パンの暴君

@Onosan1010

近そうで遠い、あそこのあなたに。


打ち出の 小槌は今も玄関に

二十五のわれ なお五つなり



紅茶匙 奥へと傾けよと説かれて

時代の澱が 渦を描けり



封筒に 帰省の費用を細き字で

なぞるその手は 若き日のまま



なんでもいい そう言いながらじゃんけんに

負けても取った 一番のパン



想定を 越えてすらりと舞う指に

わが心こそ たじろぎにけり



嘆きつつ 手よりこぼるる小さき拍

われに響ける 命の太鼓



ネックレス 生きてるうちに渡すから

あと少ししたら 隣町ゆき



あげし菓子 律儀に二つ日を重ね

父もまたそう 癖のつらなり



大声を 張りあげながらうなずけど

帰る日ひとつ 早めてしまう



光さす 向こうの坂にたたずめる

その背の奥に われも続かむ

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