エピローグ

あれから10年経った。

短いようで長い蜜を過ごした気がする。

私は晴れて漫画家になった。代表作はホラーものだけど今はアクション系に全振りしている。我ながらよく続いたものよ。

一方、絢は俳優となった。大学卒業してから2年後、ゲームセンターのバイトともう一つバイトを掛け持ちしたいと思い立ち、モデル雑誌のバイトを始めた。しかし、同僚から容姿や雰囲気を評され、今度はモデルとして推薦された。次第にモデル界でも名を残していき、ドラマのオファーが舞い込んだ。思い切って受けたオファーが功を奏し、役者の道へ進むことに。気付いた時には立派な有名俳優となっていた。ただ、俳優となったからにはなるべく俳優業を勤しみたいらしく律儀にエンタメ番組やモデルの仕事は断っているらしい。よって本格的な役者として一枚上手に活動している。

さてさて、私達2人の恋愛模様の進捗だが、結局5年目で破局してしまった。互いに仕事が鰻登りとなって共に時間を過ごす機会が減ったのが原因だ。もちろん、会う機会が減れども上手に続くカップルは存在するが、私達は元から情熱過ぎる余り物足りなかったようだ。フラストレーションが溜まるのも無理はない。とはいえ現在でも定期的に親友として連絡したり会ってはいる。嬉しいことに絢は新たに恋人ができたらしい。私はひとまず独身を貫く予定だ。

絢の様に人間の本能には従えない者も事実多勢いる。少しでも柔軟に寛容な心構えを持てばたとえ思い出になろうと宝物はできるに違いない。

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"好き"に異性はいらない 辻田鷹斗 @ryuto7ryu

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