啓斗POV

俺は好きな人がいる。それに気づいたのは最近だった。相手が俺のことをなんとも思っていないことなんてわかっていた。俺の親友のことを好きなことも。あいつも知ってたんじゃないだろうか?知っていて距離を置かれていた気がする。諦められたならどれだけ良かっただろうか。前に会った時に言われたことが何度も思い出される。「淵を助けてあげてね。」なんで淵のことばかりを話すんだ。俺にいうことはないのか。そんなことばかり思ってた。でも淵のことを嫌いにもなれなかった。なりきれない自分が嫌だった。忘れようとして他の人と付き合ったりもした。そんなことを考えながら寝っ転がっているとスマホが震えた。ひっくり返して見てみると淵からだ。「俺、付き合ったよ」と通知に出てきている。は?本当に付き合ったのか?俺が忘れられないものを持っているお前が忘れることができるのか。なんでだ。ベッドの上にスマホを投げつけようとして投げつけられなかった。俺はなんなんだろうか。感情にこんなに動かされて。何も考えない時間が欲しかった。ゲームをしてみるが集中できない。漫画を読んでも話が入ってこない。何もすることがなく時間だけが過ぎていった。この気持ちにけりをつけたくて返事を返してしまった「お前とうかのこと忘れたのか」と。すぐに返信が返ってきた。「お前前も言ってたけど、とうかって誰?」 

朝になった。寝ていた気がするがずっと朝になるのを見ていた気もする。モヤモヤした俺は麗奈に連絡することにした。

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