7名用台本

@nal_n_l

『Merry Madness Christmas』

男2:女3:不問2/時間目安60分



【題名】

Merry Madness Christmas

(メリー・マッドネス・クリスマス)



【台本の使用にあたり】

こちらの台本は内容が過激なものになっております。上演前に『内容が過激である』事をお伝えした上での上演に御協力下さい。



【登場人物】

ホワイト:『欲しいものですか……私は特にありませんね。子供たちの笑顔が見れればそれで十分です。……あぁ……でも、一度だけ"悪い心"が欲しいと願った事もありましたね。みんなには秘密ですよ?』


ブラック:『はぁ?俺様の欲しい物だぁ?……そうだなぁ……お前の心臓。……あはは!どうだ?願ったらくれるのか?ん〜?……あはは、お前のその顔、最高だよ。そんなお前には本当の事を教えてやる。……"良い心"……俺様が欲しいものだ。……バラしたらお前の心臓、本当に貰ってやるからな。』


レンナ:『そうねぇ……"一夜のお相手"かしら……ふふ。可愛い反応するじゃない。貴方が相手になってくれてもいいのよ?……冗談よ。本気にしないで頂戴。私はもう少し大人な子が好みよ。』


ノエル:『素敵な"クリスマスケーキ"が頂けたら嬉しいですね。シャンメルストリートに最近人気のケーキ屋さんがあるんです。そこのクリスマスケーキを一度食べてみたいなぁ、なんて。ふふ。』


ジンジャー:『あたしはいいから弟と妹にプレゼントをあげて。あの子達はまだクリスマスを知らないんだ。……あたし?う〜ん……新しい"洋服と靴"がほしい。ちゃんとした服はこれ以外持ってないんだ。』


ケイン:『プレゼント?そんなのプレゼントならなんでも嬉しいに決まってるじゃないか!……そうだなぁ、何か一つと言われたら"マフラー"かな。こんな感じでいい?』


ヒィラギ:『クリスマスプレゼントを貰える年齢はとうに過ぎているよ。まぁ……そうだな。何かを貰えるなら"時間"かな。……ふふ、ずるいかい?まぁ大人だからね。こういうズルもするのさ。』



*サムネイルにお困りの方は是非お使い下さい

https://kakuyomu.jp/users/nal_n_l/news/16818792439485842080



(以下をコピーしてお使い下さい)

(役表記載の際は性別の部分を省いてご利用ください)


『Merry Madness Christmas』作者:なる

https://kakuyomu.jp/works/16818792439535311993/episodes/16818792439535631386

ホワイト(不問):

ブラック(不問):

レンナ(女):

ノエル(女):

ジンジャー(女):

ケイン(男):

ヒィラギ(男):




-------- ✽ --------






001 ホワイト:(鼻歌を歌う)(長さはお任せします)


002 ブラック:お前何やってんだ?


003 ホワイト:見ればわかるでしょう?クリスマスツリーの飾り付けです。


004 ブラック:何でまたツリーの飾り付けなんて面倒な事してんだ?


005 ホワイト:これからパーティですから、お客様を迎える準備をしないと。


006 ブラック:ほぉ……つまり、次のエサが来る時間ってこった。


007 ホワイト:エサなんて失礼ですよ。大事なトナカイのお客様です。


008 ブラック:関係ない。トナカイさえ満足すればそれでいいんだ。他のやつなんてそのためのエサだろ。


009 ホワイト:言い得て妙……ですね。ふふふ。さて、そろそろ本日のお客様のお迎えをお願いしても?


010 ブラック:(舌打ち)……めんどくさ。


011 ホワイト:まぁまぁ、そう言わずに。お願いします。


012 ブラック:はいはい。それじゃあな。


013 ホワイト:はい。行ってらっしゃい。お気をつけて。


<ブラックが退室>


(014のホワイトのセリフは歌っても台詞を口ずさむのでもokです。お好きなようにどうぞ。)

014 ホワイト:……ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る……ふふふ。




   ◇




【大広間】



015 ケイン:んん(目を覚ます)……痛った……。


016 ノエル:ふふ、やっと起きましたね、お兄さん。


017 レンナ:ほら、全員起きたわ。早く始めて頂戴。


018 ケイン:え、ちょっと何このベルト、外れない。


019 ジンジャー:あの、それ外れないみたいですよ。あと、あんまり五月蝿くするとこの椅子爆破されちゃうみたいです。


020 ケイン:爆破……?何の話だよ……おい、ここ何処だよ!


021 ヒィラギ:焦っても喚いても何も変わらない。落ち着きなさい、少年。


022 ケイン:こんな状況で何でそんなに落ち着いていられるんだよ……おかしいだろ……。


023 ホワイト:大丈夫ですよ。私は、あなたに危害は加えませんから。


024 ケイン:は、はぁ……。


025 ブラック:あはは!いい顔するなぁ、少年。


026 ケイン:ひっ。


027 ブラック:あはは!最高だなぁ。……さぁて、ホワイト。そこの姉ちゃんが待ちくたびれたって顔してるからそろそろ始めないか。……飽きた。


028 ホワイト:はいはい。では始めましょうかね。それでは皆様、ようこそ、ベツレヘムの館へ。


029 ノエル:ふふ、素敵な名前ね。


030 レンナ:それで、私達はなんでこんな所に集められてる訳?


031 ホワイト:まぁまぁ、お待ち下さい。順番にお伝えしますから。


032 ブラック:せっかちな女はモテないぞ〜嬢ちゃん。(不敵に笑う)


033 レンナ:(舌打ち)


034 ホワイト:ほら、そこまでにして。続けますよ。皆さんをここにお連れしたのは……これからクリスマスパーティに参加して頂くためです。


035 ジンジャー:クリスマスパーティ?チキンある?!


036 ケイン:ちょっと、お嬢ちゃん。


037 ジンジャー:だって……あたしクリスマスパーティなんてやった事ないから……つい……ごめんなさい。


038 ホワイト:ふふ、私としては楽しんで頂けたら何よりですので。チキンもご用意しますね。


039 ジンジャー:ふふ、ありがとうございます。


040 ヒィラギ:こんな初対面の人間相手にパーティだなんて……。


041 ホワイト:あぁ、それもそうですね。皆さんが初対面という事をすっかり忘れていました。……ではこれより自己紹介の時間と致しましょう。


042 ブラック:……ふふふ……ひひひ……あはは!皆で仲良しこよしのクリスマスパーティなんて面白くもなんともない。……そうだなぁ……言ってはいけない禁止ワードを作ろうか!あはは!


043 ホワイト:それでは自己紹介にならないでしょう。


044 ブラック:うるせぇな、いいんだよ。どうせ明日には全部関係無くなっちまうんだ。


045 ホワイト:まぁ……そうですねぇ。


046 ケイン:お、おい、どういう事だよ。(※被せ)


<ケインの口をブラックが手で塞ぐ>


047 ブラック:(※被せ)後でぜーんぶ説明してやるからちょっと黙っとけ。


048 ホワイト:ブラック、彼が怖がっているでしょう。 離してあげなさい。


049 ブラック:(舌打ち)……禁止ワードはお前達の本名だ。


050 レンナ:それでは……どうやって自己紹介をしろと?


051 ノエル:肝心な名前が言えないんじゃ……自己紹介にはなりませんねぇ。


052 ブラック:そんなもん俺が知った事じゃない。上手くやれ。……あぁ、そう。この中に……約束を破るような『悪い子』はいないだろうが……もし破ったら最後。命は頂く。……ふふふ……覚えておくんだなぁ?あはは!


<沈黙(少し間)>


053 レンナ:(溜息)これでは埒が明かないわね。私から始めさせてもらうわ。私は……レンナ。職業は……そうね、お偉いさんの妾(めかけ)。ふふ。


054 ジンジャー:(小声)ねぇお兄さん、妾って何?


055 ケイン:えっと……。


056 レンナ:二番目の奥さんって事よ。可愛いお嬢ちゃん。


057 ジンジャー:へぇ!そうなんだ!


058 ヒィラギ:(独り言)上手いこと言ったもんだ。


059 レンナ:何か言ったかしら?


060 ヒィラギ:いーや、なんでも。


061 ノエル:ふふ、では次は私が。私はノエル。ケーキ屋で働いております。以後、お見知りおきを。ふふ。


062 レンナ:ケーキ屋だからノエルか、ね。なるほど。


063 ノエル:えぇ、そういう事ですわ。レンナお姉様。


064 レンナ:いつから私はあんたの姉になったの?


065 ノエル:束の間の出来事、という事で。ふふ。


066 レンナ:仕方ないね、可愛い妹の頼みなら。


067 ジンジャー:じゃあ次あたし!あたしは……うーん……ジンジャー!そう、ジンジャーです!妹と弟の面倒を見ながら日雇いの仕事をしてるよ。


068 ヒィラギ:働いてるのか?……学校は?


069 ジンジャー:うち貧乏だから。そんなお金ないよ。


070 ヒィラギ:あっ……すまない。


071 レンナ:あーあ、地雷踏んだわね。


072 ジンジャー:そ、そんな!大丈夫ですよ。


073 ヒィラギ:私にも娘がいてな、つい重ねてしまった。申し訳ない。


074 ノエル:娘さんはお幾つで?


075 ヒィラギ:そ、そうだな。たぶんジンジャーとあまり変わらないと思う。


076 ノエル:……そうなんですね。


077 ヒィラギ:そのまま私の自己紹介をさせて頂こうかな。私の事はヒィラギと呼んでくれ。普段は銀行員として働いている。


078 ケイン:おっさん銀行員だったのか……道理で。


079 ヒィラギ:どういう事だ?


080 ケイン:そのスーツと靴。綺麗に手入れされてるから何処かのお偉いさんの秘書とかかと思ったけど。


081 レンナ:ただの馬鹿な若者かと思ったけど、人を見る目はあったのね。


082 ケイン:何だよ。感じ悪いな。


083 レンナ:ごめんなさいね、こういう言い方が癖になってるのよ。


084 ヒィラギ:ま、まぁ私からはそんな感じだ。最後どうぞ、少年。


085 ケイン:あー、俺は……えっとー、名前どうしよう。


086 ノエル:お兄さん、キャンディはお好きですか?


087 ケイン:え?キャンディ?は好き……ですけど……。


088 ノエル:ではケイン、はいかがです?キャンディケインのケイン。


089 ケイン:おぉ!じゃあそれで。


090 ノエル:お気に召したようで何よりです。ふふ。


091 ケイン:では改めて。俺の事はケインと呼んでください。大学生です。よろしく。


092 ホワイト:はい、よろしくお願いしますね。……これで全員の自己紹介は終わりましたね。


093 ノエル:あらぁ。お二人の自己紹介は頂けないのですか?


094 ホワイト:あぁ……まぁせっかくですし、しましょうか。私はホワイト。見た目の白さから取ってホワイトと呼ばれております。どうぞ、お見知り置きを。


095 ブラック:……なんだよ。


096 ホワイト:次は貴方の番ですよ。ブラック。


097 ブラック:ったく、めんどくせぇな。俺様はブラック。以上。


098 ノエル:ブラックさんも見た目の黒さからという感じですかね。


099 レンナ:そのようね。……ねぇホワイト。このパーティが終わったら私と遊ばない?


100 ホワイト:おやおや、私をお誘いですか?


101 レンナ:えぇ。私、貴方みたいな綺麗な顔、凄くタイプなの。


102 ホワイト:ふふ……それはパーティが終わったら考えると致しましょう。


103 レンナ:まぁ、釣れない人。


104 ケイン:なぁ、俺達のことそっちのけで話進めないでもらっても?


105 ホワイト:おやおや、失礼しました。


106 ヒィラギ:ひとついいか?


107 ホワイト:はい、どうぞ。


108 ヒィラギ:この場所やこのパーティについてもう少し教えて貰えないか?


109 ノエル:まぁ、真面目なお方ですこと。


110 ヒィラギ:疑問をそのままにしておけない性格でな。


111 ブラック:いいだろう、俺様が説明してやる。この館は初代のサンタクロースが建てた屋敷で、歴代のサンタが住んでる。


112 ジンジャー:じゃあ、ホワイトさんとブラックさんのお家でもあるんですね!


113 ケイン:なんでこの2人の?


114 ジンジャー:だって、ホワイトさんとブラックさんはサンタさんでしょ?


115 ホワイト:ジンジャーさん、お見事。


116 ジンジャー:えへへ!


117 ケイン:サンタって一人じゃないのか?あの赤い服を着た長い髭の。


118 レンナ:あら、坊やは知らないのね。坊やの言うサンタにはモデルがいてね、そのモデルがホワイトのように真っ白なのよ。


119 ケイン:へぇ。……それって常識?


120 レンナ:ふふ、どうかしらね。知らない人は知らないと思うわ。


121 ノエル:ちなみに、サンタは良い子にしかプレゼントを渡さないので、悪い子にプレゼントをあげる人がいない事から、白の対で黒。黒いサンタが生まれたというお話もあるそうですよ。


122 ホワイト:お詳しいですね。


123 ノエル:昔調べた事があるんです。新しいケーキを作る時の参考に。


124 ヒィラギ:勤勉だな。


125 レンナ:……だからあのケーキは美味しいのね。(小声)


126 ジンジャー:レンナさん?


127 レンナ:ふふ。何でもないわ。


128 ケイン:あのさ、このパーティーって何のパーティ?見た感じ知り合いはいなさそうだし、クリスマスパーティと言っても人は少なめだし。


129 ホワイト:クリスマスパーティですよ。皆さんはとある方に縁(ゆかり)のある方として、このパーティーに招待されているのです。


130 ケイン:俺はこの中に知り合いなんていないけど?


131 ジンジャー:あたしもいないです。


132 ヒィラギ:私もだ。


133 ノエル:この様子ですと、皆さんそうみたいですね。


134 ホワイト:それはまた後でのお楽しみという事で。ブラック、最初のゲームの説明をお願いしてもいいですか?


135 ブラック:はいはい。最初のゲームは宝探しだ。


136 ジンジャー:え!宝探し!


137 ホワイト:えぇ。やはりいいですね。可愛らしい方が喜ぶお顔は。


138 ブラック:デレデレするな、気持ち悪い。


139 ホワイト:そう言わなくてもいいじゃないですか。あと、宝探しじゃなくてプレゼント探しって言ってください。クリスマス感無くなるじゃないですか。


140 ブラック:探すのは変わらないんだ、別にどっちだっていいだろ?


141 ホワイト:はいはい、お好きなように。


142 ブラック:仕方ねぇなぁ。……プレゼント探しのルールは至って簡単。全員1つ以上プレゼントを見つける事。以上。


143 ホワイト:全ての部屋に入る事ができますから、しっかり探して下さい。プレゼントは全部で5つありますから、皆さんで協力して見つけて下さいね。


144 ノエル:協力しないと……どうなるんです?


145 ホワイト:……ん?


146 ケイン:ちょっと、ノエルさん?


147 ノエル:あぁ、特別意味はありませんよ?ただ改まって言われると何かあるのかと気になってしまって。


148 ブラック:……ふふ……あはは!嬢ちゃん察しがいいなぁ!そう、俺たちはサンタクロース。良い子と悪い子を見分けてプレゼントするのが仕事。もしこの中にプレゼントを盗むような奴がいたら……分かってるよなぁ?


149 ノエル:あらまぁ怖い。


150 レンナ:ジンジャーちゃんが怖がってるわ。


151 ホワイト:これは失礼。……さぁ、椅子のベルトは外しましたから、お好きなお部屋にどうぞ。


152 ヒィラギ:時間制限とかはないのか?


153 ホワイト:そうですね……鐘を3度鳴らしますから、3度目の鐘が聞こえたらこちらの部屋にお戻りください。……では、また後ほど。




   ◇




【1階・書庫】



154 ジンジャー:わぁ!凄い!本がいっぱい!


155 ケイン:うわ、凄いな……天井高……。


156 レンナ:ほら、早く探しましょ。


157 ジンジャー:わぁ!絵本だ!


158 レンナ:ちょっと、聞いてるの?


159 ケイン:(遮るように)まぁいいじゃないか、少しくらい。


160 レンナ:私たちはプレゼントを探さないといけないのよ?


161 ケイン:あの子がさっき言ってたろ?貧乏だったって。1.2冊読む時間くらい、サンタならきっと許してくれるだろ。


162 レンナ:まぁいいわ。その代わりあんたは真面目に探して頂戴。


163 ケイン:はいはい、分かったよ。


164 レンナ:……分厚めの本を重点的に確認してみて頂戴。


165 ケイン:……は?それ以外のやつは?


166 レンナ:確認しなくていいわ。薄い本の間にはないから。


167 ケイン:何でそう言い切れるんだよ。(※被せ)


168 レンナ:(※被せ)いいから。効率よく探した方がいいでしょう?


169 ケイン:まぁそうだけど……。


170 レンナ:じゃあそっち側頼むわよ。




   ◇




【2階】



171 ヒィラギ:私はこっちの2部屋を見てくるよ。


172 ノエル:では私はこちらの2部屋を見てきますね。


173 ヒィラギ:……ここ……。


174 ノエル:どうかなさいました?


175 ヒィラギ:あ、いや。まさかこの館の中に子供部屋があるとは思わなくてな。


<ノエルが部屋を覗く>


176 ノエル:まあ、可愛らしい。……誰か使っていたのかしら?


177 ヒィラギ:さぁな……。


178 ノエル:どうかしました?


179 ヒィラギ:いや、何でもない。


180 ノエル:……?……私向こうの確認に戻りますね。


181 ヒィラギ:……ああ。




   ◇




【1階・書庫】



182 レンナ:ここは一通り見終わったわね。


183 ケイン:見つかったプレゼントは2つか……。


184 レンナ:じゃあ私は他の部屋を見てくるわね。


185 ケイン:え、これは?


186 レンナ:あなた達ふたりで分けて。


187 ケイン:え、いい、のか?


188 レンナ:年下の子達の分を奪ってまで手に入れようとするほど落ちぶれてないわよ。あと1つくらい自分で探すわ。あのお嬢ちゃんに1つ渡しておいてちょうだい。


189 ケイン:あ、はい。


190 レンナ:じゃあね。


<レンナが部屋を去る>

<ケインがジンジャーに声をかける>


191 ケイン:何読んでるの?


192 ジンジャー:うわぁ!!


193 ケイン:あぁ、驚かせてごめんね。


194 ジンジャー:ふぅ……大丈夫だよ。今はこの本読んでたの!『スイート・マリア』って絵本で、不思議な女の子のお話なんだよ!


195 ケイン:へぇ、そうなんだ。


196 ジンジャー:ケインお兄さんは読んだことある?


197 ケイン:その本はないかな。でもこっちの本ならあるよ。


198 ジンジャー:アルバ、建国記(けんこくき)?


199 ケイン:そう、アルバって国がどうやってできたのかが書かれたお話でね。太陽の神様と、月の神様のお話なんだ。


200 ジンジャー:へぇ!面白そうだね!


<1回目の鐘が鳴る>


201 ケイン:あ、1回目の鐘が鳴ったね。


202 ジンジャー:あ!いけない!プレゼント探ししてたんだ!大変!


203 ケイン:あぁ、プレゼントなら、ほら。


204 ジンジャー:これ、どうしたの?


205 ケイン:さっきレンナさんとこの部屋を探してて見つけたんだ。レンナさんが、2人で分けなさいって。


206 ジンジャー:そうだったんだ……あとでありがとうしなきゃ。


207 ケイン:うん、それが喜ぶと思うよ。


208 ジンジャー:よし、私もレンナお姉さんのプレゼント一緒に探しに行かなきゃ。


209 ケイン:もう本はいいの?


210 ジンジャー:探してもらってばっかりじゃ悪いもん……。


211 ケイン:あと1冊くらいなら大丈夫だと思うよ。


212 ジンジャー:うーん。


213 ケイン:じゃあさ、一緒にこれ読もうよ。ダメかな?


214 ジンジャー:うん!いいよ!




   ◇




【2階】



215 ノエル:ヒィラギさーん。……ヒィラギさーん?こちらはひと通り見終わりましたよー。


216 ヒィラギ:あぁ、こっちだ。今さっき私も見終わったところだよ。……そっちはどうだった?


217 ノエル:こちらはゼロでした。ヒィラギさんは?


218 ヒィラギ:ここで見つけたのは1つだけだな。


219 ノエル:……そうですか。


220 ヒィラギ:これは私のだからな。


221 ノエル:奪い取るようなことはしませんよ。サンタに怒られたくも無いですし。


222 ヒィラギ:それならいいが……


<1回目の鐘が鳴る>


223 ノエル:あら、1つめの鐘ですね。


224 ヒィラギ:そうだな。早いところもう1つ探さないと。……次はどこを探す?


225 ノエル:あら、手伝って頂けるんです?


226 ヒィラギ:たまたまそっちの部屋を見たのが私だったというだけだからな。


227 ノエル:まぁ、お優しいんですね。


228 ヒィラギ:そうでもない。……ほら、次の部屋探しに行くぞ。


229 ノエル:はい。




   ◇




【1階・書斎】



230 ホワイト:おや?……これはこれは、レンナ様じゃないですか。


231 レンナ:あぁ、やっぱりここにいたのね、今回も。


232 ホワイト:えぇ、この部屋は我々の仕事部屋ですからね。


233 ブラック:どうだい?順調にプレゼントは見つけられたか?


234 レンナ:えぇ、前回と同じだもの。……簡単よ。


235 ブラック:楽しくないのか?


236 レンナ:そんな事ないわ。十分楽しんでいるわよ。


237 ホワイト:それは何よりです。


238 レンナ:あなた達も大変ね。こんな大掛かりなことを毎年やらなきゃいけないなんて。


239 ホワイト:それも今回で最後、ですから。


240 レンナ:そう。……おめでとう。


241 ブラック:まぁお前が満足すればの話だがな。


242 レンナ:大丈夫よ。きっと楽しく終われるわ。


243 ブラック:だといいがな。


<2回目の鐘が鳴る>


244 レンナ:……これで2つめね。


245 ホワイト:レンナ様のプレゼントはもう見つけたのですか?


246 レンナ:それを貰いに来たのよ。


247 ホワイト:はて……私は知りませんが。


248 ブラック:知らねぇなぁ……クックックッ……。


249 レンナ:イヤな人達。……ホワイト、ちょっと失礼するわね。


250 ホワイト:なんです……?


<レンナがホワイトの胸ポケットに手を入れる>


251 レンナ:ふふ、これ貰っていくわね。


252 ホワイト:はぁ。ご存知だったんですね。隠しプレゼント。


253 レンナ:前回この小さい箱を持ってる子がいたから。どこにあったか聞いておいたのが役に立ったわ。


254 ホワイト:あぁ、そうでしたね。何というお名前でしたっけ……。


255 レンナ:さぁね。もう忘れたわ。


256 ホワイト:仲がよろしいのかと思っておりましたが。


257 レンナ:私ね、縁が切れた人間の名前は忘れる事にしているの。


258 ブラック:薄情な女だな。


259 レンナ:お互い忙しくなって切れる縁も、死んで切れた縁も、私にとっては同じよ。


260 ホワイト:……そうですか。


261 レンナ:ええ。……だって死んだ人間も私を1人にするのに変わりないでしょ。ふふ。じゃあ私は行くわね。プレゼントありがと。


262 ホワイト:えぇ、行ってらっしゃいませ。


<レンナが退室>


263 ブラック:……もしかしたら1番おっかないのはやっぱりトナカイなのかもしれないな。


264 ホワイト:そうかもしれないですね。……流石、私達のトナカイ様です。




   ◇




【大広間】



265 ジンジャー:あ!レンナお姉さん!プレゼントありがとうございます。


266 レンナ:いいのよ。サンタからのプレゼントは貴女のような可愛い子が持ってるいるべきだわ。


267 ジンジャー:レンナお姉さんの分は見つかったの?


268 レンナ:えぇ、ほら。


269 ジンジャー:ほんとだ!よかった!


270 ヒィラギ:おや、私たちが最後のようだね。


271 ホワイト:先程皆さんお戻りになったばかりですよ。ちゃんと3度目の鐘で戻ってきて頂けて何よりです。


272 ブラック:いい子ちゃんばっかりかよ、つまんね。


273 ホワイト:まぁまぁいいじゃないですか。探しに行く手間が省けます。……さて、皆さんお揃いになった事ですし、暖炉の前で少しお話しませんか?


274 ケイン:ここに来てお喋りっていうのもなんというか……。


275 ノエル:まぁいいじゃないですか。ここからは出られないようですし、他にやることも無いですし。


276 ケイン:まぁそうだな……。


277 ジンジャー:ケインお兄ちゃん行こ?


278 ヒィラギ:席は何処でもいいのか?


279 ホワイト:えぇ、お好きな所にお掛けください。


280 レンナ:それで、談笑と言っても何を話すのかしら?


281 ホワイト:皆様のクリスマスの思い出なんていかがですか?サンタとしてはとても気になるのですが。


282 ケイン:思い出、か。


283 ノエル:思い出ですか〜。


284 ブラック:見た感じ、いい思い出がある奴はほとんど居なそうだなぁ。さぁ話せ、どんなクリスマスを過ごしてきたんだ?


285 レンナ:また私から行くわね。最初ってみんな嫌でしょうし。


286 ヒィラギ:すまない、助かる。


287 レンナ:いーえ。私のクリスマスはね、いつも1人だったわ。


288 ジンジャー:ひと、り?


289 レンナ:そうよ、ジンジャーちゃん。……ずーっとね。物心ついた時からクリスマスはいつも1人だった。クリスマスイブはね、いつも誰かがいたわ。でもクリスマスの朝はいつも1人。みんなクリスマスを過ごす相手はいるのよ。


290 ケイン:それは、なんというか、寂しい、な。


291 レンナ:もう慣れたわ。……それに、クリスマスに1人も悪くないって最近は思えるようになったし。


292 ノエル:それを詳しくお聞きしても?


293 レンナ:えぇ、簡単な話よ。クリスマス以外の日に予定を沢山入れて、クリスマスはオフ日にするの。一人の時間もないと疲れちゃうでしょう?


294 ヒィラギ:なるほどな。


295 レンナ:そんな目で見ないで頂戴。私がいいんだからいいのよ。


296 ノエル:我が道を行くレンナお姉様……素敵ですわ。


297 レンナ:ありがと、ノエルちゃん。


298 ジンジャー:レンナお姉さんのそのネックレスはクリスマスに貰ったの?


299 レンナ:あぁ、これ?これはチョーカーって言うのよ。……なんでクリスマスに貰ったって思ったの?


300 ジンジャー:雪の結晶の刺繍がしてあるからそうかなって。


301 レンナ:ふふ、大正解よ、ジンジャーちゃん。……じゃお次ジンジャーちゃんどうぞ?


302 ジンジャー:うーん。あたしは……クリスマスってよく分からないけどでも雪が降り始めると街がキラキラになるのを見るのが好き!


303 ヒィラギ:クリスマスを知らないのか?


304 ジンジャー:うん。プレゼント開けたり、チキンを食べたりするんでしょう?……1回やってみたかったなぁ。


305 ヒィラギ:ここを出たら私がクリスマスを教えてあげよう。


306 ジンジャー:ほんと!ありがとう、ヒィラギさん!……あ、でもね、いつもお母さんがチョコレートを買ってきてくれたの。それを皆で食べるのがあたしのクリスマスだよ!


307 レンナ:楽しいクリスマスだったのね。


308 ジンジャー:うん!


309 ケイン:この流れだと次は俺かな。……俺は……クリスマスって好きじゃないんだ。だから記憶にある最後のクリスマスパーティは俺が小さい時。……もういいかな。


310 ノエル:クリスマスが嫌いな理由とかお聞きしても?


311 ヒィラギ:こら、やめないか。


312 ケイン:あぁ、大丈夫ですよ、別に。その、まぁ色々あったのもあるんだけど、周りが馬鹿みたいに騒いでパーティとかやるような奴らばかりで。それ見てたら馬鹿らしくなった、って感じかな。


313 ノエル:なるほど。……教えて頂いてありがとうございます。


314 ケイン:いーえ。


315 ノエル:私のクリスマスはですね。ケーキを沢山作る日、という感じですかね。当たり障りないですけれど。


316 ジンジャー:ノエルお姉さんのケーキ食べてみたかったなぁ。


317 ノエル:機会があったら作ってあげるわね。


318 ジンジャー:うん!楽しみにしてるね。


319 ノエル:毎年違うケーキを作って、お客様のクリスマスを彩るのが私のクリスマス、という感じでヒィラギさんにバトンをお渡ししようかしら。


320 ヒィラギ:あぁ、わかった。……そうだな、クリスマスは妻と娘とパーティをしていたから……一番の思い出は娘がジンジャーくらいの歳になった時にケーキを1人で作ってくれた事かな。


321 レンナ:この中で一番まともなクリスマスの思い出が出てきたわね。


322 ノエル:ふふ、そうですね。


323 ブラック:(欠伸)……終わったか?


324 ホワイト:こら、ブラック。水を差すんじゃありませんよ。


325 ブラック:もう飽きちまったよ。こんな暖かいクリスマスなんて面白くもなんともないだろう。


326 ホワイト:まぁ……それもそうですね。


327 レンナ:ねぇ。あなた達の事ももう少し教えてよ。


328 ホワイト:私達……ですか。


329 レンナ:えぇ。みんな気になるんじゃない?


330 ジンジャー:サンタさんのこと知りたい!


331 ケイン:このパーティの事について教えてくれるって話も解決してないしな。


332 ホワイト:あぁ、そうですね。……ではこのパーティーの事についてまず話しましょうか。……皆さんはサンタと聞いて何を思い浮かべますか?


333 ヒィラギ:プレゼント。


334 ノエル:煙突?


335 ジンジャー:トナカイ!


336 ケイン:……髭?


337 ホワイト:ふふ、どれも正解ですが、一番はジンジャー様ですね。サンタにはトナカイが必要です。……しかし少し前のクリスマスにトナカイがボイコットをしたのです。トナカイばかりが使われるのはおかしい、と。そこで我々サンタは考えました。どうしたらトナカイは満足するのかと。


338 ブラック:それで始まったのがこのパーティさ。選ばれたトナカイが満足するようなパーティをする。そんなめんどくさい制約を何代も前のサンタはしやがったのさ。お陰でこの鎖を付けたまま過ごさなきゃならないんだ。あそこの3つの星が全て灯るまでこの鎖は外れない。


339 ノエル:あと1つ……のようですね。


340 ホワイト:えぇ。今年のトナカイ様が満足をして下されば……我々は解放されます。


341 ケイン:今年のトナカイって何だよ。


342 ホワイト:トナカイ様は毎年のパーティで受け継がれていくのです。どなたがトナカイ様なのかは内緒ですが。


343 ヒィラギ:そう言われると気になるな。


344 ホワイト:このパーティはトナカイ様の欲のままに作られておりますので、この後何が起ころうとトナカイ様の迷惑にならないよう、お名前は伏せさせて頂いております。


345 ヒィラギ:そうか。


346 ホワイト:他に何がございますか?……特になければそろそろシュトーレンとシャンパンをお持ちしようかと思うのですが。


347 ジンジャー:わーい!


348 ノエル:私お腹すいちゃいました。


349 ホワイト:ではお持ちしますね。


350 ケイン:ジンジャーにシャンパンは早いんじゃないか?


351 ジンジャー:シャンパン飲めるよ?


352 ケイン:そう、なのか。


353 レンナ:本人が大丈夫というなら大丈夫よ。


354 ヒィラギ:シュトーレンなんでいつぶりだろうか。


355 ノエル:以前は奥様が作られたのですか?


356 ヒィラギ:あぁ、料理が上手い人だったから。


357 ノエル:……そうですか。


358 ホワイト:お待たせ致しました。こちらのシュトーレンは私が朝方焼いたものです。お口に合うといいのですが。


359 ケイン:これ……まさか毒とか入ってないよな?


360 ジンジャー:ケインお兄さん?


361 ノエル:(匂いを嗅ぐ)シュトーレンにはなにも含まれていないと思いますよ?


362 ヒィラギ:そんなこと分かるのか。


363 ノエル:えぇ、私特別鼻がいいもので。それにこの時期になるとシュトーレンはよく焼きますから。


364 ホワイト:ノエル様の言う通り、シュトーレンにはなにも含まれてはおりませんよ。


365 ケイン:……なんか嫌な言い方だな。


366 ブラック:クックックッ……そこの坊ちゃん大正解!そのケーキは普通のケーキだ。でも……そのシャンパンには入ってるんだよなぁ!これがぁ!あはは!


367 ケイン:は?!


368 ブラック:まぁもちろん、どのグラスが毒入りのシャンパンかなんて絶対教えない。……どれを飲むのか、ちゃーんと話し合って乾杯するんだな!


369 レンナ:……見た感じどれも同じね?


370 ケイン:なんでそんな冷静で居られるんだよ。


371 レンナ:ここで取り乱してもなんの意味もないからよ。……さぁ、どのグラスにするか決めましょうか。


372 ノエル:ここはジンジャーちゃんから決めてはいかがでしょうか?最年少でしょうし、ここで死ぬのはあまりにも可哀想ですから。


373 ヒィラギ:賛成だな。


374 ジンジャー:じゃ、じゃあ……これ……。


375 ケイン:お前らおかしいよ……。


376 レンナ:ほら、次はあんたよ、坊や。早く決めなさいな。


377 ケイン:……俺に一番近いグラスで。


378 レンナ:はい、どうぞ。


379 ヒィラギ:そうなると……次はノエルさんかな?


380 ノエル:いえ、私は最後で構いませんから、ヒィラギ様どうぞ。


381 ヒィラギ:ではこれを頂こうかな。


382 レンナ:じゃあ私は……(※被せ)


383 ノエル:(※被せ)レンナお姉様、私こちらを頂いても?


384 レンナ:……お好きなものを。


385 ノエル:ありがとうございます。……ではグラスも渡ったところで乾杯しましょうか。


386 レンナ:ノエルちゃんが乾杯の音頭を取ってくれるの?


387 ノエル:えぇ。お任せ下さい。……では、皆様グラスをお持ち下さい。……私、こんなに幸せなクリスマスは初めてですわ。大好きなお姉様の横でクリスマスを過ごせるなんて……これ以上ない幸せです。そんな機会を下さったサンタのお2人には最大の感謝を。では、乾杯。


<ノエルが一気にシャンパンを飲み干す>

<他の4人もシャンパンを1口飲む>


388 ケイン:なんとも、なさそう、だな。


389 ヒィラギ:私のも味は普通だな。


390 ジンジャー:ノエルお姉さん!?


(以下ノエルのセリフは咳き込みながら)

391 ノエル:ふふ……私のが……毒入りですよ。


392 レンナ:……分かっていたんだね。


393 ノエル:えぇ……愛するお姉様に、毒入りのシャンパンなんて、飲ませる訳には……いきませんから。


394 レンナ:どうして私の事をそんなに気に入ってくれてるの?


395 ノエル:お姉様は……私のケーキを美味しいと、言ってくださいました。


396 レンナ:それだけ?


397 ノエル:私には……十分すぎる理由です。……男から聖夜の誘いしかされない……汚れきった私を……照らしてくれたのはお姉様でした。……だから……貴女の役に……立ちたかった……。


398 レンナ:馬鹿な子だね。


399 ノエル:……愛してます……お姉様……。


<『ノエル死亡』>


400 ブラック:最初の脱落者はこの嬢ちゃんだったか、意外だなぁ?クックックッ。


401 ホワイト:なんと悲しい……私から祝福の花を贈りましょう。


402 ケイン:お前……なに、してるんだよ、死んだ人間の……。


403 ホワイト:あぁ、これですか?白いポインセチアの花を口に詰めるんです。あとで美しい赤に染まりますから。


404 ジンジャー:じゃ、じゃああそこに飾ってある赤いお花達は……。


405 ホワイト:あれも過去に同じようにして赤く染めた花たちですよ。


406 ジンジャー:ひっ……!


407 ケイン:もう……いいだろ!……人が死んでんだ……もう……!


408 ホワイト:……はい?


409 ジンジャー:あたしおうちに帰りたいよ……。


410 ホワイト:人が死んだからなんだと言うのです?我々にはトナカイ様以外の参加者の事など関係の無い事ですし。


411 ケイン:レンナ!ヒィラギ!お前たちのどっちかだろう!トナカイは!


412 レンナ:はぁ?


413 ケイン:おかしいんだよ!最初から!こんな場所も分からないところで!なんでそんなに冷静なんだよ。


414 レンナ:何度も言っているでしょう。取り乱したところで、何も変わらないからよ。


415 ヒィラギ:それに関してはレンナさんに同意だ。


416 ケイン:今もそうだよ!なんで呑気にケーキ食べてるんだよ!人が……ノエルさんが死んだって言うのに!


417 レンナ:食べ物に罪はないし……それに、ここにいなきゃいけないことに変わりはない。なら少しでもお腹を満たすのは当然じゃなくて?


418 ヒィラギ:ケインくんは少し落ち着きなさい。ジンジャーちゃんも大丈夫かい?


419 ジンジャー:あたしは……大丈夫……。


420 ホワイト:(ため息)……では、気を取り直して次のクイズ大会に移りましょうか。


421 レンナ:まだ何かあるのね。


422 ホワイト:えぇ、クイズ大会のルールは至って簡単です。出された問題に答えて、最初に3ポイント獲得した方が優勝です。


423 ヒィラギ:優勝したらなにか貰えるのか?


424 ホワイト:えぇ、優勝者の欲しいものを、何でもひとつ差し上げます。


425 レンナ:あら、それは頑張らないとね。


426 ホワイト:早速始めていいですか?


427 ブラック:付け足しのルールだ。無回答はナシだ。もし回答しなかったら……ここでなぶり殺してやる。クックックッ。これで絶対答えなきゃいけなくなったなぁ。せいぜい頑張れよ?


428 ホワイト:では第一問。ブラックには別の呼び名がある。マルかバツか。……さぁ、皆さん、お渡ししたボードにお書きくださいね。


429 ヒィラギ:用意がいいな。


430 ホワイト:お褒め頂き光栄です。……さて、皆さんかけましたかね、それでは解答を見てみましょう……ほう……皆さんマルですか。これの答えはブラック本人にお聞きしましょう。


431 ブラック:正解はマルだ。ドイツではクネヒト・ループレヒト、フランスではペール・フェタール、オーストリアではクランプス、みたいに国によって呼ばれ方は様々。……まぁ悪い子にプレゼントを渡すことに変わりはないがな!


432 ホワイト:皆さん1ポイントですね。


433 ブラック:もっと突っ込んだ問題にしちまえよ。楽しくいこうぜ。


434 ホワイト:ではこれにしましょう。第二問。こちらにいるケイン様、実は愛する方がいらっしゃるそうですね。その方に最後に貰ったクリスマスプレゼントは何でしょう。


435 ケイン:なんでそんなこと知って……!


436 レンナ:そんな質問もありなの?


437 ホワイト:なんでもあり、のクイズ大会ですよ。……さて、答えを見てみましょう……さすがにケイン様は当たっていますね。正解はマフラーでした。


438 ヒィラギ:素敵な彼女さんだな、クリスマスにマフラーなんて。


439 レンナ:さっきクリスマスは嫌いだって言っていたけど……彼女がいたならまた話は別じゃないの?


440 ケイン:あいつは死にました。クリスマスに事故で。


441 レンナ:あら、それは失礼。


442 ジンジャー:お兄さん……。


443 ケイン:ありがとう。ジンジャーちゃん。……あいつは、クリスマスで浮かれたゴミ共に殺されたんです。


444 レンナ:どういうこと?


445 ケイン:シャンメルストリートに置かれた大きなクリスマスツリーをご存知ですか?


446 ヒィラギ:あぁ、毎年沢山の人があそこに群がっているな。


447 ケイン:あのツリーが倒れた事故があったんです。彼女はツリーの下敷きになって。……周りは大パニックでした。でも人が多かったから、救急車が通れなくて。到着したころにはもう……彼女は冷たくなっていました。


448 ジンジャー:な、泣かないで、お兄さん。


449 ケイン:ごめんね、ジンジャーちゃん。ありがとう。


450 ヒィラギ:それは……大変だったな……。


451 ホワイト:さぁ、しんみりした空気もその辺にして。現在ケイン様が2ポイントでリードしていますね。


452 ブラック:じゃあ次はこのブラック様が出してやろう。……ヒィラギの兄さん。あんたには嫁さんと娘がいたそうだな。


453 ヒィラギ:あぁ、そうだが……。


454 ブラック:その2人に会いたくはないか?


455 ヒィラギ:いや、何を言ってるんだ。2人はもう……。


456 レンナ:亡くなってるのね。


457 ヒィラギ:……あぁ。車の事故でな。呆気なく。


458 ブラック:2人に会えると言ったらどうする?


459 ヒィラギ:それ、は。不可能だ。2人に会えるなんて、そんなバカげたこと。


460 ブラック:さてここからが問題。この後このヒィラギさんは会うことを選択するでしょうか、しないでしょうか。……クックックッ。早く考えろよ〜。……5・4・3・2・1。……さぁて答え合わせと行こうか。なぁ、ヒィラギさんや。


461 ヒィラギ:な、なんだ。私はそんな嘘は信じない(※被せ)


462 ブラック:(※被せ)あの扉の向こうにお前の家族がいるぞ。


463 ヒィラギ:そんな訳……え?


464 ジンジャー:なんか声がするよ?


465 レンナ:誰かいるみたいね。


466 ヒィラギ:そ、んな。……リア……ネネ……どうして……。


467 ブラック:さぁ、どうする?あの扉を開けるのか、開けないのか。


468 ヒィラギ:……開ける。


469 ブラック:さぁ、開けてこい。家族の再会の時間だ。


470 ヒィラギ:……リア……愛するネネ……今行くからね……。


<ヒィラギが扉を開けて中に入ろうとする>

<扉向こうは崖→落下>

<『ヒィラギ』死亡>


471 ブラック:……クックックッ……ふふ……あはは!!!正解は『扉を開ける』だったなぁ!あはは!崖の下まで真っ逆さまだ!


472 ケイン:そんな……。


473 ジンジャー:(泣きながら)ヒィラギのお兄さん……あたし……もうやだよぉ……。


474 ブラック:そう辛気臭くなるなよ、面白くないだろ?


475 ケイン:人を弄んでおいて……何を……!


476 ホワイト:ここまでの結果は……おや、皆様同率2ポイントですね。いいペースです。


477 ケイン:まだ続けるのかよ。


478 ホワイト:もちろん。どなたかがクリアするまで終わりませんよ。


479 ブラック:そうだな……せっかくだしサクッと終わらせるか。


480 レンナ:次は何をするつもり?


481 ブラック:そこの小さい嬢ちゃん。欲しいものはなんだ?


482 ジンジャー:……妹と弟に暖かいご飯と暖かいお家をあげたい。


483 ブラック:なるほど……?そのためにお前の命、差し出せるか?


484 ケイン:お前何を!


485 ジンジャー:……え?


486 ブラック:お前の命と引き換えに、可愛い妹と弟が幸せに暮らせるとしたら……どうする?


487 ケイン:だめだ!ジンジャーちゃん!こいつの話に耳を傾けちゃいけない!(※被せ)


488 ジンジャー:(※被せ)いいよ。


489 ケイン:……え……?


490 ブラック:聞いたかホワイト!こいつ!差し出すって!いやぁまさかな!本にして売ったらベストセラーものだよ!いやぁ感動だ!


491 ホワイト:えぇ、彼女の家族思いなところ、尊敬に値します。


492 ジンジャー:……本当に……幸せにしてくれるんだよね?


493 ブラック:あぁ、サンタは約束は破らない。


494 ジンジャー:じゃあ……いいよ。……2人を幸せにしてあげて。……ケインお兄さん、ごめんね。


495 ブラック:では決まりだ。……クックックッ。この槍を使う日がまた来るとはなぁ。


496 ジンジャー:さっさとやってよね。


497 ブラック:あぁ、苦しまずに逝かせてやる。……じゃあな、嬢ちゃん。


<ブラックがジンジャーの心臓に槍を突き刺す>

(突き刺す部分はアドリブでお好きに声等入れて下さい。)


498 ジンジャー:……うっ……。


<『ジンジャー』死亡>


499 ケイン:あ……あぁ……。


500 ブラック:あはは!最高だ!最高に気分がいい!


501 ケイン:ジ、ンジャー、ちゃん……あ……うわぁぁぁぁ!


502 レンナ:もう終わりにしましょう。


503 ホワイト:おや、もう終わりでいいのですか?


504 レンナ:まだやる?もういいわよ。これ以上続けたらトナカイを渡せる人がいなくなっちゃうじゃない。


505 ホワイト:あぁ、それもそうですね。……ポインセチアの花だけ詰めさせてください。……ヒィラギさんの分の花が回収できないのが残念でなりません……。


506 レンナ:仕方ないじゃない。飛び降りちゃったみたいだし。


507 ホワイト:まぁいいとしましょう。……楽しんで頂けましたか?……トナカイ様。


508 ケイン:レンナが……トナカイ……?


509 レンナ:落ち着いたみたいで良かったわ。私が今回のトナカイよ。


510 ケイン:じゃあ、ノエルさんも!ヒィラギさんも!……ジンジャーちゃんも!お前が……!


511 ホワイト:いえ、それは違いますね。


512 ケイン:何が違うんだよ!


513 ホワイト:トナカイ様が求めたパーティは刺激のあるパーティ。そこからどういうパーティにするかは我々が決めるのです。トナカイ様は関係ありません。


514 ブラック:どうだった!サイッコーに楽しかっただろ?


515 レンナ:最高に刺激的だったわ。ありがと。


516 ホワイト:ではトナカイの首輪をお渡しして頂いてこのパーティを終わらせましょうか。


517 ケイン:……その前にひとつ聞いてもいいか。


518 ホワイト:どうされました?


519 ケイン:レンナさんは分かった。けど他の人達はなんでここに呼ばれたんだ?


520 レンナ:私がお願いしたのよ。楽しいクリスマスが過ごせそうだと思って。


521 ケイン:知り合いでもなんでもないだろ?


522 レンナ:そうね……ヒィラギのお兄さんは一度レストランで相席したの。その時に家族の話を聞いた。ジンジャーちゃんには一度パンをあげた事があったわ。ノエルちゃんは……あの子の作るケーキが美味しかったから。あとね、あの子は私だけを見ていたから。


523 ケイン:俺は?


524 レンナ:貴方の彼女さんが事故にあった時、私近くにいたのよ。全部見てた。……だからよ。


525 ケイン:……よくわかんね。


526 レンナ:そう?簡単よ。……みんな、私が覚えていた人たち。十分すぎる理由でしょ?


527 ホワイト:さあさあ、トナカイ様、首輪をこちらに。


528 レンナ:はいはい、そう急かさないで頂戴。……はい。どうぞ。


529 ホワイト:ありがとうございます。……これで……!


530 ブラック:光が灯った……!……クックックッ……これで……自由だ……あはは!!!


531 レンナ:これで私はもう用無しよね?


532 ブラック:あぁ。好きにするといい。


533 レンナ:えぇ。好きにするわ。……ふふ、可愛いノエルちゃん……私もそっちに行くわ。


534 ケイン:何して……。


535 レンナ:ノエルちゃんは……毒を飲んでいたでしょう?……だからキスすれば……これで私も……みんなの後を追えるわ。……ケイン、メリークリスマス。


<『レンナ』死亡>


536 ケイン:……っ……みんな……また俺を置いていくのか……。


537 ホワイト:さて、ケイン。次のトナカイは貴方ですよ。


538 ケイン:次のトナカイって何するんだよ。


539 ブラック:なぁ、ホワイト。トナカイの替えは沢山いるよな?


540 ホワイト:えぇ。


541 ブラック:こいつで遊んできていいか?


542 ホワイト:えぇ、どうぞ。


543 ケイン:え、何するんだよ、おい!


544 ブラック:うるさいトナカイはこうやって袋の中に入れちまおう。


545 ケイン:やめろ!離せ!


546 ブラック:安心しろ……たっぷり可愛がってやるからな。……クックックッ。


547 ホワイト:あまり汚さないようにして下さいよ。


548 ブラック:はいはい〜。新調した棍棒を使うのもいいなぁ、あとはこの前開発した薬も試してやろうなぁ。……あはは!


<ブラックが退室>


(549のホワイトのセリフは歌っても台詞を口ずさむのでもokです。お好きなようにどうぞ。)

549 ホワイト:……ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る……ふふふ。



(終)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

7名用台本 @nal_n_l

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る