第8話 満月の夜
深夜
刑務所近辺
「……」
『近くに騎士団があるからやっぱり表の警備は薄いな。中も恐らく数人程度しかいないだろう。
さてどうするか、入り口は表玄関ともう一つは警備室に直通しているところしかない。そうなると…
一部を燃やして人員をそこにやるしかないな。』
ニグリスは音もなく刑務所に近づき一部に青い炎を放った。すると警備員は間もなくして火事に気付き消火活動を始めた。中にいたであろう警備員を続々と出てきて刑務所は手薄になっていった。
そしてニグリスはその隙に中に入り悪人を燃やして殺していった。刑務所にはおよそ1251人の罪人がいた。ニグリスは一人一人を丁寧に殺し、燃やして回った。
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その頃、病室ではシャルがローベルの見舞いに来ていた。シャルはローベルの顔を覗き込むと瞼が上がっていた。
「ろ、ローベル!?い、いつ起きたの!!
ちょっと待ってちょうだい、医者を呼んで…」
「…酒クセェ。」
「お酒飲んでたの!ごめんなさいね酔っ払いで!」
「…俺、何があったんだ…」
「…覚えてない?あなた、ニグリスと緊急任務に向かってその任務中に不意を突かれてお腹を貫かれたの。その後あなたはずっと寝てたの。傷は粗方治っているらしいけど…」
「腹…緊急任務………
!!おい、今ニグリスはどこだ…?」
「え?知らないわよそんなの!というか今深夜何だから大声出さないでちょうだい!」
「ニグリスが…あいつは俺が傷負ったのを自分のせいだと言ってやがった……もしかすると、なんかしてるかもしれねぇ!今すぐ向かわねぇと…」
ローベルはベットから立ち上がり部屋の隅においてあった剣と装備を持って病室を去ろうとしたがうまく歩けずに転倒してしまった。
「ちょ、ずっと寝てたのに急に歩けるわけないでしょ!しかもニグリスのところに行くって…どこによ!」
「わかんねぇ…だから、探すんだろうが!」
「っ……はぁ、本当にあなたは本物のバカね…!傷は治っても自分じゃなくて他人優先なのは直らないのね!わかったわよ…私の肩に捕まりなさい。
夜の散歩よ。」
2人は病室をあとに夜の街に出て行った。
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一方、帰り途中だったハインズとルナが青い炎が揺らいでいるのを確認してその現場に向かっていた。
刑務所は焼き焦げてほぼ燃えて消えていた
「あれが、青い死神……?」
「大先輩の言ってたローブとフード、そして短剣からしてそうっぽいスね…」
この時、ハインズはその探検に違和感を感じていた
「死神さん!その場で止まりなさい!止まらないとこちらも武力行使で行きます!」
青い死神は黙ってルナの方を見つめてすぐに悪人を殺す行動を再開した。
「こうなったら力ずくね……!!」
ルナは青い死神を止めるべく、剣を抜き戦闘を始めた。ハインズもルナに続いて参戦した。
「あれ、あの短剣……初任務で俺に1回貸してくれたやつに似て………嘘ッス…よね?」
ハインズは動揺して動きが鈍くなりつつ、どこかでそれを否定していた。
ルナは攻撃をしていたが死神はそれを完璧に受け流していた。ハインズの攻撃も同様だった。
「っ…どうして受け流すだけなの!反撃すらしてこない…何が目的なの!?」
剣を交えながらルナは死神に質問をした。すると微かに月明かりで死神の目元が見えた。とても見覚えのある瞳だった。
『あの目は、私がずっと…見てきて…憧れの人の目………?』
「ニグ…リス…?」
自然と口から言葉が漏れてしまった
ニグリスはフードを脱いだ
「……今日は本当に、満月で月明かりが綺麗ですね。ハインズの言ってたとおりです。
どけ、邪魔をするなら殺す。」
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