの動き、あんな意味があったの!?」

「犬飼、計算づくだったのかよ!」


つい先ほどまで「自棄になった」と見なされていた行動が、鮮やかにアヤカの布陣を切り崩し、盤面を一変させていたのだ。


ツバサは椅子から思わず立ち上がった。

「…っ! まさか、アイツそこまで考えてたのか!? 普通のデュエリストじゃ絶対に辿り着けない一手だ……!」

彼の声は驚嘆と興奮に震えていた。


隣のカオリも、唇を押さえながら目を見開く。

「…これが、犬飼リョーマ……。あんなに強い一ノ瀬さんと互角以上に渡り合って、こんなにすごい一手を打てる……。信じられません……」

その声はかすれていた。驚きと緊張が、息を詰まらせるように胸を締め付けていたのだ。


観客席全体が沸き立つ中で、その視線はただ一点――盤上のリョーマに釘付けだった。


…観客席の空気を知ってか知らずか、犬飼リョーマと一ノ瀬アヤカは、しばし無言で対峙する。


「……」

その沈黙に、どんな意味が込められているのか。対峙している二人以外に、それを知る術を持つ者など、いない。


「…俺は! 《一騎当戦姫 ヒビキ》で《ベノム・パラサイト・スライム》を攻撃!」

「全ての枷を打ち砕け! メイデンズ・ストライク!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

《一騎当戦姫 ヒビキ》

攻撃力:2700

      V.S.

《ベノム・パラサイト・スライム》

攻撃力:1500

◇◆◇◆◇◆◇◆


ズガアァァァン!と、今日最も大きな破壊音とエフェクトが、ARビジョンによって展開される。


「はははっ! 楽しかったなあ!」

(一ノ瀬アヤカ LP:600 → 0)


ダメージ演出の風圧を受け、遂に敗北したアヤカであったが、その表情はとても晴れやかに見えた。


デュエルが終わり、ARの映像が完全に消え去り、煌びやかな演出も幕を引いた。

広大な講堂の中央――壇上に立つのは、犬飼リョーマと一ノ瀬アヤカ、ただ二人だけ。


余韻冷めやらぬ歓声が観客席から渦を巻く中、リョーマは胸の奥から絞り出すように、だが全力の響きを乗せて叫んだ。


「勝ったぞおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」


その声は天井を突き抜けるほどの勢いで広がり、歓声とぶつかり合いながらも一際鮮烈に響き渡った。

かませ犬に過ぎなかったはずの犬飼リョーマ。だが今、因果の糸をねじ伏せるように、一ノ瀬アヤカと真っ向からぶつかり合い――そして勝利を掴み取った。


それは歓喜であり、解放であり、魂の咆哮だった。


―第6話、 了

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