大切な貴方へ
はちさん
大嫌いなあの人
ずっと大切な人がいる。
何があっても隣で、私を信じてくれた。
だから私もその人のために人生をかけると誓った。
どんな時でもそばにいると。
あの日、1件の通知が彼女に届くまでは。
「お姉ちゃん!高校頑張ってね」
「ありがとう」
高校の入学式の朝、いつも通り妹の菜乃香と共に準備をし、家を出る。スポーツ推薦で受かった高校。
これからバドミントンで生きていく。
結果を出し、周りを認めさせる、菜乃香とずっと一緒にいるために。
「朝比奈葉菜花です。中学では都大会2位でした。よろしくお願いします!」
私を含め、新入部員が次々と挨拶をしていく。
「佐賀陽向葵です。中学では、サポートでした。お願いします」
サポートかぁ、、私の知らないこと沢山知っているのかもしれない、と興味が出る。
その他にも、都大会で結果を残した人、完全に未経験な人が大勢いた。
自己紹介が終わると部長が練習を開始させた。
「陽向葵ちゃん、だっけ?私、葉菜花、よろしくね」
「はぁ、お願いします」
「あのね、陽向葵ちゃんに聞きたいことがあって!」
「あなたのようにランニング中に雑談出来るほどの余裕なんかありません。それでは」
「ああー、行っちゃった。。」
確かにランニング中は失礼だったかもしれない。
そう思い、練習は真面目にすることにした。
「お疲れ様!陽向葵ちゃん、さっきの続きを、」
「ごめんなさい、疲れているので」
「そっか、、気を付けて帰ってね」
こんなことを2、3日程だろうか。繰り返していた。
諦めない私に観念したのか陽向葵ちゃんはようやく会話をしてくれた。
「あなた、私を馬鹿にしてるんですか??」
「え?なんでそうなるの」
「だって、おかしいですよね?全国大会にも出るような人が、サポートしかしてこなかったような奴に質問するなんて、、それに見たでしょう?私運動音痴なんです」
「だから?」
「へ?」
「だからなに?サポートもすごいことじゃん」
「はぁ、、そうですかね、」
「うん、だから質問に答えて」
「嫌です」
「なんでなの??」
「そんなの、あなたのことが嫌いだからに決まっているじゃないですか」
ああそうか。やっぱりそうだよね。
そんな感想しか出てこなかった。本当は気付いていた。
入部した時から誰にもいい顔をされてないことも、相手にされてないことも。
「そりゃそうか」
散々、試合でいじめてきたもんね。
心が未熟な人を相手に、いじめ通して勝ち続けてきた。
だって仕方ないでしょう?そうじゃなきゃ勝てないんだから。
勝たなきゃ、勝ち続けなきゃ、あの子を、菜乃香を守れないんだから。
菜乃香のためなら、周りの人に嫌われようがなんだって出来る。
例え、自分が嫌いになろうともね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます