カクヨム短歌賞1首部門 応募作品

まいち

カクヨム短歌賞1首部門 応募作品

金砂をこぼした地底湖の群青 あなたは欠片こそ愛おしい


まっ黒な穴ぼこ 思い出は赤茶けで モラトリアムじみている


始まりは透明 みずから汚したがるのは 形を知りたいから  


世界最古のプラネタリウムは 歯車で宇宙を支配している


読み疲れをねぎらう涼風 文庫本はぺかぺかと続きをねだる 


暁に産まれ黄昏に死ぬ たとえ踏まれても あなたとありたい


空も大地も知らず けれど彼女はもっと広いものを知っている


うんともなく すんともなく 渾身の駄作が夢にうなされている


目 目 目 ありとあらゆるに 目 目 目 どれひとつとして私を見ていない


血をしぼり 肉をこそげ あなたのための物語を綴っています


気まぐれの路地裏散策 ミテハイケナイ ただならぬ猫の逢瀬


ずぶ濡れた顔は悲壮の老隠者 ヒグマよ ドジョウは掬えたかい


やいクラゲ 考えてるふりしてんじゃない 脳ナシだって知ってるぞ


森の指揮者は尾羽を二拍子に刻む 誰も気にしちゃいないけど


白肌にベルを咲かせるギンリョウソウは 黒ずみながら実を結ぶ


ツノゼミたちの多様性 アルファベットくらいなら埋まるんじゃないか


里山を馳せる想いが詩を詠う 冷房25℃の部屋


インターネットに悪口書きこんでる人の 悪口書きこんでる


初恋の君はあの時のままで よせ リメイクなんかするんじゃない


古代呪文はパブリックドメイン ※今日からみれば不適切と――

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