呪いの姫と復讐の狼
黒い釘
第一部 別れと出会い編
プロローグ 二つの終わりとはじまり
その瞬間は、急に来た。
あれは、会社からの帰り道、いつものように一秒でも早く家に帰り、読んでいないラノベとマンガを楽しむつもりだった。
駅を颯爽と駆け抜け、改札口を通り抜ける、そして横断歩道を渡ろうと考えていた時、その瞬間は訪れた。
横断歩道には、今にもトラックに押しつぶされそう明るい緑色の髪をもつ少女がいた。服は粗粗くてロボロだったし、こんな少女が夜中に外を出歩くのも冷静に考えればおかしい。
髪色も、アニメから飛び出してきたようだった。
「お、おい!!」
「wさyjg、d!!!!」
何かを叫んでいたが、極限状態だったし意味は分からなかった。
しかし、当時の俺はそんな考えが浮かぶ間もなく飛び込んでいた。そうまるで、学生時代のヒーローのようにね。
何て、ふざけてる場合じゃなかったな、あれからどうなった。
少女を突き飛ばし、トラックが目の前に迫りくる瞬間をこの目に焼き付けてからこの身に何が起こっている?
死んでしまったのか、生きているのか、少女は無事か、まさか俺は植物状態になったのか、家族は心配しているのか、ハンターハンターは完結したのか、なんて頭をフル回転させていた。
この時間はいつまで続くのかそんな心配を浮かべた瞬間
永遠のようにも一瞬のようにも思われた、この思考?の時間が終わりを迎えたのだ。
気が付くと俺は白いようなもやがかかったような、そんな空間に存在していた。ここはどこだろうか?と思考を働かせる前に目の前にいる人物に気が付いた。
「君が〇〇君かい?」
突然、変な仮面?をかぶっている人物(変態)に話しかけられ、混乱しているとその人物は言葉を続けた。
「失礼だな、、でも、本当に助かったよ、あの子に死なれてしまっていたら世界が滅ぶところだったからね」
「どういうことですか?」自分でも間抜けな声でこう問いかけた。てか心読んでたよね、まさか…
「説明をする前に、自己紹介をさせてもらおう、君も大体察しているかもしれないけど、僕の名前は「世界神」君たちが住む世界や君が助けてくれた少女が住む世界を管理する者だ。」
「俗にいう神というやつだね」
そんな言葉にまさか異世界転生というやつではと、少々興奮していた。なんてことはなく、俺は自分でもびっくりするほど冷静だった。おそらく俺は死んだのだろう。
もう、終わったことなのだから気にしたって仕方がないし、神だなんだのって死んだ後に出てくることは想像はできたことだ。
「ふ~ん、その年で達観してるんだ。面白くないね! 失礼かもだけど」
俺はおっさんだぞ、間違えてもその年と言われるような、年齢じゃない。
「僕たちからしたら、百年も一年も大した誤差じゃないさ」
「それで本題なんだけど、君の死は僕に責任なんだ。どういうことかというとあの少女は君の世界とは別の種族でね、服もボロボロだったでしょ、あの子は君の世界でこれから起きる災厄に対処してもらうために君の世界に転移させてもらったんだでも、転移の位置を少しばかりミスってね、君に助けてもらったというわけさ」
なるほど、大体は話が見えてきた。今までの話をまとめると、君の世界を救うために最強少女を異世界から送ったけど送る位置をミスって、世界の危機というところを俺が颯爽と助けた(死亡)ということか。
「そゆこと。理解が速くて助かるよー」
こいつ一発殴ってやろうかなんて怒りを抑えつつこんなことを聞いてみた
「ところで俺これからどうなるんですか?」
「君には良かったら、その少女の世界で暮らしてもらおうと思うんだけど、どうかな?」
それは願ってもない提案だった。
実際、びっくりはしていたけど異世界には興味ある。ラノベを年間100冊以上読むオタクの俺にとってその提案はまさに文字通りの天啓だった。
しかし、そこで一つの疑問が浮かぶ。
「でも、俺の肉体は?」
「あっ」
「えっ」
「…」
「はああああああ???!!!!ねぇ、もしかしなくてもこのクソ神考えてなかったよね!言いたくないけどあっちの俺は今頃ミンチのハンバーグステーキになってるよね!」
「じゃあ、俺は転生できないということ?」
「この肉体ではね」
「えっ」
「僕は世界神。あまりなめてもらっては、困るんだよね」
おれの体のことすら忘れてたくせにどの口が言ってんだ
かっこつけんな殺すぞ。
「もぉ~仕方ないなぁ~」
「じゃあ君の魂をあっちの世界の死産だった子に移すね」
それなら大丈夫そうだな。
ちょっと待て、異世界系ラノベで一番大事な部分を忘れている気がする。う~ん何だろう?
チートは?最強能力は?スキルは?
「君の記憶をちょっと読ませてもらったけど、残念だけど渡せないよ。そんな力を渡しちゃったら、世界の均衡が壊れちゃうよ」
「まぁ、スキルと言うか技能と言うものはあっちにはあるよ」
おいおいまじかよ。
楽しくなってきたじゃねぇ~かよ
「可視化するには、眼神の加護を持つものに見てもらうか、眼神をまつる修道院で鑑定してもらわなくちゃいけないし、自分が今までに経験したことや個人の特性、訓練によって身に着けたものを自分で認識して参考にできる程度だけどね」
「君には全世の記憶もあるんだし、やりようによっては、どうにでもなるでしょう」
うう、まったくの正論だ。正論過ぎてすこし浮かれていた自分が恥ずかしくなってきた。
しかし、こっちは死活問題なのだ、恥だのなんだのと言ってはいられないのだ。
「でも、君には世界を救ってもらった恩があるしなぁ」
そうだ、俺には世界を作った恩があるだろ。チート能力はなくても、便利なスキルとかアドバンテージとか少しは融通利かせてくださいよ。[世界神様]
なんだかすごく情けないような気がしてくる。
「はぁ~~~、よし、わかった君には私の加護を授けよう。これが、あれば異世界の言語も分かるはずだよ。注意点は意味が分かるだけでしゃべることはできないからちゃんと自分で勉強してね」
よし最低限!これで多少は楽になる。
「で、俺が飛ばされるのはどんな世、」
「じゃあもう転生させるね。では新しい人生を~~~~」
急に蹴っ飛ばされたと思ったら、意識は闇に中に消えていった。
「くそかみがぁーーーーーー」
意識は暗闇の中に堕ちて行った。
「まぁ、せいぜいあがいて見せてよね。■■■■くん」
________________________
気が付くと俺は誰かに抱きかかえられていた。
「おぎゃ~おぎゃ~!!」
うるさい!うるさい!誰かこの声を止めてくれ。
一体だれが⁉それにこの声、まるで頭蓋骨に響くような騒音だった。
あ、そっか俺赤ちゃんじゃん
_________________________
少し、自分語りをさせてほしい。
正直に言おう。私は生まれたときから恵まれていた。
裕福な実家、優れた容姿、圧倒的な才能。
幼い頃からまるで挫折と言うものを知らなかった。
貧しいという概念を知らなかった。
努力すればするだけ、実になり外を歩けば目線を感じない日など一度もなかった。
無論、非難や嫉み嫉妬などは数えきれないほどあった。
しかし、気にしたことはあまりなかった。
両親に相談するなど思いつきもしなかった。
傲慢だった。
愚かだった。
ただの凡人たちの可哀そうな戯言だと思っていた。
気にする必要など全くないと思っていた。
それが大きな間違いだった。
ある日、襲われた。
突然だった。
いや、やっぱり必然だったのかもしれない。
もしも、私が羨望のまなざしを向けられたことを受け止めたところで、私に何ができたのかはもう、今となっては分からない。
しかし、一人ぐらいは、友だちを、心を許せる人を作ってみても良かったのかもしれないな。
「こんなものか、 ゴフッ...」
大学の帰り道、人ごみの中スクランブル交差点で後ろからナイフ?包丁?
まぁ、何かしらの刃物で肝臓を刺された。
刺された瞬間、鋭い痛みが体中を巡ったかのように思えば次の瞬間には灼熱の
ような熱さを感じた。
「あ。あぁ・・・」
「私は、は、わるくない わるくない わるくない」
犯人は自分が何をしたかを理解すると、
ブツブツと何か言いながら刃物を離してどこかに行ってしまった。
「救急車、ぐらいよ、んでくれないかな」
声が出ない。視界がぼやける。
犯人の顔に見覚えはなかった。
おそらく私に恨みを覚えている人物だろう。
しかし、素人だったことは明白であり、刃物は犯人に話されたときに体から抜けたようだ。
どうせならもっと深く刺してくれたならよかったのに
出血がひどい。
今から病院にいこう
そして、助かったなら犯人の彼女と話してみよう。
いくら私が嫌いでも、刃物でさされtsんだ。
これく、らい聞いてもらってもい、いんじゃないかな
久しぶりに実家に帰ってもいいかもな。
父さんや母さんと話し合いたいこともあるし、
「これ、は 間に合うか...na」
________________________
「気が付くと白いこの空間にいた。と言うわけです」
「ご理解いただけたでしょうか」
私は、目の前に立つ男?に話しかけた。
「なるなるなるなるなるほどねぇ~~~~」
男は自分の顎を触って首を振りながらそう答えた。
「それは、お疲れだったね」
「ところで、3つほどお聞きしてもよろしいでしょうか」
「おっ、さっきの子と違って丁寧だねぇ」
「これは答えたくなっちゃうなぁ~」
「では、一つ目の質問です。私はこれからどうなるのでしょうか。いきなり連れてこられて困惑しているのですが、」
「じゃあそこから説明しようかな」
________________________
謎の男、世界神からここは死後の世界であること、自分は俗にいう神であることを聞いた。
「で、私はどうなるのでしょうか」
「え~、君も冷静なの?面白くないなぁ~」
「じゃあ、逆に聞くけど君はどうしたいの?」
「…」
「と、友だちを作ってみたい、です」
「そうか、なら僕の世界に来るといいよ。新しい体への転生と言う形になっちゃうけどね」
転生か、
たまに聞くがまさか自分がすることになるとは夢にも思わなかったな。
「人生をやり直せるんですか」
「もちろんだよ、別に君はそんなに悪いことしてないしね」
「じゃあ、お願いしたいです」
「それじゃあ、もう行く?」
「ええ、ここにいたら聞きたいことが多すぎて転生できなくなってしまうわ」
「じゃあ良い旅を」
世界神がそう言うと、私のことを指さすと私の体は吹き飛ばされ意識ははるか彼方へ飛んで行った。
_______________________
「フゥー... ようやく今日の業務は終了か、」
「あの子たちどうなるかな」
笑みを浮かべながら僕がそう言うと、隣に部下の天使現れた。
「世界神様、また地球の子供達に希望を持たせてから不幸な目に合わせようとしているのですか。」
見慣れた
呆れたように言う天使に
「だからー、毎回言うけど転生するのを選んだのはあの子たちだし、安全な世界で君たちは何の危害も受けずに、かわいい女の子と結婚して過ごせるなんて言ってませんよ~だ」
「だからって、嘘をつく必要はないでしょ。記憶が残るだのなんだのって」
「あー、ちょっと前の男の子ね、だってそれされたらこっちは困るんだもん」
「最後には家族のことも自分のことすらも分からなくなるのにですか?」
「しょうがないよ、僕はただ、何が起こるかを決めるだけでその結果までは決められない、どんな人生を送るかはあの子たち次第だよ」
「もう何を言っても無駄ですね。あんなミスをしておいて助けてもらった相手に感謝とかはしないんですか? 反省するまでリンゴは抜きですからね」
「えぇ~唯一の楽しみなのに~、あの子には加護あげたじゃんか」
______________________________________________
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます