39 エピローグ
「
ノルの足元に転がる堕落パロミデスの首を拾うと、勇者パロミデスはそれを灰に変えた。
皆に回復術を
「はぁあああ~、マジでキツかった!」ショウがドサッと地面に大の字になる。
「生きたね~」笑ったノルの首には由依がしがみついていた。
「いや、それって、ししゃも・エンデバーどうなってるんですか?」カルミラが聞く。
「
「
由依自身にもその理屈は説明出来なかった。そして由依は人間としての記憶を全て取り戻していた。
〈元の人間…か〉
ノルの心にこびり付いた〈由依を探す〉と言う思いは達成されたが、最後の大魔術
「ギギッ、ギーギも活躍したっ」ペタペタと足音を立ててギーギ・フーブが輪に入ってくる。
一瞬、血のついた刀を背負った
「大活躍だったよ、ありがと」
「君は誰です?」カルミラが少し警戒し武器に手を置いて聞く。
「
「ギガントスレイヤーなんて聞いた事ないけど」ショウが半身を起こして言う。
「それはオレが決めた、オレはそこの魔女様の従者だ」
「えっ!私!?なんで?」ノルは驚いてギーギを見た。
「ギッ、色々オレのためにしてくれたし、
〈はえ~、全く覚えが無いけど…〉
「そっか、ありがとうね、ギーギ」ノルはギーギに微笑んだ。
「ギギギギッ、ギィッ!」
フーブでは無くギーギと呼ばれた嬉しさにギーギ・フーブは足をペタペタさせて小躍りして喜んだ。この魔物が無害なのは間違い無さそうだ。
「それで…これからどうする?」胡座をかいて両手を後ろに着いたショウが皆に問い掛ける。
「オレは又、自衛隊基地に戻るよ、一緒に戦ってくれると嬉しいけど」
「それなら…」と言い掛けたノルを由依が制止した。
「私たちはママを探しに行く」
「ママ?」ノルが不思議そうに尋ねる。
「パパには色々教えないとね、全部の記憶を失くしちゃってるんだから」
「ギギギッ、じゃあオレは姫様の護衛する」ギーギはペタペタと足を鳴らす。
「姫様?」由依が問い掛けると
「魔女様の娘、俺にとって姫様」ギーギは嬉しそうに答えた。
「私はショウと行こう、民を助ける」堕落パロミデスの
「やったぜ、助かる」
「でもパロミデスは悪い
「実際に顔を知られている訳では無いし、外見の特徴を変えればいいんじゃないかな」ノルが提案する。
「あと名前な、パロミデスの名前は報道されて有名だぜ」
「ふむ…」パロミデスは思案顔だ。
「それじゃあ、私のコートを差し上げます。このコート着て、その青白い鎧は止めて下さい」
カルミラが持っていた黒いコートを差し出す。
「良いのか?」パロミデスは当惑する。
「予備装備だから大丈夫。私も助けられた訳ですし、お礼です、ええ」
「ありがとう、大切にするよ」
パロミデスは鎧を脱ぎ、コートを羽織った。
「カッコいいな」
ショウの言う通り、それはパロミデスに
「名前はどうするの?私が考えてあげよっか」由依が言う。
「いや、今後はプロヴァンス卿と名乗ろう」由依を制してパロミデスが答えた。
「ああ~」それを聞いたショウが思い出したように
「11巻の巻末注釈に何かそんな設定書きあったなぁ~、公爵様なんだっけ?」と言った。
「その通りだ」
「詳しいね」ノルが言う。
「ダーク・シーは隅から隅まで読み込んでるからな」
「それで…」ショウがカルミラに顔を向ける。
「カルミラはどうする、一緒に来るかい?」
「あっ、いや…」急な問いかけに少し慌てたようにカルミラが答える。
「ごめんなさい、私の帰りを待ってる眷…仲間が居るので」
「ああ、あんたはそうだろうな、しかし余り派手にやるなよ」ショウが釘を刺すように言う。
「どう云うこと?」ノルが不思議そうに聞くが
「まあ、『今回は』お仲間だったって事さ」とショウははぐらかした。
「結構最強パーティだったよね、私たち」ノルが言う。
「勇者が遅参するし、支援職のししゃもは消えちゃったけどね」由依が笑う。
「うっ、遅参か、申し訳ない…」パロミデスが頭を下げ、皆が笑う。
「じゃあ、一休みしたらこの最強パーティも一旦解散だな」ショウが伸びをしながら言う。
「何かあれば
「気を付けるんだよパロミデス」
自分達とは違う存在のパロミデスがノルには心配だった。
「プロヴァンス卿って呼ばないと、ノルル」カルミラが笑う。
皆が新たな目的の為に旅立つ。こうしてノルと由依はギーギ・フーブをお供に連れて、新たな旅へと出発したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます