修練の果ての決闘ー序ー
あれからさらに一か月、まぁ、いい感じに成就した。
闇魔法は腕の具現化に成功。
影魔法はいろいろなことができるようになった。裏工作みたいなことしかできないがな!!
だが、戦力としては十分。
さて、始めるか・・・
☆
この学院は前世の小・中学校、高等学校と同じように昼休みなるものがある。
大体の奴は飯を食うのに使ったり、仮眠をとったり、学友や友達と他愛もないことを話す時間だ。
今、小・中学校の時を思い出せば校庭が使えるというのはなかなかありがたかったと思う。
さて、俺がなぜこんな話をしているかというと・・・・見りゃわかる。
「俺に決闘を挑んだこと後悔させてやる!!」
はい。あの蛮族クソメスゴリラに決闘を挑みました。
そんで場所は学院の敷地内、めちゃくちゃ広い校庭。もはや平原なんじゃねぇのってレベルの校庭。
さて、始めよう。
「おい、今なら靴を舐めたら許してやる」
「は?靴を舐めるのはそっちじゃないのか?ゴリラ」
「ッッッッッ!!!!!!ぶっ殺す!!」
あれれぇ?おっかしいなぁ・・・この前以上の魔力出力だぞ?
☆
「マーキュリー様!!」
「どうしたのですか?騒々しいですよ」
「例のアマゾネスに決闘を吹っ掛けた人がいます!」
「!?」
え?は?
「そしてその決闘が今、講義用広場で行われているそうです!!」
うん。え?は?え?
あのアマゾネスに喧嘩を吹っ掛ける馬鹿がいる?命知らずにもほどがあるんじゃなかろうか。
いや、私であればすぐにでも鎮圧できるけども・・・・
最上位学年でも手に余るあの蛮族に喧嘩を吹っ掛ける馬鹿がいるの?死にたいのかな?
でも、なぜだろう。その決闘が途轍もなく面白いという予感がする。
私が見たことがない何かが、私が見たい何かがある気がする。
「見に行きましょう」
「はい?」
「見に行きましょう。私はその決闘、非常に興味があります」
「え?」
「さあ、行きましょう!!」
「え?ちょっとマーキュリー様!!」
私は、はやる心を抑えつつ、魔法を行使して早歩きでその決闘を見に行く。
数十秒ほど歩くと、人だかりができている場所を見つけた。
今日、人目を引く行事なんて何もないはずだから、人だかりができる理由が自然とわかる。
私が来たことを見た生徒が場所を譲ってくれる。
中には白けた顔をしながらその場から立ち去る者もいる。
私はソレ・・が見える最前列に立った。
そして、私の予感が正しかったことを知る。
そこには、アル・プレイアデスと例の蛮族が決闘をしていた。
でも、その決闘はほぼ終わっているようなものだ。
何しろアル君の服はボロボロ、体中には擦り傷が付きまくっている。立っているのがやっとの様子。
蛮族は文字通り怒髪天を突いていた。
凄まじい魔力量。公爵・・・いや私に迫るほどの魔力量。
なるほど、あの噂・・・は本当だったらしい。
「マーキュリー・バーナディネリ・バーンスタイン。君がいるとは思わなかった」
私の後ろから私の名を呼ぶ声がする。
振り返ると、そこには厳寒な氷の大地を彷彿とさせるアイスグリーンの髪を持つ碧眼長身美丈夫イケメンが立っていた。
「これはこれは、マクシミリアン様」
「マクシミリアンで結構ですよ。マーキュリー女史」
私が様をつけなければいけないほど高貴な身分。
そう、このドブカスゴミは王族の一人。名をマクシミリアンという。
『私の大っ嫌いな奴ランキング』で首位争いをする奴だ。
「あなたのような方が彼の者達のような下賤な者達の決闘を見に来る理由がないと思われるのですが・・どうしてこのような場に?」
私の肩に手を置き、もう片方の肩に顔を近づけ、これでもかというほど甘美な声で囁いてくる。
ああ、本当に腹が立つ。
私はこのゴミの手を振りほどく。
このゴミは手を振りほどかれたことが意外そうな顔をする。
そういうところが嫌いなんだよ!!
「失礼、このローブは母から譲り受けた古物なので、あなたのような高貴な方がこのようなものに触れるのは良きことではございません。悪しからずご了承ください」
後でこのローブを手垢一つ残さず洗濯、乾燥、消臭・・あぁ、本当に!めんどくさいことしやがって!!
「そうでしたか。もう一度お尋ねしますが、なぜこのような場に?」
「友人から面白いものが見れるといわれ見に来ただけです。それ以外の理由などございません」
「そうでしたか」
私がすました笑みを浮かべるとこいつもすました笑みを浮かべやがった。
私とこいつ、そして私とこいつの会話を意識していた者たちの間に数瞬の沈黙が流れる。
おもむろにこのゴミは決闘の方を見て、冷笑しながら私の方へと視線を寄越す。
「ではもう見るべきものもないでしょう。どうでしょう?私とお茶などでも」
「そうですね・・・・」
私は決闘の方に視線を送る。
なるほど確かに。現状、もう見るべきものはない。
でもまだ終わってない。そんな気がする・・・いや確信がある。
「もうちょっと見ることにします。まだ終わらない。そんな気がしますので」
私の方を横目視ていた生徒たちの顔を見ると、「なにをいっているんだ?この方は」という顔をしている。
まぁ、そうだよね。私だって君たちの立場ならそういう顔をするよ。
「面白い。マーキュリー女史がそのようなことをおっしゃるのでしたら、私も少し見ておきましょう」
「帰れよ」
「?何か言いましたか?」
「いえ、何も言っていません」
思わず本音が漏れたが聞かれてないなら良しとしよう。
私は決闘の方へと視線を移す。
アルデバランが涙を浮かべながら、何かをしようとしている。
ん?膝を屈して頭を下げた?
「すいません。許してください。」
・・・・・・君には失望したよアル君。
決闘を見ている生徒たちの間に少しの笑いが漏れる。
「靴舐めるでも何でもします。許してください!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・勘が外れたのかな?
無抵抗でもぶん殴るのがあの蛮族だしなぁ。殴られて全治3か月くらいかなぁ・・・・
蛮族がアル君に向かって歩き出す。
そして、アルまであと一歩というとき、蛮族が沈んだ。
※
三部作にするのが面倒だったと記憶している。
今なら5・・・・いややっぱ3だな。
土下座シーンをもっとリアルにしたいので誰か「土下座一級資格」を持っている人がいれば教えていただきたい。
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