オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?
しょぼん(´・ω・`)
第一章:サービス終了が新たな始まり
第1話:サ終の先
『ブレキオ:やっぱ、ここからの眺めは最高だな』
『ナガツ:そうですね』
『ラルト:だが、これも見納めか』
『ビルフ:そうだね。ほーんと、勿体ないなー』
チャット欄に並ぶ会話に、僕は少ししんみりしながら、
『アユ:そうだね』
そんな短い相づちを入力した。
パソコンのディスプレイに映っているのは、ファンタジーを題材にしたネットゲーム、『ファンタジー・フォレスト』の世界にある、断崖の上に聳える試練の塔の最上階。
初心者が最初に苦しむダンジョンだけど、今の僕達なら難なく来れるこの場所は、僕の一番お気に入りの場所だったりする。
特に丁度この時間。夕焼けが沈んでマジックアワーを経て広がっていく星空がとても好きで、よく見に来るんだよね。
僕の分身、人間の女性キャラ、アユ。
聖職者らしいローブを纏った僕のキャラが座るその隣には、四人の男性キャラが並んで座っている。
小人族らしく童顔で背の低い暗殺者、ビルフ。
金色のさらりと長髪が似合う人間の聖騎士、ラルト。
眼鏡が似合う知的な雰囲気を持つ長耳族の大魔導士、ナガツ。
そして、体格の良い犬顔の獣族、重戦士のブレキオ。
この世界に来てみんなと知り合わなかったら、きっと僕のゲーム生活は、もっと色褪せていたと思う。
でも、今日が彼等と過ごせる最後の日なんだよね……。
友達の姿を見ながら、僕はどこか切ない気持ちになっていた。
中学三年の三学期。
無事に高校に受かった僕が始めたこのゲームは、今年でサービスを開始して丁度十年になる老舗ゲーム。
一時はかなり人気もあったみたいだけど、僕が始めた頃には随分と下火になってたみたいで、高校生活一年目である去年の十一月。サービス終了がアナウンスされたんだ。
そして今日、四月三十日がサービス終了の日。
今は夜の八時。あと二時間もすれば、このゲームも終わってしまう。
最後をここで過ごそうと決めていた僕は、一人ここで景色を見ながら過ごしてたんだけど、四人はわざわざ僕に会うためにここに来てくれた。
大きなギルドに所属していて、友達も多いはずなのに。
『ビルフ:そういえばー、みんな覚えてる? アユと出会った日の事』
『ブレキオ:覚えてるに決まってるだろ。最弱のスライムに倒されそうになってる奴、初めて見たぜ』
くすくすと笑うビルフとブレキオ。
勿論あの日のことは忘れてない。
オープンワールドのゲームはこれが初めてだったんだけど、この世界に降り立った瞬間、街並みの綺麗さに魅入っちゃって。景色を見ているうちに、外の世界はどうなってるんだろうって好奇心が抑えなくなって、何も考えずに初期装備のまま、操作のチュートリアルクエストすらもせず外に出ちゃったんだ。
それで、ブレキオが言っていた通りの展開になり、偶然居合わせたみんなに助けられたのが僕達の出会い。
……やっぱり、今思い返しても恥ずかしい。穴があったら入りたいくらいくらいだ。
『アユ:ごめん。あの時から今日まで、迷惑かけっぱなしだったね』
僕がそう入力すると、呆れて肩を竦めたのはラルトとナガツだった。
『ラルト:まったく。君は何も変わらないのだな』
『ナガツ:本当ですよ。あの時も謝ってばかりいましたよね』
だって、僕が迷惑をかけたのは変わらないし……。
『アユ:そ、そうだったよね。ごめん……』
アユにしゅんっとしたエモートをさせると、四人がすっと立ち上がり彼女の前に並ぶ。
『ビルフ:だからさー。そんなに謝んなくてもいいってー。アユのお陰で、僕達もすっごく楽しかっだし!』
ビルフがにこっと笑顔のエモートを見せると、一気にチャット欄が賑やかになった。
『ラルト:そういうことだ。君がいたからこそ、我々はこの世界で新たな楽しさを見いだせたのだ』
『ブレキオ:なんだったら、アユはゲームが苦手だって言ってたのに、俺達があちこち連れ回したろ。そっちのほうが迷惑だったんじゃないか?』
『アユ:そ、そんなことないよ。お陰で色々な世界を見られたし。僕もすごく楽しかったから』
『ナガツ:でしたら胸を張りなさい。お互い楽しく過ごせたからこそ、この終末、最後の時を共にいたい。そう思ったのですから』
『ビルフ:そうそう! 最後まで笑顔でいよ! ね?』
チャット欄に並ぶ文字を見て、僕はそれがぼやけて見づらくなるのに気づく。
みんなと一緒にいられた時間が本当に楽しかったからこそ、寂しさ強く感じちゃったから。
『アユ:うん。ありがと』
僕はパジャマの袖で涙を拭うと、必死にその台詞を入力し、笑顔のエモートを返した。
『ビルフ:そうだ! 折角だし、最後にアユにひとつ聞いてもいい?』
え? 僕に聞きたいことって何だろう?
ビルフのメッセージを見て、僕はリアルで首を傾げた。
『アユ:えっと、何?』
『ビルフ:アユってー、ここにいる四人のうち、誰が一番好き?』
『アユ:え?』
誰が好き?
突然の質問に、僕は思わず動きを止めた。
その間にもチャット欄には一気にメッセージが増えていく。
『ブレキオ:おいおい。いきなり何聞いてんだよ!?』
『ビルフ:いいじゃん別にー。みんなも気にならない?』
『ブレキオ:そ、そりゃ、まあ……』
『ラルト:気にならないと言えば嘘になるが』
『ナガツ:まったく。ラルトは相変わらずですね』
『ビルフ:そんな澄ました顔してー。ナガツだって気になってるの、ぜーんぶお見通しなんだからね!』
……えっと。この流れって、みんなは僕の答えが気になってるってこと?
今までこんな話題をしたことなんてなかったのもあって、僕は完全に困惑していた。
四人の誰が好きかなんて、今まで考えたこともなかった。
勿論、四人は気遣いもできればゲームも上手。きっと色々な人に人気なんだろうなって思ったりはしたけど。
ビルフはいつも凄く明るくて、何かと気落ちする僕を励ましてくれたし。
ブレキオは戦闘の動きについて一生懸命教えてくれたり、僕が一人だとみるや駆けつけてくれて、何かと面倒を見てくれた。
ラルトは金策やレベル上げを全然しない僕を見かねて、色々な装備を譲ってくれて助けてくれたし。
ナガツも普段から何か困ったことはないかって、個別チャットで色々気遣って尋ねてくれた。
みんな優しくて魅力的。それは間違いない。
でも、誰が一番なんて言えない。だって、みんなは僕にとってもったいないくらい、素敵な友達だから。
『アユ:ごめん。選べないよ』
『ビルフ:え? 嘘!?』
『アユ:ほんとだよ。優しくしてくれたみんなに、優劣なんて付けられないし』
『ビルフ:そうかもしれないけどさー。強いて言うなら誰、とかないのか?』
『アユ:う、うん。ごめん』
アユが頭を下げると、少しの間チャット欄が落ち着いた後、ナガツが微笑みを浮かべてきた。
『ナガツ:やはりアユはアユですね』
『ブレキオ:ほんと、変わらねえよな。何となくそんな気はしてたけどよ』
『ラルト:遠慮しているのではないか? 別に私の名を挙げても良いのだぞ』
『ビルフ:そうそう。僕の名前を挙げてくれたら、めちゃくちゃ喜んだのになー』
微笑むナガツに、呆れるブレキオ。
ラルトとビルフはまだ食い下がってるけど、そんなに気になるのかな?
……あ。もしかして、僕がリアルで女子だって思ってる?
ネトゲってほとんど男子だって言うし、お互いリアルにはほとんど触れてなかったから。
別にお互いリアルに触れないって話もしてなかったし、今日が最後だもんね。
変に期待させちゃってもいけないし、ここはちゃんと伝えておこう。
『アユ:ごめん。それに、実は僕、男なんだよね』
僕がそう告げると、四人がみんな驚いた顔をする。
でも、チャット欄に言葉は並ばない。
ということは、やっぱり勘違いされてたのかも。ちょっと悪いことしちゃったかな……。
内心気落ちしながら画面を見ていると、ナガツが突然こうメッセージを書いた。
『ナガツ:そういえば、アユは転生先を決められたのですか?』
え? 転生先って何だろう?
『アユ:えっと。それってどういう意味?』
『ブラキオ:あー。アユはあんまりゲームに詳しくなかったっけな』
『ラルト:転生先とは、別のネットゲームなどをプレイするのかという意味さ』
別のゲームかぁ。
『アユ:実はこの先の事、まだ何も考えてなくって』
元々このゲームだって、テレビでたまたま見かけたCMを見たら、凄く景色が良くって興味を持っただけ。
サ終って話が出てからも、それなら少しでも色々な場所を見たいって思ってファンタジー・フォレストばっかりやってたから、他のゲームに移ることなんて全然考えてなかったんだ。
『ビルフ:つまり、フリーってこと?』
『アユ:フリー? まあ、そんな感じかな』
『ラルト:ふむ。それは好都合だ。これでビルフと決着もつけられる』
『アユ:け、決着?』
『ビルフ:ふふーん。僕が負けると思ってるわけ? ないない!』
『ブラキオ:おいおい。まだアユはOKすらしてないんだぞ? 勝手に話を決めるなって』
『ビルフ:そう言ってさー。ブラキオだって、アユがOKしてくれたらいいなーって思ってるでしょ?』
『ブラキオ:そ、そりゃ、思ってるけどよ』
決着? OK? どういうこと?
さっきまでと関係ない話が盛り上がるチャット画面にただただ呆然としていると、四人が改めて座っている俺に向き直ると、座っているアユに手を伸ばす。
そして、みんなを代表するかのようにビルフがこう言ったんだ。
『ビルフ:アユ。僕達と転生しない?』
え?
『アユ:一緒に転生って、また一緒に別のゲームをしようって事?』
『ビルフ:そうそう! 実は僕達、四人でシャインズ・ゲートを始めようって思ってるんだ。だからー、アユもどうかなーって』
そういえば、前にビルフが新作ゲームの情報を教えてくれた時、そのタイトルがあった気がする。
確かこのゲームより、もっとアクション性を重視したネットゲームだったかな?
『アユ:でも、僕がゲーム下手なのは知ってるでしょ? 今まで以上にみんなに迷惑をかけちゃうよ』
素直にそう言ったんだけど、みんなは僕のネガティブな言葉にも寛大だった。
『ブラキオ:別にそんなの気にするなって。シャイゲは基本無料なんだし、やってみてどうしても無理ってなら止めればいいだろ。な?』
『ラルト:私もブラキオに賛成だ。共に新たな世界を楽しみたいと思うからこそ、我々もこうやって誘っている。それは忘れないでほしい』
『ナガツ:あなたが、私達とこの世界のみの関係でありたいというなら、無理強いはできませんが。いかがでしょう?』
みんなの視線を集めたまま、僕はアユをゆっくりと立ち上がらせた。
この話を聞いてジーンときちゃったせいで、間違ってキーボードを触っちゃっただけなんだけど。
僕にはリアルで友達がいない。
そんな自分がみんなを楽しませられる自信なんてなかったし、どちらかというと迷惑をかけちゃったらいけないとばかり思ってるタイプ。
だからここにいる四人との付き合いだって、最初はずっとそんな気持ちだった。
勿論、今もそんな性格は相変わらず。だけど、それでも少しはみんなといて変われたかなって部分もあるし、四人には本当に感謝してたんだ。
本当にいいのかな。そんな不安はあった。
でも、約一年一緒にいてくれたみんなからの言葉だったからこそ。
『アユ:わかった。僕でよければ』
僕は、彼等との転生を決意したんだ。
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