黄昏コンビニ
🐺🔥🚇セレンとセシウム
黄昏コンビニ
GWが終わりに向かう夕暮れ。
高速道路は、帰省ラッシュで渋滞していた。
その高速道路には、夕暮れと同化しているかのように赤い車ポツリとある。
ブーーーーブーーーーーーーーーーーー!
「渋滞、長いわねぇ」
「ああ」
「スーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……………………」
「うーーーーーーーーーーーーん…………………………」
旅行で疲れ切っている夫婦の後ろ。
妹の膝枕にされているお姉さんがいた。
「スーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………」
オレンジ色のショートヘアーをした彼女のなは多想カレン。
多想アヤのお姉さんで女子高生である。
スーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……………………
ガタッ!
ブーーーーーーブーーーーーーーーーーー!
「おお! こんな所にコンビニがあった」
「高速道路を直ぐに抜けられて嬉しいわ!」
「ついたぞ! カレン、アヤ!」
「ううん??」
「もう着いたの?」
「早いね!」
ガタッ!
カレンとアヤは両親と一緒にコンビニへ向かった。
そのコンビニの近くにはは、オレンジ色の看板が建っている。
「黄昏コンビニ?」
「見たことない店だね!」
看板の近くには、『ハーピーフェア』と書かれた幟がある。
「ハーピー?」
「値段が安いのかしら? ハッピープライスってやつ?」
「違うよ、お母さん!」
「ハーピーと言うのは、鳥の足と羽を持った女の子のことだよ。ひょっとしたら、フィギュアがあるかも!」
「フィギュア? アヤ、嬉しい!」
「じゃあ、行ってみよう!」
「うん!!!」
ガタッ! スウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……
カレン達四人家族は、黄昏コンビニの中へ入っていった。
「いらっしゃいませーーー!」
そこには、妖艶な体をした紫肌の悪魔のお姉さんが出迎えている。
その向かいには、ハーピーにまつわる商品が全体の半分以上をしめていた。
ハーピーの唐揚げ、ハーピーのサラダチキン、ハーピーのカップつけ麺など珍しい商品がたくさんある。
もちろん、ハーピーのフィギュアもあった。
「どうやら、フィギュアだけじゃないのねぇ」
「とりあえず買おう!」
ピッ!
「お会計15000円になにます」
「じゃあ、娘と割り勘だ!」
「うん!」
父親と母親とカレンはそれぞれ、五千札を出した。
「ありがとうございます!」
それから夜。
長い渋滞から開放された四人家族は、家に帰ることが出来た。
ザサッ!
「ええ?!」
違和感を覚えたカレン。
彼女は、リュックサックの中身を見た。
なんと、買っていたハーピーのお土産無くなっていたのだ。
すると、暗い空から何かが近づいてきた。
バサ………………バササ…………………………
コウモリの羽と羊の角、ハートがついた細い尻尾。
それと、艶めかしい黒いポニーテール。
バササ!
そう、彼女は、黄昏コンビニの店員だったのだ。
「お忘れですよ、お客さん!」
「あ……ありがとう………………」
バササ………………バササ…………………………
ダンボール箱を渡した黄昏コンビニの店員は、暗い空に吸い込まれるように消えていった。
「ズズズズズズーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……ああ! 鶏の旨味が太い麺に絡まって美味しい!」
「カップ麺とは思えないなぁ!」
「ああ!」
「いけぇーーーーーーーーーー! ハーピーキィィィィィィーーーーーーーーーーーク! ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダァ!」
「アヤったら、ハーピーのフィギュアと魔法少女のフィギュアで遊んでいるね」
「あたしもハーピーを推しにしたいくらだね」
ハーピーの魅力にすっかり取り憑かれたカレン。
思わずカップ麺の器を落とした。
カラン!
「ううん?」
カランは、カップ麺の器の材料表示を読んだ。
「ぶうっ!」
バタン!
「ううん?」
「ああ?」
「どうしたのお姉ちゃん?」
椅子から、転げ落ちたカレン。
その顔には、一粒の涙がこぼれ落ちていた。
「…………………………………………………………………………………………………………」
「お…………おおおおお……姉ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
黄昏コンビニ 🐺🔥🚇セレンとセシウム @ddancm-d
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