スケッチブックに残るも

@YUYUYUYU112

第1話 放課後の光

放課後の教室は、夕日でオレンジ色に染まっていた。

窓際に座る藤井美桜が、友達と笑い合っている。その笑顔を、僕はスケッチブックに描き写していた。


鉛筆を走らせながら、胸の奥で小さくため息をつく。

――僕が本当に欲しいのは、この笑顔を独り占めすること。

けれどそれは、きっと叶わない。


「おい悠真、また描いてんのか」

背後から声をかけられ、慌ててスケッチブックを閉じる。

振り返ると、いつもの親友・橘颯太が立っていた。夕日を背にしたその姿は、無邪気な笑顔のままだ。

そして美桜の視線が、さりげなく彼へ向けられていることに気づいてしまう。


その瞬間、胸の奥を針で刺されたような痛みが走った。

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