ラブコメのヒロインたちが歪んでた

coffeemikan

プロローグ

後日談が好きだ。


物語が終わった後の主人公たちの行方。


ゲームや映画ならエンディングテーマが終わった後に流れるちょっとしたおまけ。漫画や小説なら最終回の後に発表される番外編。


シンデレラ、白雪姫、眠れる森の美女———


いつも思うのは、幸せになった後の生活は、幸せになるまで、いやそれ以上に大変じゃないかということ。


お姫様なら宮廷のお作法、周囲のやっかみ、子育て、お局、世論…etc.


現実なんてそんなものだ。


さて、俺の転生したこのゲームでも後日談ともいうべき展開が始まっている。高校を舞台に主人公と3人のヒロインを巡る物語———幼馴染の同級生、同じ生徒会の副会長、再会した初恋の転校生。


誰が主人公と結ばれるのか、というベタベタの展開。


それでもこのゲームは発売当時、十数年前か、ちょっとした話題になった。人気漫画のスピンオフ、大手メーカーによる制作、大々的なプロモーション、完成された絵柄の可愛さ。そして、何よりも話題になったのは発売後である。


さも3人のヒロインが攻略対象のような宣伝は蓋を開けたら、幼馴染のルート一本。それもロクに人物は掘り下げもされず、薄っぺらい中身とフルプライス。ファンは阿鼻叫喚。


選ばれたヒロインの幼馴染——美南みなみみつき。サイドに編み下ろしたたっぷりとした艶のある髪。なぜかよく潤む大きな瞳に整った顔立ち。清楚な見た目に社交的な性格はメインヒロインにふさわしい。


生徒会の副会長——東雲しののめあやめ。ひとつ学年が上の先輩はくしゃっとしたショートボブの金髪碧眼。成績優秀、容姿端麗、でもどこか抜けていて。


再会した主人公の初恋の相手———西院さいいんひまり。物語の開始と同時に転入し、そこから話が始まる重要な役目———だったはずなのだが、ギャル、ゆるふわ茶髪、ピアス、胸元の空いた制服と実質お色気担当。


俺は未プレイだったものの、コミカライズを片手に浅い知識のままだが——当時、俺も泣くファンだった友達の話を延々と聞いたものである。何でもない日常から画面が変わったら告白、付き合い、裏がありそうな含みを残したままエンディングの展開は悲しみを通り越して怒りが湧いたらしい。しかもフルプライス。


そして、俺がこの世界の脇役モブとして目覚めてから半年。特にイベントも何も普通の高校生活を送るだけで、原作よろしくなのか、いつの間にか主人公とヒロインは付き合っていた。


俺?俺はというと、のほほんと生きていただけだ。原作でも名前が与えられた脇役ではあったようだけど、ほとんど登場しない。そのせいか、話す相手はあれど友達はいないし、彼女なんぞできるわけもない。仕方ないから家の手伝いと勉強をするだけの健全な毎日。


暇。


転機が訪れたのは、件の主人公とヒロインが付き合い始めた高校1年の終わり。原作ではここで話が打ち切られた後から―――――


これは幻の後日談か…⁈


そんな僅かな興奮をよそに——結ばれたはずの2人はあっさりと危機を迎え——そして終わった。

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