いいからやれよという思考停止

「いいからやれよ」と言われた時、あなたは黙って従いますか？
中学二年の「ボク」は、ただピアノを弾きたかった。それだけの思いが、制度や大人たちの都合の前で踏みつぶされる。問いかけ、提案し、理を通そうとした末に返された言葉は――「いいからやりなさい」。
この作品は、純粋な自己表現が“思考停止の言葉”によって潰される過程を、少年の視点から鋭く描いた風刺的独白である。
教師との対話は冷静で論理的ですらあるが、その結果、対話の限界と制度的無力さが露わになる。
タグに込められた「純粋」「自己表現」「自己主張」は、ボクの“正しすぎる声”が否定される痛みとして読み手の胸に突き刺さるだろう。
「正しいけれど面倒な声」にどう向き合うべきか――教育現場だけでなく、あらゆる権力と個の関係性に問いを投げかける一作である。