透明な言葉

小宮

透明な言葉

6月のぬるい夜風は柔らかに僕の毛先と雨戸を撫でる

君が捨てたあの歌はどこにでもある陳腐なメロディー 知らない

透明な言葉で殺した夢がない君を 揺れる萌木の行く先は、はて

聡明な鱗は消えない幼さを抱いた瞳に映る黒

もう一度歪んだギターであの頃に帰ろうと願う 宛て先は、はて


10月の茜の空は意思のない僕らを西へ、西へと運ぶ

夜を軽んじた君はさざめきと喧騒から 醒めない

40口径20キロ11ミリの言霊を放ちその手を早くゆるめて

最初と最後の共通点 微笑みの肌触り

虹色と沈んだ明日を横目にし 取り戻しに行くきみの尊さ

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透明な言葉 小宮 @sushiosuki

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