崩壊

強がって魅せたのよ_譲っていたのよ_それでいい、と心を犠牲にしたのよ_物分りのいい女でいてたのよ_求めていた事さえも、じょうだんにしたのよ…

涙で染められた声を絞る。

その姿とは裏腹に脳裏で流れるスライドショーは笑って楽しそうな、所謂「幸せ」が主張されてる彼女だった。

それで?いい女だった?わたしはとことん都合のいい女になれた?

ああ_星が流れる。まるで月が泣いてる。とても孤独な寂しく苦しくて辛い夜の中に彼女は沈んでいくように。指先だけしか動かすことができず、音の葉は喉で呆気なく弾ける。

言葉なんて要らない、あなたの好きなようにしたらいい。ってそんなの、そんなの嘘に似た本心だとは思わなかったでしょうね。あなたの事情なんて何1つ分からないままこの、足りない頭で考えてあなたが、休める場所に少しでもなりたいそれだけで自分の心を傷つけていた事なんて_ああ、そうよね、わたしの独りよがりの自分勝手と自己満足よね。

違う_枯れた笑いに反論しようと喉を震わしたい。はた、と霧が晴れて喉を締める。彼女の目が黒く塗り潰されたそれが真実でしかない。ああ_ああっ今更だ。今更してきた事を否定できない。彼女をそういう風にさせていたのは自分じゃないか。今更なんだ、今更、なんで今気づいた。

わた、しは。頑張れてた?

酷く幼い震えた声の問が心を刺す。

わたしは、あなたにとって、あなたの求めてる答を考えて、試行錯誤して。出した、わたしは最高の女に成れ果てた?


良かった。わたし、あなたの中で最高の女に成れ果てたのね。じゃあ、もう、あとは、あなたの中のわたしが死ぬのを待つわ。

そう言って彼女は切なそうに無邪気に笑った。

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