第5話

僕が見つけたお気に入りの場所。それは、特別教室Bという場所にある。教室の奥側に小さなカーテンが取り付けられていて、そこを開いて入ると、そこには小さな部屋があった。


「本当にいい場所見つけたよね」


先輩はそう言う。こんな秘密基地みたいな場所はここだけだと思う。物置だからなのか、古いテレビ、壊れた椅子、僕たちも知らない参考書などが置かれている。少し昔に置いていかれたみたいな場所は、自然と自分に落ち着きを与えた。


「そうでしょ、先輩。ここにいると安心するんですよね」


学校という社会の中で、唯一見つけた自分だけの空間。安心する。だが、まだ僕は知らなかった。この後の会話が、そんな気持ちを消し去ってしまうなんて。

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