BookWalker 〜渡り鳥達の綴る物語〜
桜羽灰斗
渡り鳥キリコの場合
トキメキ学園みらくる☆とらぶる☆フォーリンラブ♡
第1話
「ちょっ!? イヤな予感するから栞に刻まれた
巫山戯たタイトルしやがってぇぇえ!」
何も無い空間から現れたのは全身を隠すコートのフードを被った1人の少女。
その少女は手の甲に浮かんでる紋章を光らせて何かを調べていたらしく、空中に掛けた見えない足場に足を付けた瞬間に雄叫びを始め頭を抱え始めた。
「この巫山戯た名前が本として成立する場所なんて投稿サイト以外にある訳ない!
コレ絶対フザケンナ!ってツッコミどころあるパターン!
こんな空間に1週間もずぅぅっと縛られんのかよぉ〜……」
最初は元気よく雄叫んでいたが最後には涙目になって鼻をすすり始める謎の少女。
どうやらタイトルから色々と何かを察してしまいツッコミ爆発したようだ。
そんな彼女の足下で1人の女子中学生が食パン咥えて「遅刻遅刻ぅぅ!」とモゴモゴしながら横道を走っていて、向かうその先には少し早歩き気味の男子中学生がその女子中学生に気付かず横切ろうとしていた。
「あ〜アレか? 食パン体当たりでラッキースケベ付き一目惚れテンプレイベント」
相手には自分の姿が見えてない事をいい事に甘マズイ物を口にした顔で見下ろしながら、コメカミをトントン叩いてどのテンプレか分析していたがすぐ虚しくなってやめる。
独り言言いながらテンプレ分析するのは虚無だと悟ったのだ。
やり取りを見ているのも精神的にキツくなってきたのか別の方向に目を向けると、何やら口喧嘩してるらしか学生服男女コンビが急ぎ歩きをしていた。
「まさか……素直になれない喧嘩ップルか!
これで付き合ってない!とか言うんだろ!?
いいからもう、とっとと付き合っちまえよ! マジで!」
このシーンを見た読者が梅干し顔で思っている事を、これまた相手には聞こえていない事をいい事に好き放題ツッコミまくる。
まぁ、ツッコまないと精神衛生上よろしくないからしてるとも言えるが。
「で? こっちがジレジレ仲良し幼馴染みップルってか。こっちもまだ付き合ってないんだろ?
パターン分かってるよ、ちくしょう!」
また別の道に視線を向けると仲良くお喋りしながら一緒に学校へ向かっている男女の2人組がいた。
確かに恋人ではない空気感ではあるが、とても距離感が近いのが分かる親密な空気を醸し出している。
「ん? あれ? 朝の時点でラブコメ主人公とヒロインコンビが3組?
…ん? んんん? まさか? とりあえず王道ラブコメの各種主人公を詰め込んどきゃラブコメでいけるやろ精神でうみだされてる?
オムニバス形式のつもり? え? これで?
いやいやいや、どの主人公コンビもそれぞれ学校違うし!?
オムニバス形式っつーなら、せめて同じ学校にしとけよ!?
同じ地区とか範囲広げんな!? いや、地区じゃねーわ。これは絶対校区理解してねーな?
中学までは校区分けしっかりされてるから、1つの校区に3つも中学校出来る訳ないんだわ」
さっきから感じていた違和感の謎に気付いたのか、3組の通る通学路とゴール地点である学校を見比べてさらに分析ツッコミが続いていく。
「しかも髪型や制服に持ってる物がそれぞれの時代の流行り反映してるくね?
しかも1組は昭和風味強くて通学路に普通に公衆電話がポンポン設置されてんのに、他の2組の通学路には公衆電話ないとか舞台小道具のバランス悪すぎにも程あんだろ!?
で、1組はガラケー持ってるみたいだし別の1組はスマホ、と。これでどうやってオムニバス形式するつもりだよ!?
どう考えても主人公コンビの通う学校の時代背景バッラバラやんけ!?
ねぇ、これ何の背景競合!? バトロワ!? 蠱毒!?
何でこれでそれぞれの主人公コンビと話噛み合うと思ったの!?
少なくとも1組はどう考えても確実に噛み合わないよ!?
ガラケーもスマホもなく公衆電話が連絡手段のラブコメとか、ガッチガチの昭和レトロやん!?
ある意味スゲーな!? このラブコメ世界! 作者は何を思ってキメラ闇鍋ラブコメ世界にしたのか逆に気になるわ!」
全力で分析ツッコミし続けてようやく落ち着くと再びコメカミに手をやりグリグリ揉み始める。
「このツッコミどころ満載のラブコメ世界に1週間強制滞在かぁ。気に入ったならもーちょい長く入れるけど、ぶっちゃけ1週間ですらここに居たくないし?
さっきのでツッコミ疲れたから甘い物食べたいけど、残念ながらこの世界のお金持ってないんだよねぇ。
アタシいちおー学生年齢の外見だから職質ももとい未成年補導喰らう気がするな。
滞在1週間じゃ、ロクなバイトもないだろうし…マジどうやって資金調達しよっかな〜」
身分証なし住所不定、繋がりゼロの彼女が手っ取り早く稼げそうな物はないか?と街全体をゆっくり飛び回り始める。
理想はこっちの事に追及せず何も言わずに手渡しでお金払ってくれる事。
まぁ、昔の時代かファンタジー世界でないと無理な話ではあるが。
最終手段を使う前に効率良く稼げる手段が見付からないか、良さげな店を探しつつ最終手段の為の情報収集も並行して進めていく。
彼女の想定している最終手段は裏稼業からのカツアゲ。まさに暴力! 暴力による金策解決!
相手は犯罪組織だから警察に泣きつく訳にもいかない立場って所が彼女にとってより狙い所である。
テンプレ舞台装置として必ず存在しているはずなので密かに彼女は楽しみにしていた、ストレス解消としても。
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