04話:赤い空
周りを見渡すといつもの大学の教室。
昼休みを知らせる鐘の音が鳴り響き、学生達がガタガタと勉強道具を片づけ始めている。
「……え?」
いやいや、そうではない。
ここは……大学の教室?
本当にさっきまでの教室なのか?
俺はさっきまで屋上で――
「ウェーイ! 終わった終わった~! それじゃカツヤ君、食堂! 食堂! さっさと食堂、たべるぞ!」
「……は!?」
横には……死んだはずのカオルがしょうもない唄を歌っている。
「カオルお前……生きて……るのか?」
死んだはずの人間に恐る恐る話しかける。
カオルは少し驚いた表情を見せるがすぐに片手で顔を隠し不気味に笑う。
「くっくっく……愚かだな人間。先ほどの攻撃如きで、このバンパイーヤの命を刈り取ることなど到底出来ないのだよ」
いつも通りのカオルだ……
思わずカオルの頬を手で挟み、物体として存在しているのか確認してしまう。
「むん!? ななななにぃ!?」
「ほ、本当に生きてる! カオル……カオルが生きてる!」
思わず手に力が入って彼女をタコみたいな顔にしてしまうがそれどころではない。
「……そうだ、あの子は!?」
ポニーテールのあの子だ。
あの子が切っ掛けでいろいろ起こった。
そして、この講義室に居たはずだ。
急いで周りを見渡すと、すぐにその子が見つかる。
まあまあな量の荷物を抱えて、部屋からそそくさと立ち去っていくのが見えた。
「ああ、カツヤ君ダメぇ……私、本気で……本気でタコになっちゃうぅぅぅ」
「食堂の席取り頼む!」
「え!? ちょ、おま!? ええええ!?」
荷物とカオルを置いて俺は教室を出る。
◆◇◆◆
彼女は早歩きで追いつくのに苦労したが、ようやく近づける。
「おい、君!」
声を掛けるが無反応で止まらない。
もしかして、気づいていないのか?
「なあ! おい! 荷物の多い君!」
特徴がポニーテール以外は荷物が多いしかパッと思い浮かばなかったが声を掛け直した。
幸いにも、その呼び掛けに彼女は立ち止まってくれた。
彼女は周りの様子を窺い、ゆっくり俺の方へと振り向く。
「……!?」
俺を見ると少し目を見開いて硬直した。 改めて彼女を見ると、どう見ても普通の女子大生にしか見えない。
清潔感が漂い顔は整っている。
身長はカオルと同じぐらい?
割と可愛いまである顔立ちかもしれない。
「な……何か御用……ですか?」
彼女は俺から距離を置き、透き通った声で返事をしてくれた。
俺は息を整えて尋ねる。
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「……」
あれ?
何だ?
何を言おうか忘れた。
嘘だろ……
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「……くっ」
頭の中が真っ白になっていく感覚。
まるで壮大な夢を見たはずなのに伝えられないような……
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夢?
俺が見ていたのは夢なのか?
ただ……俺は寝ぼけていただけ……なのか?
――覚えていてくれ。
「……ッ!?」
いや、ここまで来たら伝えるんだ。
記憶の断片でも良いから彼女に聞け。
そうしなきゃ……いけない……
気が……するんだ!
「赤い……空」
「え!?」
薄れそうな記憶を抑える。
何とか振り絞った視覚の記憶。
不思議と記憶が鮮明に戻り始めた。
「……突然沢山の人が死に、空から大きな手が現れ……君が屋上に居たのを俺は……覚えている」
俺の言葉に彼女は完璧に反応した。
「認識……してる……」
彼女の言葉に俺は確信が持てた。
「やっぱり……俺の見た物は幻覚じゃなかったのか」
「!?」
口を押さえ、彼女は焦ったように突然走り出す。
「あ、おい!」
俺も追いかけようとするが、昼時の人の流れに遮られ多かった荷物の割に見失ってしまった。
しかしアレは……俺が見た最悪の世界は……
「何だったんだよ……いったい……」
ドッと疲れがのしかかってくる。
もしかして、講義で居眠りした天罰なのだろうか。
それもわからない。
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