なぜランキング上位に似たような作品ばかりあるのか

北原新司

本文

 なぜランキング上位にある作品はどれも似たような作品ばかりなのか。その背景にあるのは、「人気の見える化」だと、僕は思っています。


 PV数や評価ポイントなどを集計してランキングとして表示することで、数字を稼げるジャンルというものがだんだん浮き彫りになっていきます。


 そして、人気のあるジャンルやストーリー展開の傾向が数字として見えてくるので、ランキング上位にのるために大多数の作家がそれを真似します。そうすると必然的にサイト内に同じような作品が増えます。


 しかも小説の場合、一目で読むか読まないかを判断する材料は、ポイント数ぐらいしかありません。そうなると必然的にポイント数の多い作品が有利になります。


 しかしなぜ作品のジャンルによってポイント数の格差ができるのでしょうか。それは、PV数の差にあります。


 ランキング上位にある作品に使われていたキーワード。あるいは展開。これを含んだ小説というものが必然的に新規勢の目をひくことになって、結果として他の小説に比べてPV数が増えることになります。つまらないといって去る人もいるでしょうが、それでも読む母数が増えれば、それだけポイントを稼げる確率もあがります。結局のところ、読まれなければ話にならないのです。


 それでいてランキング上位に似たジャンルの作品を書く作家が、上記の理由で増えていますから、需要と供給がマッチします。そうすると、界隈の偏りがじょじょに顕著になっていくのです。


 ランキングで上位をとる最適解が明確に見えてしまう状況であるがゆえに、作品の多様性というものがどんどん失われていくというわけです。


 そんななかで、読者にとっても作者にとっても大事なのは、ランキングの高さがおもしろさとイコールではないことを頭の片隅にいれておくことだと思います。あなたの好きな作家をちゃんと応援してあげましょう。そうしてあげることで、あなたの好きな作家が作品を書き続けてくれるかもしれないですし、それがあちこちで起これば、他のタイミングであなたも好みの作品に会える可能性があがるかもしれません。


 自分がおもしろいと思った作品が一番おもしろい。あなたの一番を決めるのはランキングではなく、あなたなのです。

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