番外SS シン・スースー事件
「いっ……!」
鏡を覗き込んでいた夕月が一瞬鋭い声を上げた。
「どうした?」
「何でもない!」
補講も無事終わり、2人で久しぶりのデートに出かける所だった。
髪を整えていた翔吾が洗面所から覗くと、夕月は本当に何事もなかったようにメイクを続けている。
一足先に支度を終えてスマホを眺めていると、夕月がにじり寄ってきた。
「ねぇ、翔吾。」
「んー?」
「今日ね、いつもとちょっと違う感じにしたんだけど…、どう?可愛い?」
「可愛い。」
翔吾は即答した。
惚れた弱みか、すっぴんでも可愛く見えるのだから、自分とのデートのために特別に装った夕月が可愛くない訳がなかった。
それ以外の返答などそもそも用意されていない質問だったが。
「あのね、…ちゅー、したくない…?」
「する。」
こちらも即答した。
頭の中で微かに警鐘が鳴った。
おかしい、普段の夕月なら絶対そんな事言わない。
それでも、目の前で頬を染めて小首を傾げる恋人に勝てる男が世の中にどれほどいるというのか。
翔吾は本能よりも男のサガに従った。
1秒、2秒、3秒…、 ただ触れるだけには長すぎるほどたっぷりと時間を取って唇を重ね、
「いってぇ…!?」
悲鳴を上げた。
「プランパー、新しいのにしたの。」
「ぷら…、はぁ!?」
「あ、唇舐めない方がいいよ。」
「っっ〜…!!」
夕月は悪戯っ子の様な、あまり見ない顔で笑っている。
悶絶しながら、可愛い彼女の罠に掛かってやるのもまた、彼氏の務めだった。
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