哀しみ

少しでも君が安心して夢を彷徨えるように、と僕が優しく抱き締めてあげたい。

この世界には色んな言葉が渋滞しているけれど、色んな言葉を転がせど君には響く事もなく反感を買うだけなんだろう。君はとても強いから。強すぎるから、手を広げても頑張ってしまうから、そして笑って誤魔化して吐露する事も出来なくてカチカチに固まった全てを今さら壊せないのだろうから、せめて夢を彷徨う時ぐらいは僕が守るよ。

いつまでも都合のいい人であろう。君が愛する人を愛せるその時まで、僕が君の傍で君の寝息を聞いて鼓動を打つ波に揺られていて安心して瞼を深く閉じていればいい。

『君はよく頑張ってきたんだよ。』

そんな子守唄を歌って僕がどれほど君を愛しているか呼吸するように云ってしまうだろうけど。

きっとそんな僕に君は怒鳴って泣き叫んでまたは手を上げてしまうだろう。僕だって感情を持った人間だから傷つきはするだろうけど、いい?ようく、聞いてほしいんだ。君は愛されるべきなんだ。君は君自身を愛して受け入れて君の隣に立って笑う愛しき人の愛を拒否っても送られるその愛を受け入れてもいいんだよ。

だから僕は君の未来の相手を愛するために愛されるために練習台になろう、踏み台になろう。

自己犠牲?そうかもね。

偽善者?そうかもね。

自己中心的?それとも自分に酔ってると思う?

ふふ。どれも当たってるかもしれないし、君にどんな言葉を投げかけようと僕の声を信じれないのは分かってはいるんだ。だけど、君は受け入れたくないその強さと優しさで腐りきった僕を救ったんだよ。しかもこんな綺麗な「愛」をも教えてくれたんだ。だから、


『大丈夫だよ、今は僕しかいないよ。』

そう言って心音を重ねて、受け入れたくない優しく温かいそのまなざしは穏やかにわたしを夢へ誘った。

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