第7話 一つ屋根の下⁉
そんなことがあったけど、部活は休めない。
「
トロンボーンの個人練習をしていた私に、部長の
「トロンボーンは地味に思われがちだけど、全体のバランスを整える重要な役割があるからな」
「あ、ありがとうございます」
自分でも上達してるとは思ってたけど、
「礼を言うことじゃない。夏のコンクールに向けて
「あ、はい」
ちょっと緊張してしまった。どうせみんなにも同じように声をかけてるんだろうけど。
「部長から声かけられたでしょ?」
下校はいつも、幼なじみの同級生・山里真彩と一緒。フルートを吹いてる。
「うん」
「私、緊張してドキドキしちゃった。まあ、私なんか相手にしてもらえないだろうけど」
「まあね」
「まあねって! ちょっと傷つくんだけど」
「じゃあ思い切って告白してみたら?」
真彩は部長にひそかに思いを寄せている。
「もう!
「当たってくだけろじゃないの?」
「そんなの無理だよ」
「無理なら
「もう、桔梗は……でも、そういうとこ好きだけど」
「はは。ありがと」
「あ、私こっちだから」
「うん。またあした」
「じゃあね」
家に帰って玄関を開けると、見慣れない靴が二足。弟の友だち?
「ただいま」
リビングに入ると、聞き覚えのある声がした。
「おじゃましてます」
「ええ?」
ソファにはカイトさん。王子様が湯のみを手に、お茶をすすってる……。
「桔梗さん⁉」
「あれ? 桔梗、知り合い?」
キッチンから出てきたママが言った。
「あ、うん。今日、学校で出会ったばかりだけど……」
「そうだったんだ。すごい偶然ね。さっき買い物の帰りに、この子と弟さんが公園でテントを張ってたの。びっくりして、とりあえずうちに来てもらったの」
……ママ、人が良すぎ。え、テント⁉
「住むところがないって言うからね。二階の部屋、ひとつ空いてるでしょ。しばらく住まわせてあげることにしたの」
「あっ!」
「どうしたの、桔梗?」
ママが聞いたけど、無視した。
「カイトさん、ちょっとこっち」
「あ、はい」
私はカイトさんを廊下に連れ出した。
「まさか魔法でママをだましたとか?」
「め、めっそうもありません。ボクら、イリュージョニスで隠れて公園にテントを張って住もうとしてたんです。でも、あの方に見とがめられて……桔梗さんのお母さまだったんですね。それで納得しました」
「え?」
「お母さまにも退魔のおまじないがかかっているのではないでしょうか」
ああ、そうだ。ママは陰陽師じゃないけど、万一のためにおじいちゃんがね。幻術のたぐいは効かないんだった。それにしても公園にテント?
魔法使いってワイルドだなあ。
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