第4話 巡り合う

数十年後ー...

紗枝は70歳になろうとしていた。

終活セミナーに参加して、死後事務委任契約を済ませてきたばかりだ。

(いつ、何があってもおかしくないしね。)


ハンドバッグを手に持っていた紗枝は、後ろからバイクを乗ってきた男にバッグを引ったくられてしまった。

「!」


私は引ったくられて地面に転んだ。

しかし、バイクを指差して大声で叫ぶ。

「誰か引ったくりよ!!」


「大丈夫ですか。警察に連絡を」

聴衆のなかの若い男性が、通行人の一人の自転車を借りる。

これ、お借りします。

紗枝は目をパチクリしている。

◇◇◇

しばらくすると、ハンドバックを持って青年がやってくる。

「はい。これあなたのでしょう?取り返しましたよ。」

盗んだ奴も捕まえて、警察に突き出しましたからと穏やかに笑う。

その笑った表情が亡き祖父の面影と重なる。

「どうかしましたか?」

青年はキョトンとしている。

「いいえ、なんでもないわ。助けてくれてありがとう。お礼にお茶でもごちそうするわ。あそこにカフェもあるし、」

にこと笑みを浮かべる。


その笑顔、遠い昔にどこかで見たような気がして青年は目を丸くする。

「あら、予定があったかしら」

青年は青空を見上げる。

空気が澄んでいる。

「いえ。お言葉に甘えます。」



                  

おしまい



後書き

私の祖父母をモチーフに、こういうことがあったらいいなという気持ちで小説を書きました。

青年は祖父の光臣の転生した姿です。

前世を思い出さないで、知らずと縁を結ぶ形にしました。

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生まれ変わったら Rie🌸 @gintae

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