第4話 開戦

「ほいっと」

かるーく言う割にはかなり重い攻撃、食らったら腕が飛ぶだろう。


俺はシルバと同じ能力を持っているらしい、それは相手も同じ。

相手はどうやら敵らしい、なぜ敵対しているかはよく分からない、聞くつもりもない。

「なぜ攻撃をする。同じなら俺たちは味方なんじゃないのか?」

「笑わせるなよぉ!特別な存在なのは僕だけでいいんだ。」

口角が上がり手が大きく上にあげると四方向に開き腕の中から機会のようなものが見える。

「お前、人間なのか?」「いや、僕はサイボーグさ、君を殺す」

突然のように宣戦布告をされた、だがもう驚かない。

突然サイボーグと打ち明けられ攻撃食らったんだからもう警戒しまくりなんだ、驚くまもなく戦闘態勢に入る。

だが勝てるか?この調子だと俺はシルバの能力など使いこなせない、でも俺は人間だ。血は出るし痛覚はあるし走ったら疲れる。

というかシルバはロボットではない、身体能力が異常な程に発達したただの女の子なのだ。

だからこいつは人間でもシルバでもないただのロボット。

もしかしたらSilvervoidの何か使い魔の可能性もある、警戒は怠らないが……

俺はただの育成科のなんの戦闘にも向いていないただの男子高校生だ。そんな俺にいきなり現れた最強(笑)サイボーグに勝てるのか?

バカにしてる言い方だが、俺は素人相手はプロのようなもんだ。


ドォンッ!!!!


突然飛ばされドームを突き破り国会議事堂にぶち当たる。

中の職員や清掃員は驚きの声を上げ外へと非難するのが見える。

「っ!!!なぜここまで大事にする!何を考えてる!」

俺は一見冷静だがもちろん内心はとても慌てている、初見でこんな状況になって慌てないはずがない。

「大事?笑わせるな!俺はここから第四次世界大戦を始める!」

「なっ!?」

ここから世界大戦へと発達させてしまってはまずい、サイボーグが1人とは限らない以上、消耗戦に持ち越されたらかなりまずい状況になる。

ここで一体でも倒してしまうのが得策だが、俺に出来るのか?

「させるかよ!お前はここで止める!!!」

「やってみろ?出来るものならな!!」

すると六連の攻撃がすぐさま体に入る。

俺は宙へ大きく投げ出され脳に食らった刺激が意識を朦朧とさせる、すぐさま再び攻撃が左足に入り鈍い音と共に地面へと吹き飛ばされる。

「クッソッ!左骨が逝ったか、」

「何余裕そうにしてるんだよ龍希君!!もっと聞かせてくれよ!その音を!」

舌打ちをする、とても不愉快な感覚に襲われたからだ。

「キチガイが……」

地面に強烈な速度で叩きつけられた代償は少なくない、背骨は折れ、頭蓋骨はギリギリのところで衝突を回避した。

「おぉら!!」

変形した腕から機関銃のような物が飛び出し銃弾の雨が降り注ぐ、実弾だ。

当たったら即死

俺はギリギリ使える右足を駆使し身を無理やり投げ回避をするが、体力が持たない。

持ってあと5回と行ったところか。

「仕方ねぇ、頼るしかない。」

「誰に頼るってんだよ!ここはSilver Variationの基地からも遠く離れてる。通信したってすぐには来ないぜ!?」

俺はそんな言葉を無視し足に限界まで集中し全力を蓄える。

血管が破裂しそうなほど右足の温度が上昇し痛みが増してくる。

「まだだっ……まだあと少し!!」

敵は待ってはくれない、そんな余裕な姿を見せたら

「貰った!!!」銃弾が頭部をめがけてやってくる。

「今だ!!!」

限界まで蓄えた力を一気に解放し、大きく空へと浮かび上がり、シルバの本拠点のある品川の方角へと弧を描き超高速で飛ぶ。

「くっそ早すぎる!照準が合わねぇ、てかあいつ、もう体を適応させ始めている!?」

顔の血管がより濃く浮かび上がり怒りの表情を露わにして近くにある直径2メートルのコンクリートの破片を持ち上げ品川方面に向け大きく投げる。

「追いつかねぇが、それに乗れば!」

大きく投げたコンクリートに飛び上がりサーフィンのようにして横にゆっくりと回転しながら着々と龍希の方に向かって近づいていく。

「畜生……!なんなんだアイツは!?」

俺は心底呆れていた、ふざけるな怪物を相手にしていることを忘れていた俺に呆れたのだ。

「おら!!!!!!」

1度に10発もの弾丸が6発撃たれ、計60発もの弾丸が体へ向かう。


─品川区Silver Variation本拠点育成学校─


本拠点では大きな警報が鳴り響いていた。

「千代田区永田町付近で大きな爆撃音確認!戦闘が始まったと思われます!」

ヤミがその放送に反応し、ピクっと体を動かす。

「永田町って、龍希君のいる国会議事堂はすぐ側だ!」

声を大きくあげたヤミはクラスにいるシルバ全員から視線を集める。

「龍希トレーナーが!?今すぐ向かいましょう!」

金髪の教師「女川理子」が汗を流し決断を決めている。

1度の失敗も許されない戦いの中での指揮、練習とは違う緊張がクラスに漂い理子は頭を抱える。

「先生!!!」「……っ突撃だ!!」


応!!!!!!


全シルバが一斉に窓を開け飛び出す。

屋上へ1度移動し永田町への方角を確認し大きく飛び走り出す。

耳に着けた小型トランシーバーを使い、戦闘中は最低限のエネルギーで指揮を聞き情報を流す。

「こちらSilver Variation本拠点青物横丁一党隊ヤミ。永田町へ向かいます。」

「同じくアオイ、永田町へ向います!!」

「同じくツムギ、永田町へ向かい援護をします!」

同じく……同じく……同じく……

と次々とシルバ達が連携を取り永田町へ最速のスピードを使い向かい続ける。

「……!?上空に2体の生存を確認!」

シルバが上を見上げるとそこに居たのはコンクリートに乗った銀髪の丸メガネの男と吹き飛ばされている龍希だった。

丸メガネの男は龍希に向け機関銃をセットし60発もの弾丸を発砲する。


その弾丸は、龍希の体を蜂の巣にした……

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