第2話 ねがい
お母さん。
私、ガンなんだって。
ステージが重いんだって。
もう、全身に転移していて、手術してもすべて取り除くことは無理なんだって。
もうね、私は来年の桜は見られないんだよ。
お母さんがお父さんを亡くしたときを、私は知っている。
どん底だったお母さん…。
もう、あんな姿をさせたくなかったのに、私のせいで辛い思いをさせちゃうね。
ごめんね。
だから、大好きなお母さんの親不孝になりたくなかった。
だから、【はやく死んで】ほしかった。
正確にいうのであれば、私よりはやく死んで欲しかった。
お母さんの最期を看取ってからが、順番的にはいいんだろうね。
私の願いは、私がお母さんを看取ることだったのに。
これは、お父さんが亡くなった時から、ずっと心のなかで考えたいたことなのに。
守れそうになかった、ごめんなさい。
ひとりだとなんでも抱え込んでしまうお母さんだから、私は心配だよ。
お父さんを失って、私も失って…。
私は、あなたの《ひかり》になれていたでしょうか?
今更ながらに、思ってしまいます。
青いひかりは消えかかってるけども、お母さんの心のなかでひかり続けていければいいな。
そうだなぁ、お母さんの作ってくれるハンバーグが好きだったから、命日にはハンバーグ作ってほしいな。
そのときは4人で食卓囲んでさ。
楽しく仲良く3人のお話聞きたいな。
お母さん、大好きだよ。
来世になってもお母さんの子どもになりたいよ。
きっときっとだよ!
やくそく。
はやく死んで。 白兎白 @byakuren
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