第7話
面会の場所に連れられた。やっぱりこれ本来犯罪者が入るようなやつだなぁと思った。暗い。窓に鉄格子。灰色の机。長時間座っていられそうな椅子にデスクランプ。シンプルに趣味が悪い部屋である。なんというか圧巻でもある。
なぜか10分程度待たされて、眼鏡をしたポニーテールの女性が入ってきた。何ということだろう、眼鏡の縁が赤くて丸い。流石にはやらなそうなデザインなので趣味であろうことがうかがえる。目は大きめ、色はよく分からないが暗め。鼻筋が通っていて唇は薄い。真面目そう。
スタイルはコートを着ていてよくわからない。背はそこまで高くなさそうだがこの体の目線ではイマイチわからない。が、大変この暗所でもわかるレベルで美人である。この暗さだからむしろ美しく見えるのかもしれない。それに、しばらくあまり人の顔を見られる機会がなかったからかもしれない。だが、正直大満足である。落ち着きのない子供にいくらか待たせるとして、ここまで美人ならどんなガキでも文句は言えなくなりそうである。戦略なのかもしれない。
「それじゃあ、お嬢さん。お名前は?」
「わかんないです。」
「いやな気分になったらごめんね。お父さんやお母さんのことはわかるかな?」
「いないです。ずっと前から。」
「そっか。ごめんね。」
見た目よりかなり柔らかい喋り方の人のようだ。子供相手だから調整してくれているのかもしれない。声はどちらかと言うと低め、息の混じったしゃべり方をする。
「それじゃあ、あのお家にいた時のことは覚えてる?」
「どれ?」
「えーっとね、甲冑の人達が迎えに来たお家。」
迎えに来る、という表現には引っかかるものがあった。不本意にそこにいて、正義となるものが助けに来たかのような。正直今現在、子供のふりをしたり、一応気を使ったりで非常にめんどくさいなあと思うことが多い。今回の面談もまあ、美人が見られること以外はシンプルに面倒事である。っていうかここでの対応をミスるとシンプルに拘留の可能性があるのだ。その点嬉しくはない。
「覚えてるよ。黒い服の人に連れてかれて、あの人が悪魔を呼び出して、なぜか吸い込まれて行っちゃった。」
「あら、そうなの。実はね、お姉さんスキルが見られるんだけど…」
あ、詰んだ。
「君、おっかないスキル持ってるね。不老不死で、触った人が死ぬ。それに悪魔の召喚。食べ物は1回スルーするとして。もしかして、殺しちゃった?」
「えーっと、わかんない…」
「殺しといて分かんないはないでしょ。」
うーん、このままだと普通にエンドレス監禁ルートになるな。どうしよう。
「あのお家に連れて行かれてね、目が覚めたらあの女の人息してなかったの。それでどうしようと思って…」
「そう。」
あたりが静まり返っている。こういう時の沈黙はやはり自白させるのになかなか効果的なのだろうと思った。困ったなあ。これ以上話せることもないぞ。本当のこと言ってアレだったら詰むし。この辺が及第点だよなぁ。
「それじゃあ。」
「あ、はい」
立ち上がって普通に出ていかれた。おそらくこういう事には慣れているのだろう彼女は。
うん。困ったな。
よし、今日のうちに逃げよう。
どこに行っても生きることには変わらない ラベンダーの花畑 @sswy
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