釣れっかな

一筆書き推敲無し太郎

第1話

今日は釣れっかな。釣るのは女じゃなくて魚とか。今日は女じゃないのさ。

釣りは自分と向き合う時間でメインは魚じゃない。じゃあなんのために釣りにまで行くのかと。

問われる自分と向き合うために行くのさ。そこには自分だけ居たらいい。脳内にはたくさん釣った人がいるから、それについて思案する日。周囲には普通に釣りしている人が集まっている。自分だけ、釣り具を持ってきていない。所持品はウィンドブレーカーとかの防寒具だけ。自分に話しかけてくるおせっかいな釣り同士は減ってきたのが有難い。釣り具忘れたんじゃないよ、釣りする気はないからだよ。そんな自分の正義を聞かせると釣り同士はすごすごといなくなってくれる。ここは自分の世界。向き合うために必要な静寂。波音や川のせせらぎはヒーリングミュージック。音源をネットで用意してもいいんだけど、完全な静寂は求めていない。水の香りがわかって、太陽に曝されて、目を開ければ釣り同士がシーンと釣りに没頭してる。この感覚。

今日向き合うのは釣った人たちと明言したけど、理解されるのか否か。

釣った自覚がないけど、ついてくるから困っているってこと。

年下で自分に引っ付いてくる奴を釣った人と呼称している。

釣ったきっかけは昼飯行こうと言っただけ。別段、なにかあるわけじゃない。

自分の時間は昼飯以外に設けるから。その日は付いてきた奴が釣った人になった。

手持ちに余裕があったから奢った。それ以外は自分にゃわからない。

なんで付いてきたのか、釣られた魚みたいな顔しているのか。だから釣った人なんだけど。

手を叩いて喜んで、頭下げられて、その親にまで感謝されると、そんな大仰なって。

たまたま奢っただけで、次の時は奢らなかったけどやっぱりおんなじ対応をされて。

自分はなにをしているのか。わからない。昼飯食べるだけで喜ぶんだ。

自分は不思議な感覚を別の人でも適合できるのか試したくなった。

別の人を昼飯に誘って、最初だけ奢る。その後は奢らない。変数としてはこれだけのはず。

そしたら連鎖的にその人も釣った人になっちゃった。

おかしいと、3人目、4人目、5人目。みな釣った人になった。

どういうわけか、4人目の人からは菓子折りを貰った。そこまでするのか。

6人目は試す必要がないと悟った。ここまで、全部男に限っているのはあるんだけど、試す気がなくなった。ということで釣った人たちの完成がここまで。

自分はこの5人の釣った人たちを呼びつけることにした。今、釣りしよって。

既読になった瞬間、口をそろえて、行きますって。自分になんの価値があって集客しているのかわかんない。

5人が揃った。なにをするのかもなく、ここは釣り場だ。釣り具を借りたり、料金を払うなり、各々が釣り場でやりたいことを釣った人たちはやりはじめる。釣った人たちは口々になぜ釣り具を持っていないのかと自分に問い、借りてきますよと、自分に言い聞かせてくる。

自分としては釣りをしたいわけじゃないとつっぱねる。

釣った人たちは自分になにが釣れたのか報告にくる。なにがしたいのか、自分に魚を見せて。

自分は釣るなら女がよい。釣った人たちはそれじゃないから。

釣った人たちから問われる。「えっ、俺ら恋愛対象じゃないんすか。」




主人公は女性で恋愛対象も女性。

描写はないが、釣った人たちは自身が釣り合う人になるために、無意味な奔走を行う…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

釣れっかな 一筆書き推敲無し太郎 @botw_totk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ