｢わかった……よし、行くぞ……｣

龍希は構える、腰につけている鞘に収まっていた銀に輝く刀身を剥き出し刀身を向ける。

｢来い……我に一撃でも加えてみろ｣

｢はあっ！！ヤミ！｣

龍希はヤミに向けて手を差し出し、まるでわかっていたかのように手を掴み背中に乗せ、構えていたと思いきや貯めていた足を解き放ち鎧の女の真下を通りスルーして行く

｢えぇ！？！？｣

部下の男は驚く、同じく隣にいたその隣のシルバも驚きのあまり声が出ない。

｢頼んだぞ！！俺は先に行くぜ笹島くんなら行ける！｣

ヤミも続く

｢ローズ〜？あんたは強いから行けるよ｣

えぇ〜？とのあまり開いた口が塞がらない状態だった。

｢とはいえなんもしないのは隊長として良くないか……｣

龍希は走りながら少し考え腰にあった刀の鞘を抜き飛びながら後ろを向いた。

鎧の女がゆっくりと振り返る。

｢あなた？何を……｣

すると超高速で飛んできた鞘に胸を貫かれ、鎧の装甲は崩れ落ち女は開いた口が塞がらない。

｢なっ……！？さすが隊長！｣

｢めんどくさいからそれくらいの攻撃で頼むわー！俺らは中心部言ってボス殺す！｣

軽いな〜と思いつつ笹島はニヤッと笑い剣を構え、ローズに戦闘態勢の準備を呼びかける。

｢あなたたち……少しだけ苛立ちました｣

すると女は手を上に掲げどこからともなく生み出した矢先が燃えている弓矢を何十……いや何百も空中に産み出し、一斉に雨のように浴びせる。

｢ローズ！！｣｢了解！トレーナー！！｣

ローズが手のひらを弓に向けると、薔薇の茎のような棘の生えた植物の壁を出し

｢その程度なら私が防ぐ！！｣

｢舐めた真似をするなクソガキがァァ！！！｣

すると1部だけ人が通れる場所をローズが作る。

｢舐めんなはこっちのセリフなんだよ！！！｣

笹島は刀身を女に向けて首を掻き切る、すると女は放心し未だに状況を把握できていない様子だった、

ゴトンと鈍い音を発しゴロゴロと首が転がりその後を血塗り道を作る。

｢はぁ、はぁ、ローズ……早く隊長のところに行くぞ……｣

ローズは息切れをしながらも笹島を背負い奥へと向かう。

シルバが人間を背負うが、龍希とヤミだけは例外、サイボーグとシルバという組み合わせだとサイボーグの方が移動速度が早く、シルバを背負った方が早い。

ヤミは身長が低く体重が軽い、よって抱えていくことが最善策だと判断したのだ。

奥へと進み静寂が訪れた入口にはひとつ嫌な雰囲気が漂った。

死体である女の下半身がピクリと動いた、首が動き身体へと戻って行き傷口が塞がり元に戻る。

｢はぁ……あまり私を怒らせないでくれよぉ？｣

その落ち着いた声とは裏腹に顔には怒りが満ちており、血管が強く浮きでており、拳は血が出るほど強く握り締められている。

──────中心部近く

｢よし、そろそろ中央だ｣

｢笹島トレーナー！！警戒してください！なにか来ます！｣

すると轟音と共に道がコンクリートの破片で簡単には通れなくなってしまった。

｢さっきぶりだねぇ、笹島くんとローズって言うんでしょ？名前を覚えておいて殺してあげるねぇ？｣

こいつ……なんで生きてるんだ、2人とも考えていることは同じだった、こいつは確実に殺し、動かなくなったことも確認した、なのに生きている、しかもさっきよりも強い生気を感じる。こいつは危険だ、

｢自己紹介がまだでしたね？あなた達にも自己紹介をして欲しいので、私から言いましょうか｣

笹島もローズも唾を飲んだ、冷や汗がダラダラと出る。

こいつはなんなのか、何か言ってくれると解決策が出てくるかも知れない、死なないこの女を殺す方法を。

｢私は『死神・クロノニグケドール』。このダンジョンの入口を警備する役割をさせてもらってます｣

死神……？クロノニグケドール。聞いたことがある、2000頃に都市伝説として世の中に深く広まり、毎週同じ曜日に夢の中に必ず出てきてこの世の地獄を知らしめたと小さい子供たちから恐れられていた。

またの名を『漆黒の流星群。』

｢…………俺は笹島菜時二等兵。こっちは俺の担当Silver Variationのローズだ。｣

クロノニグケドールはまるで人が変わったかのようにキラキラとした笑顔を見せ希望の眼差しを見せる

｢まぁ！！いい名前！菜時さんにローズ様！よろしくお願いいたしますわ！！｣

なんなんだこいつは……？さっき俺らに殺されかけたんだぞ？何を考えているのか全く分からない、不思議な存在だ

今は全く殺意も感じないしもはや敬意を表されているように感じる。

｢もう私たちは友達……つまりは容赦なく殺せるということ！！｣

……え？

｢もうあなた達のみぞおちは貫かせさせていただきました！！死んでください！親愛なるゴミムシ共よ！｣

すると言われてやっと気づいた、みぞおちに矢が突き刺さっていて、矢先の炎が服に燃え移り体全体を焼き尽くす。

｢アハハハハハハッッッ！！！！｣

狂気に満ちた笑い声が砂埃とコンクリートの破片が充満する空間にこだまする。

｢……！？｣

クロノニグケドールは殺気を感知し攻撃を手で抑えるが当たった部分が火傷しヒリヒリさせ痛みを体に訴えさせる。

｢……誰ですか？不意打ちを当てたくらいでいい気になるならその顔を見せていただけないでしょうか？笑顔は見たいもんですよ！｣

するとその男はクロノニグケドールにニンニクと聖水を当て十字架の形をした刀を首に突き立ててクロノニグケドールの体を消滅させ始める

｢…………あなたは、、、金色の暴君！！！？？？｣

金髪の男はタバコを加え鬱陶しそうに消滅しかける体を睨んだ。

｢俺はナーヴェストヴル。金色の暴君なんて呼ぶなよ、俺には名前があるんだ｣

消滅しかけていた体が復活し始める。

｢……っちお前どうなったら死ぬんだよ。どんだけ弱点付いても死なねぇじゃん……｣

｢見つけてご覧なさい？私の弱点とやらを……｣