第2話おしどりでない夫婦
二人目、国語の西本先生
国語の西本先生は、毎日朝一番早くに学校に入って、熱心に授業の準備をしている。
「国語は人生で大切な教科だ」っていうのが口癖だ。
涼達の前を着古したスーツ姿で、ママチャリを必死の形相で漕いでいる人物が横切った。
「西本先生って、服はヨレヨレだし、自転車通勤だし、貧乏なの?」
「ケチなんじゃない?。西本先生の奥さん、清掃の仕事やってて、朝から夜まで働いてるって、母さんが話してた」
「西本先生の家、子供もいないのに、何で貧乏なのさ?」
「お酒じゃないの。西本先生ってアル中らしいよ。奥さん、時々、包帯巻いてるって」
「西本先生が、酔って奥さんを殴るの?」
西本先生の噂は、なんだか要領を得ないものだった。
次の日、ゲームセンターで友達と遊んでいると、西本先生の奥さんが掃除をしているのに出くわした。
消毒薬の匂いがツンときた。
感染症対策ってヤツか?。
「こんにちは。西本さんのおばさん」
「こんにちは。マー君、ゲーム上手なのね」
西本先生の奥さんは僕らを見て、嬉しそうに笑ってた。
ー地味なおばさん。影が薄いって、こういう人の事をいうんだろうなー
「あのおばさん、子供が大好きなのに、自分は子供がいないんだ」
「マー君の家、西本先生の近所なの?」
「同じアパート。西本先生と奥さん、よくケンカしてるよ」
「どっちが悪いの?」
「さあ?。奥さん、よくケガしてるから、西本先生が悪いのかな?」
図書館で本を借りていたら、西本先生に出くわした。
サイコロジーやマニピュレーション、話術、動画撮影など難しそうな本を何冊も抱えてる。
「こんにちは。西本先生って、色んな分野の難しそうな本を読んでるんですね」
「ああ、知りたがりなんだ」
「そういうのって、博識っていうんでしょ?」
「いや、私のは、浅く広くっていうんだよ」
次の日、クラブ活動が終わってから、僕は美紀ちゃんに声をかけた。
「美紀ちゃん、お願いがあるんだけど」
「涼くん、どうしたの?」
「ちょっと、僕の話を聞いてくれる?」
「トイレに不審なものがある」と、僕と美紀ちゃんが報告をして、学校側が調べたら、校内の女子トイレからコンセント形の小型カメラが計4台見つかったそうだ。
「校長先生、僕、西本先生が変な本を読んでるのをみました」
校長が、以前から出勤時間が早いなど不審な点があった西本先生を呼び出すと、犯行を認めたそうだ。
それと、その後、国語準備室から西本先生が女子生徒に変な事をしている動画も押収されたって。
西本先生の奥さんは、西本先生と離婚した。
アルコール中毒の更生施設に入って、人生をやり直したいって言ってたそうだ。
「涼、どうして西本先生の奥さんがアル中だって解ったの?」
「ゲームセンターで会った時に消毒薬の匂いが不自然にしてただろう?。あれ、お酒臭いのをごまかす為だったのさ」
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